「ジャスケイド錠」 肺線維症治療薬で欧州連合での承認取得 ベーリンガーインゲルハイム

ベーリンガーインゲルハイムは 27日、ジャスケイド錠(一般名:ネランドミラスト)について、7月17日に欧州委員会(EC)より、特発性肺線維症(IPF)および進行性肺線維症(PPF)の成人患者に向けた治療薬としての製造販売承認を取得したと発表した。
 これによって、欧州連合(EU)においてIPFでは10年以上ぶり、PPFでは5年以上ぶりの新薬の承認となる。ジャスケイド錠は、臨床試験で有効性と安全性に関するデータが確認されたファースト・イン・クラスの経口ホスホジエステラーゼ(PDE)4B 阻害剤として、重要なアンメットニーズに応える。
 今回のECによる承認は、IPF および PPF を対象として実施された大規模な国際共同P3試験(FIBRONEERTM試験)の結果に基づき、本年 5 月の欧州医薬品委員会(CHMP)による承認勧告を受けたことによるもの。
 ネランドミラストは、FIBRONEERTM-IPF 試験およびFIBRONEERTM-ILD試験の2つの臨床試験において、主要評価項目である52週時の努力肺活量(FVC)のベースラインからの絶対変化量(mL)について、プラセボと比較して有意な呼吸機能の低下抑制を示した。
 いずれの試験においても、重要な副次的評価項目は達成されなかったが、FIBRONEERTM-ILD試験では名目上有意な死亡率の低下が確認された。また、FIBRONEERTM-IPF 試験における有害事象による投与中止率は、プラセボ群(13.0%)、ネランドミラスト 18mg 群(16.1%)、9mg 群(13.5%)で、FIBRONEERTM-ILD試験では、プラセボ群(11.7%)、ネランドミラスト18mg 群(11.3%)、ネランドミラスト9mg 群(9.9%)であった。
 EUにおけるIPFとPPF の患者数は合計で50万人以上とされる。いずれの疾患も、進行性かつ不可逆的な肺の線維化に伴う不可逆的な呼吸機能の低下を特徴としており、多くのがんより死亡率が高く、患者の約半数が診断から5年以内に死亡すると報告されている。
 一方で、下痢や悪心、嘔吐などの副作用によって、多くの患者が既存治療の開始を遅らせたり、治療を中断しており、特にIPF患者では約半数が6カ月以内に治療を中止している。

◆シャシャンク・デシュパンデ ベーリンガーインゲルハイム医療用医薬品事業担当取締役兼取締役会会長のコメント
 今回の承認により、有効性と安全性のデータを有し、長期的な服薬継続への貢献が期待できるジャスケイド錠を、IPFおよびPPF と共に生きる患者さんが長く待ち望んでいた新たな治療選択肢として、EU の医師に届けることができる。
 この重要なマイルストーンの前進は、肺線維症に対して早期の介入が必要であるという認識を広める契機でもある。肺線維症は進行性の疾患であり、患者さんにとっては一瞬一瞬が大切な時間であるため、早期に症状に気づき、診断を受けることは極めて重要である。

◆Marlies Wijsenbeek教授(エラスムスMC大学医療センターの呼吸器内科医)のコメント
 IPFとPPFの管理において最も困難なことのひとつは、副作用によって患者さんが早い段階で治療を中止せざるを得ないことである。ネランドミラストは、FIBRONEERTM 試験において忍容性と呼吸機能の低下抑制に関するデータを示し、患者さんの治療継続への可能性を示した。これはEUの患者さんが長らく待ち望んできた重要な治療の進歩である。また、継続的な肝機能モニタリングの負担がなくなることも患者さんにとっては前進だ。

◆ Sue Farrington FESCA(欧州強皮症協会連合)会長のコメント
 IPFやPPFのような進行性かつ不可逆的な肺疾患と診断されたときに、患者さんが最も懸念するのは、治療の選択肢が尽きてしまうことである。今回の承認は、EUのIPFおよびPPF の患者コミュニティにおいて、長らく待ち望まれていた画期的な出来事であり、さらには進行性の肺線維症を引き起こす可能性のある全身性強皮症やその他の疾患とともに生きる人々に新たな希望をもたらすものである。治療を継続し、肺機能を維持できる治療薬を利用できることは、患者さんとその家族にとって安心感と希望をもたらすだろう。

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