日本ベーリンガーインゲルハイムの荻村正孝代表取締役医薬事業ユニット統括社長は28日、2024年事業説明会で会見し、日本における今後のビジネスの展望として、「主力製品でさらに成長する」、「5年間に15件以上の承認/上市を目指す」、「中長期に昨年同等の成長を維持する」を強調した。
5年間に15件以上の承認/上市目標は、6つの注力疾患領域によって実現するもので、「より高い専門性と、さらなる意思決定スピードの上昇」の重要性を指摘。集中的投資により、開発パイプラインを持続的に進展・拡大する。6つの注力疾患領域は、「心腎代謝疾患」、「呼吸器疾患」、「オンコロジー」、「免疫疾患」、「メンタルヘルス」「網膜疾患」。
肺線維症領域では、肺線維症領域のリーディングカンパニーとして豊富な知見を蓄えを活かし、革新的なパイプラインを切れ目なく導入して、肺線維症の脅威のない未来を目指す。
肺線維症領域のパイプラインとして「nerandomilast (P3)」を挙げ、「PDE4を標的とする治療薬として、肺線維症領域におけるファースト・イン・クラスの可能性」を指摘した。
オンコロジー領域は、オンコロジー領域へのさらなるコミットメントを推進。アンメットニーズの高いがんにフォーカスした早期上市を目指し、同社のイノベーションの成果として自社開発のアセットを進展する。
オンコロジー領域のパイプラインでは、脱分化型脂肪肉腫(DDLPS)を対象とした50年ぶりの新薬候補物質「ブリギマドリン」(P3、がん抑制タンパク質 p53 とその負の制御因子MDM2の間の相互作用を阻害する新しい低分子化合物、MDM2-p53阻害剤、経口剤)に期待を寄せた。
新たに参入するメンタルヘルス領域では、「患者や周囲の人の負担が大きく、アンメットニーズが高いので、治療法が限定的な疾患に注力する」考えを示した。
メンタルヘルス領域のパイプラインには「イクレペルチン」があり、「統合失調症領域でファースト・イン・クラスの作用機序を持つ。統合失調症のCIASを対象とした世界初の治療薬を目指す」
荻村氏は、本年1月に実施した4つの事業部制への再編についても、「より専門性を高め意思決定スピードをあげることで、患者に迅速に治療法を届ける」と訴求した。
また、アセットチームの導入による日本における開発加速にも言及。アセットチームの特徴として、「権限を与えられた少数メンバーによるチーム」、「パイプラインごとにチームを立上げ」、「開発段階から市販後まで、パイプラインを一貫して管理」、「グローバルのアセットチームと連携」、「迅速に意思決定を行い、環境やニーズの変化に即時対応」を紹介した。
日本の医療用医薬品事業の2023年の売上高(薬価ベース)は2319億円(対前年比7.0%増)で、2019年より5年連続の増収を達成した。
主力製品の売上高は、ジャディアンス 592億円(32.3%増)、トラディアンス290億円 (22.2%増)、オフェブ 610億円(12.1%増)、トラゼンタ351億円(2.4%減)。