20~60代の働く人の2人に1人が「副業・兼業」の意向 副業・兼業ではお金の管理より「健康管理」が重要
第一三共ヘルスケアは、自分自身で健康を守り対処する「セルフケア」という考え方が、人生100年時代の日本において重要なテーマになることを見据え、毎年、働く人の「健康とセルフケアの実態調査」を行っている。
今回の調査では、働き方が多様化する中、テレワークや副業・兼業などをテーマに加え、健康やセルフケアに関する意識や行動の変化に着目しました。調査結果の概要と詳細は次の通り。
【調査結果の概要】
1、働く人の健康とセルフケアの実態
◆自分自身で健康を守り対処する「セルフケア」、75.8%が認知。実践率は年々低下し、44.4%に。
◆セルフケア実践TOP3は「十分な睡眠」「1日3食きちんと食べる」「朝食をきちんと食べる」。
◆セルフケア費用は1カ月平均4,173円。20代が4,765円と、最も費用をかけている。
◆7割以上が「今後日本では、セルフケアの重要性が増す」と回答。
2、 コロナ5類移行後の変化
◆5類移行後、外食や外出、旅行などの「行動」機会が増加。
◆「テレワークあり」の人は、なしの人に比べ、出社や対面での会議が増加。通勤の混雑をより強く感じ、体力の低下や疲れを感じている人が多い。
◆「テレワークあり」の人は、なしの人に比べ、セルフケアの重要性を実感し、セルフケアの実践度も高い。
3、 タイパ・スキマ時間とセルフケア
◆セルフケアに「タイパ」を意識する人は半数以下だが、約6割が「スキマ時間」に行いたい。
◆セルフケアを行いたいスキマ時間は「寝る前」や「昼休み」。
4、 副業・兼業とセルフケア
◆働く人の2人に1人が副業・兼業意向あり。現在副業・兼業中の人は9割以上が継続意向あり。
◆副業・兼業を現在継続中の人は過去にやめた人に比べ、「体調管理」に気を配り、「疲れ」「ストレス」が少ない。
◆副業・兼業で大切なことは、お金の管理より「健康管理」。
【調査結果の詳細】
1、働く人の健康とセルフケアの実態
◆自分自身で健康を守り対処する「セルフケア」、75.8%が認知。実践率は年々低下し、44.4%に。
20〜60代の働く男女を対象に「セルフケア」(自分自身で健康を守り対処すること)に関する調査を行った。まず、セルフケアという言葉の認知について聞くと、75.8%が「知っている」(「意味、内容まで知っている」+「言葉だけは知っている・聞いたことがある」)ことが分かった[図1]。
「セルフケアとは、自分自身で健康を守り対処すること」と提示した上で、自身のセルフケアがどの程度できているか聞いたところ、セルフケアができている(できている+どちらかといえばできている)と回答した割合は全体の44.4%であった。
年代別に見ると、実践率が高いのは60代(51.1%)と20代(49.5%)で、約半数が「できている」(「できている」+「どちらかといえばできている」)と回答している。一方、40代(39.5%)と50代(41.2%)は約4割と低くなっている[図2-1]。
セルフケア実践率について2020年からの経年推移を見ると、セルフケアの実践率は年々低下傾向を示し、過去4年間で約10ポイントも下がっている[図2-2]。
◆セルフケア実践TOP3は「十分な睡眠」「1日3食きちんと食べる」「朝食をきちんと食べる」。
セルフケアとして行っていることとしては、「十分な睡眠をとる」(44.5%)、「1日3食きちんと食べる」(40.9%)、「朝食をきちんと食べる」(39.3%)、「野菜を多く摂取する」(39.0%)、「手洗い・うがいをこまめにする」(35.5%)が上位に入った。年代別で見ると、全体的に60代において高い傾向が見られる[図3-1]。
また、項目別で見ると、全体平均に比べて高いのは、20代は「サウナなどで整える」、30代は「筋トレ・ストレッチなど体を動かす」、50代・60代は「定期的に健康診断を受ける」、60代は「日常的に血圧を測定・チェックする」でした[図3-2]。ライフステージごとに、セルフケアの内容に特徴があることが分かった。
