武田薬品は17日、TAK-755について16日(米国時間)の米国FDAからADAMTS13欠乏性疾患の先天性血栓性血小板減少性紫斑病(cTTP)に対する酵素補充療法として生物学的製剤承認申請(BLA)が受理されたと発表した。TAK-755の申請は、FDAより優先審査指定および、cTTPに対する希少小児疾患(RPD)指定を受けている。さらに、同薬は既に、cTTPを対象としたファスト・トラック指定および希少疾病用医薬品指定も受けている。
TAK-755が承認されれば、患者の大きなアンメットニーズがある疾患であるcTTPに対する初めてかつ唯一の遺伝子組換えADAMTS13(rADAMTS13)補充療法薬となる。
cTTPは、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)のうち遺伝性に生じる極めてまれな疾患で、ADAMTS13プロテアーゼの欠乏により、慢性かつ消耗性の血液凝固障害を来たす。未治療のまま経過した場合、急性TTPの死亡率は90%を超える。
今回、BLAは、cTTPを対象とした初の無作為化対照試験から得られた有効性、薬物動態、安全性および忍容性データから示される包括的エビデンスおよび継続試験から得られた長期の安全性と有効性のデータによって支持されている。P3試験は、無作為化クロスオーバー法において、複数の臨床的に関連のある評価項目を用いて、血漿療法と比較したTAK-755の臨床効果を評価するよう設計された。
武田薬品が本年1月に発表した中間成績から、TAK-755が血漿療法と比較して、cTTPの重要な疾患活動性マーカーである血小板減少症事象の発現率を60%(95%信頼区間:30%~70%)低減させることが示された。
また、治療と関連性がある有害事象が発現した被験者の割合は、血漿療法を受けている被験者(47.7%)と比較して、TAK-755が投与された被験者(8.9%)で低い結果であった。P3試験の中間解析は、今後の学会で発表する予定。
TAK-755については、後天性(免疫性)TTP(iTTP)に対する安全性、有効性および薬物動態を評価する臨床第2b相試験も実施中である。米国FDAによるBLAの受理が、武田薬品の2024年3月期(2023年度)通期連結業績予想に及ぼす影響はない。
◆ダニエル・カラン武田薬品希少遺伝子疾患および血液疾患領域ヘッド(M.D.)のコメント
生命を脅かす極めてまれな疾患であるcTTPには承認された予防的治療法がなく、患者さんの治療選択肢には重大なニーズがある。
TAK-755は、臨床開発が行われている最初で唯一の、ADAMTS13を標的として補充する治療法であり、疾患の根本的原因に対応するものだ。希望が持てるデータが継続して示されており、この治療法を患者さんにお届けすることを目標として、米国FDAや各国の規制当局との緊密な連携を続けている。