ストレス耐性高く、物事に柔軟対応するSTELLA人材最多業種は「公務」、最小は「宿泊業・飲食サービス業」ドクタートラスト

ドクタートラストは、2023年度にストレスチェックの実施を受託した1,390の企業・団体における集団分析データをもとに、STELLA人材の割合における推移や業種別STELLA人材の割合、回答割合を算出した。その結果、医療・福祉のストレス耐性高く、物事に柔軟対応するSTELLA人材の割合は、11.4%と他業種に比べて低めであることが判った。
 ドクタートラストのストレスチェックでは、個人のストレスレベルを5段階(A~E)で評価している。Aはストレスが最も低く、Eが最も高いとされる。さらに、ストレスレベルが低い人(A、B)のうち、自らの心身の健康状態が良好で会社や仕事への満足度、ストレス耐性が高く、物事に対して柔軟に対応できる人材を独自に「STELLA」と定義し、その候補者となり得る人材をストレスチェック結果から導き出している。
 STELLAは、自らがいきいきと働くだけでなく、彼らが抱くポジティブな考え方や傾向によって、周囲に対しても良い影響を及ぼすことができる理想的な人材である。
 ドクタートラストは、こうした人材を増やしていくことで、社内全体に好影響が波及し、職場環境改善や高ストレス者軽減だけでなく、企業の生産性向上にもつながると考えている。
 

図1
調査結果のポイント
 今回の調査では、2023年度にドクタートラストでストレスチェックを受検した47万9612人の最新結果をもとにSTELLA人材の傾向や業種別STELLA人材の割合、回答割合を比較した。

<調査対象>

◆調査対象:ドクタートラスト・ストレスチェック実施サービス 2020年度~2023年度受検者

◆対象受検者数: 47万9612人(2023年度)

41万0352人(2022年度)

32万4642人(2021年度)

24万0275人(2020年度)

<調査結果のポイント>

・ STELLA人材の割合を過去4年で見ると、15.5%前後を推移しているが、組織ごとに大きな差がある

・ STELLA人材の割合が最も高い業種は「公務(他に分類されるものを除く)」、最も低い業種は「宿泊業・飲食サービス業」

・ 仕事の報酬やキャリアアップ教育などの「会社の体制」、指導・評価などの「上司の対応」がSTELLA人材の増減には大きく関わっている

<調査結果の詳細> 

STELLA人材の割合の推移

 図2は、2020~2023年におけるSTELLA人材の割合を示している。2023年度は15.4%であり、4年間を通してSTELLA人材の割合は15.5%前後を推移している。

図2

 図3

 全体でのSTELLA人材の割合は4年連続大きな変化が見られなかったものの、すべての年度で組織別STELLA人材の割合の最大値と最小値には大きな差がありました。最新の2023年度においては、STELLA人材の割合が最も高い組織は47.9%と約2人に1人がSTELLA人材であるのに対し、低い組織では0%となっており、職場内にSTELLA人材が一人もいないことがわかりました。

 また、2023年度にドクタートラストでストレスチェックを実施した1,390社中969社、つまり全体の約7割の企業は、STELLA人材の割合が全国平均よりも低い結果でした。

業種別STELLA人材の割合

 図4は業種別にSTELLA人材の割合を比較したグラフです。全国平均とくらべてSTELLA人材の割合が高い群を赤枠、低い群を青枠で示しています。

 STELLA人材の割合が最も高い業種は「公務(他に分類されるものを除く)」であり、最も低い業種は「宿泊業・飲食サービス業」であった。また、STELLA人材の割合が全国平均より高い群は4業種、低い群は12業種となっており、全体の約4分の3の業種において全国平均よりも低いことが判明した。

図4

STELLA人材が多い業種と少ない業種の回答比較

 図5は、図4において赤枠で示したSTELLA人材の割合が高い業種と、青枠で示した低い業種に分け、良好回答の差が大きかった設問を示した。最も差が見られたのは「自分の仕事に見合う給料やボーナスをもらっている」(差17.4%)、以下「自分の仕事に誇りを感じる」(差12.7%)、「意欲を引き出したり、キャリアに役立つ教育が行われている」(差12.6%)と続く。

図5-1

図5-2

<まとめ>

 STELLA人材の割合を過去4年で見ると、15%台前後で推移している。だが、企業ごとのSTELLA人材の割合には大きくバラつきがあり、業種別に見てみると、全体の4分の3の業種において全国平均より低いことがわかった。
 また、STELLA人材の割合が高い業種と低い業種の回答比較から、仕事の成果に対しての報酬や教育などを含めた会社の体制、指導・評価といった上司の対応がSTELLA人材の増減には大きく関わっているのではないかと推察する。。
 さらに、STELLA人材の多くが心身の健康状態が良好であることから、従業員に対して睡眠を中心とした研修やセミナーなどの健康教育の機会を提供、労働時間・休暇取得状況の見直しをするなど、生活習慣を正していくための取組みが必要である。
 職場環境改善を行っていくうえで、「STELLA人材」の存在が職場内でいかに影響を与えるのか今回の調査で判明した。

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