◆セルフケア費用は1カ月平均4173円。20代が4765円と、最も費用をかけている。
セルフケアにかけている金額は、1カ月平均で4,73円であった。年代別で見ると、20代が4765円と最も高くなっている[図4]。
◆7割以上が「今後日本では、セルフケアの重要性が増す」と回答。
セルフケアに対する意識について聞いたところ、「今後日本では、セルフケアの重要性が増す」と思う人の割合は、72.5%に上った。また、セルフケアの有用な手段の一つである市販薬の活用については、「今後日本では、病院に行かず市販薬を使う機会が増える」と思う人の割合が54.5%と半数以上を占めている[図5]。
このようにセルフケアに対する意識は高いものの、セルフケアの実践率(図2-2)は低下していることから、意識と実践の間に隔たりがあることが浮き彫りになった。
2、コロナ5類移行後の変化
2023年5月に新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが2類相当から「5類」へと移行され、それまでのさまざまな制約が緩和された。これにより、働く人の生活や意識がどのように変化したのかを調査した。
◆5類移行後、外食や外出、旅行などの「行動」が増加。
まず、コロナ5類移行後の生活における変化を聞くと、「外食することが増えた」(36.9%)、「旅行や外出が増えた」(35.3%)、「帰省も含め人に会うことが増えた」(29.5%)と回答した人が多く、外出や人と直接会う機会が増えていることがうかがえる[図6]。
コロナ禍においてテレワーク(リモートワーク)を導入した企業が増えたといわれているが、今回の調査対象者に、現在(2024年1月時点)のテレワーク状況を聞くと、「全て出社して働いている(テレワークはしていない)」と答えた人が72.7%を占め、「テレワークをしている」と答えた割合は27.3%であった。
また、「テレワークあり」であっても、内訳を見ると「出社が多い」が最も多い結果となった[図7]。
◆「テレワークあり」の人は、なしの人に比べ、出社や対面での会議が増加。通勤の混雑をより強く感じ、体力の低下や疲れを感じている人が多い。
現在、「テレワークあり」の人と「テレワークなし」の人で、コロナ5類移行後の生活における変化を比較した。その結果、「テレワークあり」の人は、コロナ禍のときに比べて「出社が増えた」「対面での会議が増えた」「通勤の交通機関が混雑している」と感じる人が、「テレワークなし」の人より大きく増加していることが分かりました。「テレワークあり」の人の多くが、出社と在宅のハイブリッドワークのため、「テレワークなし」の人に比べ、毎日の変化が大きいことが推測される。
また、コロナ禍以前(2019年頃)に比べ、「体力の低下を感じる」「疲れやすい、疲れを感じる」と回答した人も多くなっている。一方、「自分の体調変化に敏感になった」と感じる割合も、「テレワークあり」の人の方が高くなっている[図8]。
◆「テレワークあり」の人は、なしの人に比べ、セルフケアの重要性を実感し、セルフケアの実践度も高い。
図8のとおり、「テレワークあり」の人は、なしの人に比べ、「自分の体調変化に敏感になった」と回答した人の割合が多くなっている。そこで、セルフケアに対する意識の違いについて比較した。
まず、自分自身における「セルフケアの重要性」について、コロナ禍以前(2019年頃)に比べて現在の方が高くなった人の割合を見ると、「テレワークなし」の人が34.7%であるのに対し、「テレワークあり」の人は8.2ポイント高い42.9%に上った。
また、「テレワークあり」の人は「テレワークなし」の人に比べて「セルフケアに対する意欲」も7.5ポイント高く、同様に「セルフケア実践度」も7.3ポイント高い結果となっている[図9]。
【コラム】コロナ禍で浸透したニューノーマルな衛生習慣は、今?
