クロバリマブ 発作性夜間ヘモグロビン尿症治療薬でFDAが承認申請受理 中外製薬

 中外製薬は6日、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)治療薬として開発中の新規抗補体C5リサイクリング抗体「クロバリマブ」について、米国FDAが生物学的製剤承認申請(BLA)を受理したと発表した。
 同申請受理は、PNH患者においてクロバリマブの疾患コントロールと良好な忍容性を示したピボタルなP3相COMMODORE2試験結果に基づくもの。
 また、クロバリマブの一貫したベネフィット・リスクプロファイルを示したP3相COMMODORE 1試験の結果も、申請を支持するデータとして提出された。
 PNHは、生命にかかわりうる希少な血液疾患であり、世界で約2万人が罹患している。赤血球が自然免疫系の一部である補体系によって破壊され、貧血、疲労、血栓、腎疾患などの症状が生じる。
 補体系カスケードを阻害するC5阻害剤は、この病態の治療に有効であることが示されている。クロバリマブは、中外製薬のリサイクリング抗体技術により抗体を繰り返し抗原に結合するよう改変した新規C5阻害剤で、低用量で持続的な補体阻害が可能となり、4週ごとの皮下投与を実現している。
 今回のBLAは、補体阻害剤による治療歴のないPNHを対象としたCOMMODORE 2試験の成績に基づいている。クロバリマブを維持期において4週間ごとに皮下投与した場合、2週間ごとに静脈内投与する標準治療薬のエクリズマブに対し病勢コントロールに関する非劣性が確認され、両薬剤間で安全性は同様であった。
 同試験における有害事象(AE)は、クロバリマブ投与群の78%、およびエクリズマブ投与群の80%に発現し、最も多く認められたAEは注入に伴う反応であった。BLAには、既存のC5阻害剤からクロバリマブに切り替えたPNH患者さんにおけるクロバリマブの良好なベネフィット・リスクプロファイルを支持するP3相COMMODORE 1試験のデータも含まれている。
 COMMODORE 1/2試験のデータは、6月に開催された欧州血液学会(EHA)ハイブリッド会議で発表された。

◆奥田修代表取締役社長 CEOのコメント
 当社の強みである抗体エンジニアリング技術を駆使して創製されたクロバリマブの承認申請が、日本、中国、欧州に加えて米国においても受理されたことを大変嬉しく思う。
 クロバリマブは、在宅での自己投与が可能な4週ごとの皮下投与による治療薬となることを目指していく。長期に亘る治療を要するPNHにおいて、患者さんや介護者の方々のニーズにより柔軟に対応できる治療選択肢が増えることは大きな意義がある。
 世界各国のPNH患者さんに本剤をお役立ていただけるよう、ロシュと連携のうえ邁進していきたい。

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