HYQVIA 慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の維持療法で欧州委員会が承認 武田薬品

 武田薬品は30日、HYQVIA(皮下注用人免疫グロブリン10%/遺伝子組換えヒトヒアルロニダーゼ)について、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)の維持療法で欧州委員会(EC)が承認したと発表した。
 対象は、CIDPのあらゆる年齢の患者における静注用人免疫グロブリン製剤(IVIG)による療法で安定した後の維持療法。
 CIDPに対するHYQVIAの中央審査による販売承認はすべてのEU加盟国ならびにアイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェーおよび北アイルランドで有効である。
 HYQVIAは、2013年に原発性免疫不全症(PID)の治療薬としてECから初めて承認され、2020年には続発性免疫不全症(SID)の治療薬として承認された。
 米国では、本年1月16日(米国時間)にCIDPの成人患者における維持療法としての米国FDAより承認されている。
 初めてかつ唯一のCIDPに対する促進型皮下注用人免疫グロブリン製剤(fSCIG)であるHYQVIAは、ヒアルロニダーゼ成分が皮膚と筋肉の間の皮下組織における大量の人免疫グロブリン(IG)の拡散と吸収を促進するため、最長で1か月に1回(2、3または4週ごと)の間隔で投与できる可能性を患者に提供する。
 HYQVIAは、医療従事者による投与、もしくは、適切なトレーニング後、患者の自宅の快適な環境で自己注射することもできる。
 CIDPは、末梢神経系に影響を及ぼす後天的な免疫介在性の病態であり、四肢の遠位および近位における進行性の左右対称性の脱力と感覚機能の障害を特徴とする。この希少な、衰弱性の、緩徐に進行または再発する疾患に対するIG療法の役割は十分に確立されている。幅広い免疫調節作用と抗炎症作用は、欧州神経学会と末梢神経学会のガイドラインによって、この複雑で多様な疾患に対する標準治療とみなされている。
 同承認は、CIDP患者の再発予防のための維持療法としてのHYQVIAの有効性と安全性を評価した多施設共同プラセボ対照二重盲検試験であるピボタルP3相ADVANCE-CIDP1試験のデータに基づくもの。
 同グローバル試験は、CIDPの確定診断を受け、スクリーニング前の少なくとも3か月間、IVIG療法の用法・用量に変更がなかった成人患者132名を対象としている。
 試験の結果、CIDP再発率においてHYQVIA群がプラセボ群に対して臨床的に有意な減少を示し、HYQVIA群で15.5%(95%信頼区間:8.36、26.84)、プラセボ群で31.7%(95%信頼区間:21.96、43.39)であった。治療差は-16.2(95%信頼区間:-29.92、-1.27)で、プラセボと比較してHYQVIAの有効性が確認された。
 有害事象(AEs)は、HYQVIA(79.0%)の方がプラセボ(57.1%)より頻度が高かったものの、程度が高度のAEs(1.6% 対 8.6%)および重篤なAEs(3.2% 対 7.1%)は少ない結果となった。殆どの有害事象は軽度または中等度であり、局所的で、投与の中止あるいは中断を必要とせず、後遺症なく消失した。
 最もよくみられた(患者の5%以上で報告された)因果関係のある有害事象は、頭痛、悪心、および注入部位の疼痛、紅斑、そう痒症、浮腫などの局所的有害事象であった。全体として、ADVANCE-CIDP 1試験でみられた安全性プロファイルは、既存のEU製品概要(SmPC)と概ね一致していた。

◆クリスティナ・アルキメッツ武田薬品シニア・ヴァイス・プレジデント、プラズマ デライブド セラピーズ ビジネス ユニットリサーチ&デベロップメントヘッドのコメント
 2024年1月にFDAがHYQVIAのCIDP適応を承認したことに続き、ECによるCIDPに対するHYQVIAの承認は、EU域内でCIDPとともに生きる患者さんに、自宅もしくは医療機関にて最長で1か月に1回の間隔で投与できる有効性が証明された維持療法を提供するための重要な一歩である。
 このHYQVIAの適応拡大は、神経免疫疾患に罹患する患者さんに免疫グロブリン製剤の効果をお届けし、患者さんの生活を改善し、標準治療を向上させる可能性のある治療選択肢を提供する当社の取り組みを反映している。

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