日本の新型コロナウイルス感染症は、2020年1月15日に最初の感染者が確認され、2023年5月8日に感染症法上の位置付けが5類へと移行した。コロナ禍においては、マスク着用、うがい、手洗い、手指消毒などの対策が呼びかけられた。そこで、各対策の実施有無について、コロナ禍が始まった2020年と5類に引き下げられた2023年とで比較すると、「実施した」(しっかり実施した+まあまあ実施した)と回答した人はいずれも減少している。特に、手指消毒は16.4ポイント減、マスク着用も12.2ポイント減と、大きな変化が認められる。
3、タイパ・スキマ時間とセルフケア
「タイパ」という言葉を耳にすることが増えた。タイパはタイムパフォーマンスのことで、日本語では「時間対効果」と訳され、短時間で高い効果や満足度が得られた場合は「タイパが良い(高い)」と評される。セルフケアにもタイパが求められているのか、その意識を調査した。
◆セルフケアに「タイパ」を意識する人は半数以下だが、約6割が「スキマ時間」に行いたい。
「セルフケアを行う際にタイパを意識して行っているか」と聞いたところ、「そう思う」(そう思う+ややそう思う)と回答した人の割合は半数以下(40.2%)であった。一方、意向については、日常生活の中のちょっとした空き時間の有効活用として「スキマ時間ができたらセルフケアを行いたい」と思っている人は59.4%(そう思う+ややそう思う)、「セルフケアはできるだけ効率的に行いたい」と思っている人は60.7%(そう思う+ややそう思う)と、それぞれ全体の約6割を占めている[図10]。
何かと忙しい今日、セルフケアにおいては、日常生活の中のスキマ時間を有効活用することで、タイパを高めたい意識が垣間見える。
◆セルフケアを行いたいスキマ時間は「寝る前」や「昼休み」。
セルフケアを行いたいスキマ時間を聞いたところ、上位に「寝る前」(33.2%)、「昼休み」(20.4%)、「帰宅直後」(19.5%)が挙がった[図11]。また、スキマ時間に行うセルフケアとしては、「歩く」(34.3%)、「ストレッチや体操」(27.8%)、「筋トレ」(22.5%)が挙がった[図12]。
4、副業・兼業とセルフケア
次に副業・兼業とセルフケアの関係について調査した。
2023年7月に発表された総務省「令和4年就業構造基本調査」によると、「非農林業従事者のうち副業がある人は305万人と5年前に比べ60万人増加」と報告されている。
さらに、テレワークが普及したことで働き方の多様化が加速し、今後も副業・兼業人口が増加することが予想される。
今回の調査対象者に副業・兼業の経験を聞くと、副業・兼業経験者は26.4%であった[図13]。
◆働く人の2人に1人が副業・兼業意向あり。現在副業・兼業中の人は9割以上が継続意向あり。
今後の副業・兼業について聞くと、その意向がある割合は50.0%(ある+ややある)を占めることが分かった。副業・兼業の経験別に見ると、副業・兼業経験者では73.9%(ある+ややある)、経験がない人でも41.4%が副業・兼業の意向が「ある」(ある+ややある)と回答している[図14]。
◆副業・兼業を現在継続中の人は過去にやめた人に比べ、「体調管理」に気を配り、「疲れ」「ストレス」が少ない。
副業・兼業経験者264人に副業・兼業をしていたときに感じたことを聞いた。すると、「疲れを感じることが多かった」(27.7%)、「自分の時間や余暇時間がとれなくなった」(25.8%)、「ついつい働き過ぎてしまった」(23.5%)が上位に挙がった[図15-1]。これを副業・兼業を現在も継続している人と過去にやめた人で比較すると、継続している人は「体調管理・健康管理に気を配った」と回答した割合が21.6%と多く、やめた人(10.1%)より11.4ポイントも高くなっている。
この結果に呼応するように、「疲れ」は9.3ポイント、「ストレス」は13.5ポイントも、副業・兼業を現在も継続している人の方が低くなっている[図15-2]。体調管理は、副業・兼業を長く続けるため大切な要素であることがうかがえる。
◆副業・兼業で大切なことは、お金の管理より「健康管理」。
全員に、副業・兼業をする際に気遣う大切なことについて聞いた。その結果、「お金の管理」(57.2%)、仕事を含めた生活全般の「時間の管理」(50.8%)を抑え、トップは「健康管理」(66.6%)でした。現在、副業・兼業をしている人では、「健康管理」と回答した人の割合が71.6%に上り、最も高くなっている[図16]。
産業医・鄭理香先生に聞く、「働く人に最適!スキマ時間セルフケアのススメ」
◆セルフケア実践率が減少しているのは、セルフケアが定着し日常化したことの表れでは?
