エンタイビオ皮下注射剤 米国FDAが導入後活動期クローン病維持療法で承認 武田薬品

 武田薬品は19日、エンタイビオ皮下注射剤について、点滴静注製剤による導入療法後の成人の中等症から重症の活動期クローン病に対する維持療法として米国FDAに承認されたと発表した。
 エンタイビオ皮下注射製剤は、中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎の成人患者の維持療法として、2023年9月にFDAに承認されており、米国では単回投与用プレフィルドペン製剤(ENTYVIO Pen)として提供されている。
 今回の承認は、VISIBLE2試験(SC CD試験)からのデータに基づくもの。同試験は、0週および2週時点に非盲検下にてベドリズマブの点滴静注製剤による静脈内投与を2回実施後、6週時点で臨床的改善を達成した、中等症から重症の活動期クローン病成人患者を対象として、エンタイビオ皮下注射製剤による維持療法を行ったときの安全性と有効性をプラセボと比較して評価した無作為二重盲検P3試験である。
 主要評価項目は、52週時点における臨床的寛解(クローン病活動指数[CDAI:Crohn’s Disease Activity Index]のスコアが150以下と定義)である。
 VISIBLE2試験では、全409名の患者が6週時点で、二重盲検法により、2週間ごと投与のエンタイビオ皮下注射製剤108mg群とプラセボ群に2:1で無作為に割り付けられた。
対象患者は、コルチコステロイド、免疫調節薬(アザチオプリン、6-メルカプトプリンまたはメトトレキサート)、腫瘍壊死因子(TNF)阻害薬のうち、少なくとも1剤において、効果不十分、効果減弱または不耐である患者であった(一次無効例を含む)。
 52週時点における長期の臨床的寛解率において、エンタイビオ皮下注射製剤108mgを維持療法として2週間ごとに投与した群では、プラセボ投与群と比較して統計学的に有意に高い結果(エンタイビオ皮下注射群:48%、プラセボ投与群:34%、p<0.01)を示した。
 臨床試験において、エンタイビオ皮下注射製剤の安全性プロファイルは、点滴静注製剤の既知の安全性プロファイルと概ね一致していたが、皮下注射製剤の副作用として注射部位反応(注射部位の紅斑、発疹、そう痒症、腫脹、挫傷、血腫、疼痛、蕁麻疹、浮腫)が追加された。
 エンタイビオ点滴静注製剤で最も多く報告された副作用は(発現率が3%以上で、プラセボ群より1%以上高い事象)、上咽頭炎、頭痛、関節痛、悪心、発熱、上気道感染、疲労、咳嗽、気管支炎、インフルエンザ、背部痛、発疹、そう痒症、副鼻腔炎、口腔咽頭痛および四肢痛であった。

◆Timothy Ritter GI Alliance Research研究教育部門シニア メディカル ディレクター(TCU School of Medicine医学部助教授, MD)のコメント
 クローン病は複雑で、通常は進行性であり、適切な管理が欠かせない。臨床医としての私の第一の目標は、常に患者さんの寛解を達成することである。
 VISIBLE2試験では、エンタイビオ皮下注射製剤で治療を行った患者さんの約半数で、長期的な臨床的寛解を達成できた。VISIBLE2試験のデータから、エンタイビオが投与経路に関わらず、安定した有効性のプロファイルを持つことが確認されている。

◆Brandon Monk武田薬品U.S.メディカルシニアヴァイスプレジデント(米国消化器系疾患ヘッド)のコメント
 クローン病に対するエンタイビオ皮下注射製剤の承認は、患者さんに潰瘍性大腸炎またはクローン病の寛解のための治療選択肢をお届けするという私たちの目標の実現につながるだけでなく、治療に柔軟性や投与経路の選択肢をもたらす。
 ENTYVIO Penの登場により、患者さんが自宅や外出先で維持療法を行う選択肢ができた。皮下投与の選択肢の開発は、消化器系疾患と共に生きる人々の真のニーズに応えるという当社の取り組みを示すものである。

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