ロート製薬は3日、三重大学大学院地域イノベーション学研究科 西村訓弘教授らとの共同研究により、ロート独自素材のオリゴミル(ミルクペプチド)が、骨や血液に続き筋肉に対しても作用する可能性を明らかにしたと発表した。
同共同研究では、成長期の体づくりの基盤となる骨・血液・筋肉に着目し、これまでに骨形成促進および赤血球増加作用確認してきた。今回、オリゴミルについて、新たに筋肉(運動能力)への作用を確認したもの。ミルクペプチドは、瞬発的な動きや素早い運動に関わる筋肉(速筋)に関連する遺伝子の発現を高め、すばやく動く力に関わる筋肉への作用が示唆された。
同研究は、三重大学とロート製薬が 2018 年に締結した共同研究の成果の一つになる。同研究成果は、成長期における健康な体づくりを支える素材研究として、今後の商品開発への活用が期待されており、日本薬理学会第 99 回年会でポスター発表された。
オリゴミルは 2009 年に素材開発された原料で、免疫賦活能および抗アレルギー作用があることが明らかになっていた。オリゴミルには、数多くのペプチド(アミノ酸が2~50 個程度つながったもの)が含まれており、ペプチドは生体を調節する作用を有するため、健康維持に対して非常に多くのポテンシャルがあると考えられている。
これまで、健康な体づくりを支えるカギとなる成長期に着目し、骨を成長させる、赤血球を増やすことを共同研究の中で明らかにしてきた。今回、成長期における筋肉への影響、さらには運動能力に着目して検討した。
具体的には、成長期のモデルであるゼブラフィッシュ幼魚にオリゴミルを与え、8日後の遊泳能を観察した。オリゴミル投与無しの対象群と比較して、オリゴミル投与群では、瞬発的な動きの速さ(最大遊泳速度)が上昇することが確認された(図1)。
さらに、骨格筋における遺伝子発現解析を行ったところ、骨格筋形成促進に関わる遺伝子群、筋肉の中でも瞬発力を担う速筋に関わる遺伝子群の発現増加が明らかになった(図2)

<試験方法>
3カ月齢のゼブラフィッシュに、オリゴミルを含有する餌を、1日2回給餌した。8日後に、臨界遊泳速度(Ucrit)を測定した。2群間の比較には、Student’s t-test を用いた。オリゴミルを含まないコントロール餌群と比較して、オリゴミル含有餌群では、臨界遊泳速度が有意に(p<0.05)増加しており、瞬発的な運動能の促進が示唆された。データは平均値±標準偏差で表示。(三重大学実施)
※臨界遊泳速度は、魚をだんだん速い水流にさらしていったときに、これ以上は流れに逆らって泳ぎ続けられない限界の速度を指し、持久的な遊泳能力や全身の運動能力をみる標準的な指標である。

<試験方法>
3カ月齢のゼブラフィッシュに、オリゴミルを含有する餌を、1日2回給餌した。14 日後に、骨格筋を採取し、遺伝子発現解析を実施した。2群間の比較には、Student’s t-test を用いた。オリゴミルを含まないコントロール餌群と比較して、オリゴミル含有餌群では、筋肉の収縮に関与するタンパク質であるミオシンの発現量の増加の促進作用、筋芽細胞の分化誘導に関連する、pax3a(筋分化の転写因子)、myod(筋肉細胞への分化を誘導するマスター遺伝子、筋分化調節因子)、srf(血清応答因子)の遺伝子発現が有意に促進された(p<0.05)。また、速筋に関連する tnnt3b、tnni2a の発現量が有意に増加していることが明らかとなった。データは平均値±標準誤差で表示。(三重大学実施)
同研究により、ミルクペプチドが運動能力、筋肉構造、筋形成に関わる分子機構といった複数の側面から筋肉に作用することが示された。これまでに明らかにされてきた骨および血液への作用に加え、体づくりに重要な機能へ広く関与する素材である可能性が示唆された。