調査結果を見ると、セルフケアの実践率は年々減少しているが、新型コロナが5類になって実際はセルフケアを行う機会が減ったわけではなく、コロナ禍と比べるとそれほど意識はしていない、または必要以上のことはしないという状況ではないだろうか。臨床の現場でも、セルフケアができていない人が増えたという印象はなく、コロナ禍を経て体調管理に対する意識はぐっと高まり、それが日常的な行動として定着してきたように感じる。
とはいえ、時間とともに意識が薄れる懸念はあるので、しっかりと習慣化していただきたい。
◆テレワークという働き方の選択肢が、セルフケアを高めるきっかけに
調査結果から、「テレワークあり」の人は、なしの人と比べると、セルフケアを重要だと考える傾向が強く見られた。テレワークという働き方を選択する機会があることで、毎日の体調に注意を払い、気になるときは出社から在宅に切り替えるなど、自分の体調変化に目を向けて健康意識がより醸成されることも、セルフケアの重要性を感じる一因だと考える。テレワークという働き方の選択肢が、セルフケア意識を高めた結果といえるだろう。
◆体調がすぐれないときのセルフケアに役立つ「OTC医薬品」
とはいえ、テレワークができないお仕事の方も大勢いる。テレワークはできないし体調はすぐれない、そのようなとき、役に立つのがOTC医薬品だ。OTC医薬品は市販薬ともいわれ、医師に処方してもらう「医療用医薬品」ではなく、薬局やドラッグストアなどで自分で選んで買える医薬品のことである。病院に行くほどでもないが調子がすぐれないときは、OTC医薬品をうまく活用することも有効である。
OTC医薬品を使い自分の体調管理がスムーズにできるようになると、日々のメンテナンスも続けやすくなる。今まで経験したことのない症状には医師の診療が必要ですが、OTC医薬品を活用できる場面があれば、自分自身で健康を守り対処する術として上手に活用していただきたい。
◆セルフケアは続けることが大事。わざわざ時間をつくるのではなくスキマ時間を使うことが継続のコツ
調査結果によると、スキマ時間ができたらセルフケアを行いたいと約6割の人が考えている。セルフケアは「日々継続」がポイントなので、毎日のちょっとしたスキマ時間にセルフケアを行うことは、わざわざ時間をつくる必要がないため継続するためのコツと言える。
寝る前にストレッチをしてリラックスしたり、昼休みに軽く筋トレして気分を切り替えたり、今あるスキマ時間で自分がやってみたいセルフケアを無理せずに行ってみて頂きたい。今日はできてよかったと思えることが達成感となり、継続の好循環が生まれる。
例えば「笑う」という行為には、ストレス緩和や免疫力アップなどさまざまな効果があるといわれている。仕事の休み時間に面白い動画を見て笑ったり、好きな写真をスマホの画面に設定してほっこりしてみたり、ちょっとした時間にできるプチ気晴らしを取り入れていくのも効果的だ。昼休みに空を眺めるだけでも、気持ちが楽になる。
スキマ時間をうまく使って、セルフケアを楽しみながら続けてみて頂きたい。
セルフケアに役立つ第一三共ヘルスケアの取り組み
① 情報提供サイト「くすりと健康の情報局」について
第一三共ヘルスケアでは、長年製薬事業に携わってきた経験と知識を生かし、「くすりと健康の情報局」を運営している。気になる症状があればすぐスマートフォンで検索する時代に合わせ、身近な症状の原因・予防・対策や市販薬の役割などを紹介している。症状が起こったときだけではなく、日頃から症状の特徴や薬に関する知識を深めるコンテンツを用意し、情報を正確かつ分かりやすく伝え、セルフケア実践の一助となるサイトを目指している。https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/health/
②セルフケア情報メディア「健康美塾」について
「健康美塾」は、季節やトレンド、ライフステージごとで気になる症状の情報を毎月配信しているセルフケア情報メディアである。スキンケア・風邪の対処といった日常生活におけるセルフケアや、生理痛・更年期をはじめとした女性特有の健康課題などについて、医師や薬剤師、美容家による専門的な情報と実践的なスキルや解決法などを紹介している。
忙しく過ごしていると後回しになりがちな自分自身の「からだ」について、少し立ち止まり向き合っていくために、共に考え、道しるべとなる場所として、楽しさや学び、新たな発見とともにセルフケア情報を届けている。http://www.daiichisankyo-hc.co.jp/kenko-bijuku/