日本初の心電計付き上腕式血圧計を用いた脳・心血管疾患の予防啓発事業開始 オムロン ヘルスケア

 オムロン ヘルスケアは22日、保険薬局およびドラッグストア法人との連携による脳・心血管疾患の予防啓発事業をスタートしたと発表した。同事業は、心房細動の早期発見を目的としており、不整脈の一種である心房細動の早期発見・治療介入を目的とした「オムロン 心電計付き上腕式血圧計 HCR-7800T」の発売と同時に実施するもの。
 新たな機器とビジネスモデルの展開により、同社の循環器事業ビジョンである「脳・心血管疾患の発症ゼロ(ゼロイベント)」を実現していく。
 世界で死亡者数が最も多い疾患は、脳卒中や心不全などの循環器疾患である(図1)。脳卒中や心不全を発症すると死に至るリスクがあり、一命をとりとめても重い後遺症が残る可能性がある。
 また、日本国内における血圧平均値は下降傾向にある一方で、心疾患による死亡者数は増加している(図2、3)。

図1 2017年疾患別死亡者数(グローバル) 出典:Global Burden of Disease Collaborative Network 2018.(予測値は2018年までのトレンドに基づき自社で算出)
図2:血圧値の変化(国内)       図3:病死者数の推移(国内)


 脳・心血管疾患を引き起こす要因は、生活習慣病や高血圧など様々だ。中でも重度の脳梗塞である心原性脳塞栓症の要因と言われているのが心房細動である。心房細動とは、心房内に流れる電気信号の乱れによって起きる不整脈の一種で、心房が痙攣したように細かく震え、血液をうまく全身に送り出せなくなる疾患である(図4)。

図4 心房細動が起きる仕組み


 心房細動を発症すると血栓ができやすくなり、その血栓が血流によって脳に運ばれ血管を塞ぎ脳梗塞発症に至ります。心房細動の人はそうでない人に比べ脳梗塞発症のリスクが約5倍高くなるというデータも確認されており、見過ごせない症状であると判る(図5、6)。


図5 心房細動と脳梗塞(心原性脳塞栓症)                       図6 脳梗塞発症リスク

 心房細動は早期発見と治療介入により高い効果を期待できるが、自覚症状が無く見過ごされやすいため、人間ドッグや健康診断で確認できない場合もある。また、加齢や肥満、高血圧などにより心房細動が引き起こされることもわかっている。
 中でも、心房細動患者の50~60%は高血圧であるというデータや、高血圧患者の10~20%は心房細動を有するというデータがあり、高血圧との相関性が高い。
 オムロンヘルスケアは、脳・心血管疾患の発症ゼロ(ゼロイベント)を循環器事業ビジョンに掲げ、家庭での血圧測定や遠隔診療サービスのグローバル展開を進めてきた。
 今回発売する心電計付き上腕式血圧計は、高血圧患者が家庭で血圧を測定する際に心電図も一緒に記録できる。心電図解析は専門性を要するが、心電計付き上腕式血圧計で記録した心電図は専用アプリ「OMRON connect」で分析し、心房細動の可能性をメッセージで知らせる。
 アプリで記録したデータは、PDF変換によりメール添付や出力可能で、通院時の医師との共有に活用できる。
 今回、より多くの高血圧患者の心房細動リスクを早期に発見するため、新たなビジネスモデル「脳・心血管疾患の予防啓発事業」の立ち上げにも挑戦する。一般社団法人スマートヘルスケア協会とのパートナーシップのもと、地域の生活者が一般医薬品の購入や定期通院時の処方箋調剤のために立ち寄る保険薬局やドラッグストアで、心電計付き上腕式血圧計とチェックシートを活用した「心電図による受診勧奨モデル」を展開する。
 薬剤師が、来局者に脳卒中や心房細動の理解促進を目的とした啓発活動を行う。さらに、本人の希望に基づいてチェックシートを用いた心房細動リスクの確認と心電計付き上腕式血圧計による心電図記録を促す。薬剤師は、心電図とチェックシートの結果から必要に応じて一般的な疾病説明と受診勧奨を行い、かかりつけの医療機関や地域の専門医療機関を案内する。
 これらの取り組みを通じて、脳・心血管疾患を早期に発見する機会を増やし、治療介入を進め、イベント発症を未然に防ぐことで、一人ひとりの健康ですこやかな生活に貢献していく。

心電計付き上腕式血圧計 HCR-7800T
スマートフォンアプリ「OMRON connect」画面
・心電図記録中
・心電図記録後

「⼼電図による受診勧奨モデル」概要

地域の生活者が処方箋調剤などの目的で利用する保険薬局やドラッグストアと連携し、心房細動の疾病啓発や早期発見の機会創出を目的とした取り組みだ。

心電図記録を希望した人のうち、年齢や生活習慣、既往歴などから心房細動を発症する可能性が高いと思われる場合は、リスクチェック行い、店頭に設置された心電計付き上腕式血圧計で心電図を記録する。チェックシートおよび心電図記録、解析メッセージから心房細動の可能性を確認した場合は、薬剤師が受診勧奨を行い、必要に応じて本人の同意の元、トレーシングレポートも作成する。

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