新しい抗てんかん薬「セノバメート」に期待

小野薬品は5日、東京都内で「てんかんに対する『思い込み』をアップデートする-最新の実態調査と治療の進歩から見えてきた、いま社会に必要な理解と支援-」をテーマにメディアセミナーを開催。
「てんかん発作を減らすことで患者のQOLを上げる」とともに、「周囲の正しい理解を深め、適切な対応につながる情報提供などの社会的支援をしっかり行う総合的・包括的患者ケア」の重要性が確認された。
また、治療の進歩では、川合謙介自治医科大学附属病院病院長が9月16日に製造販売承認された抗てんかん薬「セノバメート」について言及。「新薬は、発作消失率が100㎎/日で12%、200㎎/日で30%、400㎎/日で52.4%と非常に高く、多くの医師が注目している」と期待を寄せた。

セミナーでは始めに滝野十一 小野薬品代表取締役社長COOが、「小野薬品は、セノバメートの製造販売承認を取得して、てんかん領域への新たな一歩を踏み出した。だが、てんかんを取り巻く環境課題は、医薬品だけでは解決できるものではない」と明言。
加えて、「てんかんは、日本に100万人の患者がいる身近な疾患にも拘わらず、誤解、偏見、社会的な理解不足があり、日常生活、就学、就業に影響を与えている」と指摘し、「このセミナーが、疾患や治療、てんかんのある方々の生活について理解を深めて頂く機会になれば幸いである」と挨拶した。
今回公表された「てんかんに関する実態調査」は、「てんかん月間」である10月に合わせ、小野薬品と日本てんかん協会が共同で、一般生活者1110名、てんかんのある人138名、てんかん診療に携わる医師119名を対象に実施したもの。
調査結果では、てんかんという疾患名を知っていても、一般生活者の6割以上は、「てんかんの原因や症状、日常生活・社会生活への影響、治療に関する知識・情報が不足している」実態が明らかにされた。また、てんかんのある人の45%が、周囲に「打ち明けづらい」「打ち明けられない」相手がいると回答し、その背景には偏見や誤解、差別への不安があることも判った。
治療面では、医師の88%、てんかんのある人の44%が「てんかん発作消失」を治療目標として挙げる一方、薬物療法を実施している医師のうち、23%が発作消失に至っていないことが示された。

高井信治小野薬品執行役員/メディカルアフェアーズ統括部長は、「発作頻度が高い人ほど、治療薬に対する満足度が低かった。特に発作消失効果に対して不満を抱いていた」と報告した。 発作頻度と治療満足度の関係については、「医師とてんかんのある人は、ともに“発作が完全になくなること”を治療目標としている割合が最も高かった」と明言。その一方で、「てんかんのある人は医師から“発作頻度の減少”を治療目標と説明されていた」と指摘し、「医師はてんかんのある人に対して、現状の治療限界を踏まえた現実的な提案をしていることが示唆された」と考察した。
さらに、「てんかんのある人は、周囲からの誤解・差別・偏見を心配し、周囲にてんかんのことを打ち明けられないと考えており、社会に対しててんかんの正しい知識の普及・啓発を望んでいる」と訴えかけた。
てんかんのある当事者として講演した澤村喬平氏(44歳)は、「てんかんは周囲から見えにくいので、どうしても隠す選択肢を選んでしまう。他方、てんかんのことを知らない人が多く、偏見の檻を自分自身で作っていた」と自らの経験を振り返った。
「てんかん診療の現在地とこれから ~治療の進歩と残された課題~」をテーマに講演した川合氏は、セノバメートについて「欧米では5年前から臨床データが報告されていて、有効性が非常に高く、我々専門医は日本に入ってくるのを心待ちにしていた。9月に承認されたことは、てんかんの臨床にとって非常に喜ばしい」と訴えかけた。
てんかん発作消失率は、迷走神経刺激療法で5%程度で、既存の様々なてんかん薬でもなかなか10%は達成できなかった。 それに比べてセノバメートの発作消失率は、100㎎/日で12%、200㎎/日で30、最大服用量の400㎎/日で52.4%と非常に高い。川合氏は、「我々にとってはあり得ない高さなので、非常に多くの医師が期待している」と高評価する。
その一方で、維持期における安全性では、「浮動性めまい、傾眠などの中枢抑制作用の副作用出現率は他の薬剤と比べて少し高い。川合氏は、「この副作用と効果とのバランスを多くの患者、医師がどのように評価していくかがポイントになる」と指摘する。
さらに、「専門医は、既存の治療薬を予測可能な副作用の出現を覚悟して最大量を超えても投与する場合がある。中枢抑制作用の副作用は予測できるので、多くの医師はセノバメートを試してみたいと考えているだろう」と語った。副作用予測ができない薬剤過敏症候群については、「見極めていく必要がある」と強調。その上で、「日本、中国、韓国の3国共同試験では、徐々に薬剤を増量していくことで危険な薬剤過敏症候群は一例も見られなかった」と紹介した。
