急性白血病治療薬候補化合物DSP-5336のP1/2試験開始 大日本住友製薬

 大日本住友製薬は31日、急性白血病に関する基礎研究成果をもとに開発された新薬候補化合物DSP-5336について、日本および北米で実施中の急性白血病を対象にP1/2試験の最初の患者への投与を開始したと発表した。
 同社では、国立がん研究センター(東京都)と庄内地域産業振興センター(山形県)とDSP-5336のバイオマーカー候補の選別や適応症の検討等に関する共同研究を実施している。
 今後は、国立がん研究センターおよび庄内地域産業振興センターのがん研究の実績と、大日本住友製薬の創薬研究において蓄積された知見との融合による共同研究の成果を通じて、いまだ十分な治療法のない予後不良の急性白血病に対して革新的な治療薬の提供を目指す。
 急性白血病治療は、現在でも化学療法が主体であり、治癒が期待できない予後不良群が存在する。特に MLL(mixed-lineage leukemia)遺伝子の染色体転座が見られる MLL 転座白血病患者の5年生存率は20%以下と極めて不良で、革新的な分子標的療法の開発が強く望まれている。
 庄内地域産業振興センター/国立がん研究センター・鶴岡連携研究拠点がんメタボロミクス研究室の横山明彦チームリーダーの研究チームは、MLL染色体転座の結果生み出される MLL 融合タンパクが MENIN タンパクと結合することで急性白血病を発症するメカニズムを世界に先駆けて発見した。
 同研究成果に基づき、京都大学と大日本住友製薬との協働研究プロジェクト「DSK プロジェクト」を通して MLLタンパクと MENINタンパクとの結合を選択的かつ強力に阻害するDSP-5336を創製した。
 さらに、同剤の非臨床試験において、国立がん研究センター研究所造血器腫瘍研究分野の北林一生分野長の研究チームと横山チームにより、これまでに国立がん研究センターが蓄積してきた臨床検体や様々なマウス白血病モデルを用いて、同剤の多様な白血病への抗腫瘍作用が示された。
 今後、大日本住友製薬は、MLL転座白血病および NPM1遺伝子変異白血病を予定適応症として同剤の開発を進める予定だ。
 なお、同研究は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の医療分野研究成果展開事業「産学連携医療イノベーション創出プログラム(ACT-M)」の支援を受け実施している。
 また、国立がん研究センターでは、関連する血液がんの研究に関し、AMEDの「次世代がん医療創生研究事業(P-CREATE)」の支援を受けている。

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