一次性免疫性血小板減少症治療薬mezagitamab P2試験で良好な結果 武田薬品

 武田薬品は14日、開発中の一次性免疫性血小板減少症を対象としたベスト・イン・クラス候補の抗CD38モノクローナル抗体「mezagitamab(TAK-079)」について、P2試験(TAK-079-1004試験)で良好なトップライン結果が得られたと発表した。
 TAK-079-1004試験は、持続性もしくは慢性の一次性免疫性血小板減少症(特発性血小板減少性紫斑病、ITP)の患者を対象にmezagitamabの安全性、忍容性および有効性を評価する無作為化、二重盲検で、プラセボ対照試験の良好なトップライン結果を得た。
 mezagitamab は、CD38発現細胞(形質芽細胞、形質細胞、ナチュラルキラー細胞を含む)に高い親和性を有する完全ヒト免疫グロブリンIgG1モノクローナル抗体(mAb)で、CD38発現細胞を減少させる。
 TAK-079-1004試験では、慢性(発症後 1 年以上)もしくは持続性(発症後 3~12 カ月)の一次性 ITP の患者に対し、mezagitamabの3つの用量を週1回、8週間にわたり皮下投与し、プラセボと比較した。現在も継続中のP2試験の中間解析では、安全性および有効性で良好な結果が示された。
 mezagitamabの安全性および忍容性は、3つの用量すべてにおいて概ね良好であった。mezagitamab で検討したすべての用量において血小板反応が認められた人数の割合はプラセボよりも高い結果となった。血小板数の増加は用量依存的であり、検討した最高用量で最大の血小板反応が認められた。
 mezagitamabの投与を受けた患者は、同剤投与後、速やかに血小板反応が認められ、投与期間終了後も持続した。
 これらの良好な結果を踏まえ、世界各地の医薬品規制当局と協議した後に、武田薬品はITPを対象としたmezagitamabの国際共同P3試験を2024年度に開始する予定である。
 mezagitamabがITPを対象としたP3試験を開始した場合、同社が2024年度にP3試験を開始する候補物質は、乾癬および乾癬性関節炎の治療薬のTAK-279、ナルコレプシータイプ1の治療薬TAK-861、レノックス・ガストー症候群およびドラベ症候群の治療薬soticlestat、α1 アンチトリプシン欠乏症による肝疾患治療薬 fazirsiran とあわせて 5 つとなる。
 ITPは、IgGが介在する希少な自己免疫疾患で、出血防止や止血を担う血液細胞である血小板(および/または巨核球)に対する自己抗体の発現によって引き起こされる疾患だ。ITP は、血小板の加速的な破壊(血小板産生障害の有無にかかわらず)を特徴とし、その結果、血小板数が減少し、出血のリスクが高まり、衰弱(疲労やQOLの低下など)をきたし、重症の患者さんでは生命が脅かされる場合もある。
 ITPを適応とした新薬の承認を取得するには、持続的に血小板数を 50,000/μL 以上に維持する必要がある。ITP 患者の約 20%は、第一選択薬および第二選択薬による治療を受けても血小板数が50,000/μL以上に達しないため、患者への負担が大きいことから、忍容性の高い治療薬に対するアンメットニーズが残っている 。
 mezagitamab による治療は、速やかに且つ持続的な血小板反応を発現し、血小板数を正常な機能が得られるレベルまで速やかに回復させることが期待できる。mezagitamabは、米国FDAよりオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)指定を取得し、同プログラムはファストトラック(優先審査)の対象とされている。
 なお、今回得られたP2試験結果は、2024年3月期(2023 年度)通期の連結業績予想に影響を及ぼすものではあない。

◆Chinwe Ukomadu武田薬品消化器系・炎症性領域ユニットヘッドのコメント
 今回得られたP2試験の結果は、mezagitamabが疾患を修飾する作用機序を有し、ITP患者さんに寛解をもたらす可能性を示している。ITPの患者さんによっては、従来の治療薬が無効であったり、十分な効果が得られなかったりなど、大きなアンメットニーズが残っている。
 また、従来の治療薬で効果が得られても、副作用に苦しんだり、治療中に症状が再燃したりする患者さんもいる。今後、P3試験を開始し、P2試験のデータは医学学会で発表する予定である。

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