MD Andersonとの提携でアンメット・メディカル・ニーズ治療薬開発を加速   大鵬薬品

 大鵬薬品は24日、MD Andersonと3年間の戦略的提携を開始したと発表した。同提携は、転移性脳腫瘍(脳転移)や膵がんを含む難治性がんなどのアンメット・メディカル・ニーズに対する治療の開発加速を目的としたもの。
 同提携により、大鵬薬品で創製した臨床、非臨床段階の脳転移治療候補化合物がMD AndersonのTRACTIONプラットフォームやBrain Metastasis Clinicの臨床開発基盤で評価されるようになる。
 大鵬薬品の常務取締役である宇津木照洋博士氏は、「MD Andersonとの提携は、治療の選択肢が限られている患者のための標的開発から治療までを一直線に見据える方向性を例示してくれるものと思う」と強調。さらに、「この革新的な研究体制で新薬候補化合物のポートフォリオを評価・分析することにより、効果的な治療戦略をより迅速に特定し、開発することが可能になるだろう」とコメントしている。
 American Brain Tumor Associationによると、米国では年間20万人以上のがん患者が脳や脊椎への転移と診断をされているが、これらの患者は臨床試験の対象から除外されることも多く、有効な治療法の開発は進んでいない。
 だが、脳転移のある患者が免疫療法や標的療法によりQOLや生存期間の改善につながる有意な臨床効果を得られる可能性があることが、悪性黒色腫や肺がん、乳がんを対象とした最近の臨床試験で示されている。
 MD AndersonのBrain Metastasis Clinicは、脳転移のある患者の診断から治療開始までの時間を短縮すると同時に、臨床試験へのアクセス改善を目的とした、患者中心の総合センターだ。MD AndersonのTherapeutics Discovery 部門内の大規模なトランスレーショナルリサーチ(橋渡し研究)ユニットであるTRACTIONプラットフォームは、Brain Metastasis Clinicとともに、革新的な治療法の同定から新たな臨床試験までを一貫して実施するための強固かつ一体化された研究体制を確立している。
TRACTIONのエグゼクティブ・ディレクターであるMD AndersonのTimothy Heffernan博士は、「有効な治療を待ち望む患者さんに新たな治療法を届けるMD Andersonの努力は、Brain Metastasis Clinicの設立やTRACTIONとの密な連携といった取り組みに現れている」と紹介。 その上で、「今回の大鵬薬品との提携は、脳転移と診断された患者に対して新たな治療法を確立するために、大鵬薬品の優れた創薬と、MD Andersonのトランスレーショナルリサーチ、臨床開発プラットフォームとを融合するものである」と述べている。

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