流行地域へのデング熱ワクチンアクセス促進目指しBEと協業 武田薬品

 武田薬品は27日、 インドを拠点とする大手のワクチンおよび医薬品企業のBiological E社(BE)とQDENGA(4価弱毒生デング熱ワクチン)のマルチドーズバイアル(MDV)へのアクセスを加速するため戦略的に提携したと発表した。
 同提携により、2030年までにデング熱流行国の政府による公的予防接種プログラム(NIP)へのデング熱ワクチン調達を可能にする。MDVは、医療・環境廃棄物を削減すると共に、包装・保管費用を最小限に抑え、 NIPにおいて経済面および物流面での利点をもたらす。
 BEは年間5000万回接種分まで製造能力を向上し、今後10年で年間1億回接種分の製造を目指す武田薬品の取り組みを加速させる。今回の提携は、ドイツのジンゲンにある武田薬品の工場とIDT Biologika GmbH 社との長期提携による既存のワクチン製造能力に加えての計画となる。
 デング熱は、蚊が媒介するウイルス性疾患としては世界で最も多くみられる疾患の一つで、都市化、旅行、気候変動により、世界における罹患率は過去50年間で30倍に増加している。
 デング熱は、現在、100 ヵ国以上で流行しており、毎年3億9000万人が感染していると推定される。アメリカ大陸、東南アジアおよび西太平洋地域が最も深刻な影響を受けており、アジアのみで世界の疾病負担の約70%を占めている。
 QDENGAは現在、欧州各国、インドネシアとタイの民間市場、並びにアルゼンチンとブラジルの民間およびいくつかの公的予防接種プログラムで、小児および成人が利用できる。なお、QDENGAは、インドでは承認されていない。

◆Gary Dubin武田薬品グローバル ワクチン ビジネスユニットのコメント
 武田薬品のデング熱プログラムの長期的な目標は、予防接種の恩恵を受ける可能性のあるデング熱の罹患の危険にさらされている人々に QDENGAを広く提供することである。
 昨年、武田薬品は民間市場に向けた QDENGAの上市に成功し、現在一部の公的予防接種プログラムでも接種が始まっているが、パートナーと協力し、より広範な公衆衛生へ貢献していく。
 今回、ワクチン製造の深い専門知識を持ち、世界中の公衆衛生プログラムを長年にわたり支援してきた BEとの戦略的提携を発表できることを誇りに思う。我々は共に、QDENGAのマルチドーズバイアルの製造能力を大幅に向上させ、流行国におけるワクチンへの持続的なアクセス推進により、世界におけるデング熱対策に貢献する。

◆Mahima Datla BE社マネジングディレクターのコメント
 当社は、革新的な4価デング熱ワクチンであるQDENDAのマルチドーズバイアルの製造に関して、武田薬品との協業は誇らしい。患者さん中心の価値に基づいた研究開発を進める武田薬品の取り組みは、BEの医療の進歩に向けた取り組みと非常に合致している。
 こうした強力なグローバルパートナーと共に、すべての人々にとってより健康な未来を築くという共通の使命を果たすためのワクチンの製造施設を築いてきたことを誇りに思う。
 当社は、輝かしい歴史とグローバルなプレゼンスを有する武田薬品と共に、世界中で革新的な医薬品と変革的な医療を提供するという当社のビジョンを前進させていけることを光栄に思う。

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