イミフィンジと化学療法の併用療法 胃がん/食道胃接合部がんP3試験で病理学的完全奏効率を有意に改善 アストラゼネカ

 アストラゼネカは、イミフィンジと化学療法の併用療法について、胃がん・食道胃接合部がんP3試験(MATTERHORN試験)において、化学療法単独と比較して病理学的完全奏効率が2倍超となる改善を示した解析結果を発表した。
 同解析では、切除可能な局所進行性(II、III、IVA 期)である胃がん/食道胃接合部がん患者を対象に、NCCN ガイドラインの標準治療である FLOT(フルオロウラシル、ロイコボリン、オキサリプラチン、ドセタキセル)による術前補助化学療法にイミフィンジを追加投与した場合と、術前補助化学療法を単独で行った場合との比較において、重要な副次評価項目である病理学的完全奏効(pCR)率に、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善が示された。
 これらの結果は、10月20日にスペイン・マドリッドで開催された2023年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)年次総会で発表された。
 盲検下での独立中央判定(BICR)の評価では、FLOT による術前補助化学療法単独で治療された患者群の pCR率は7%であったのに対し、術前補助化学療法にイミフィンジを追加投与 した患者群のpCR率は19% であった(pCR率の差12% ;オッズ比[OR] 3.08;p<0.00001)。完全奏効または、ほぼ完全奏効(near pCR)いずれかの割合は、イミフィンジ併用療法群で 27%、術前補助化学療法単独群で14%であった。
 同試験におけるイミフィンジの忍容性は全般的に良好で、術前補助化学療法にイミフィンジを追加した場合の安全性および忍容性は、この併用療法の既知のプロファイルと一貫していた。全ての原因によるグレード3以上の有害事象は両投与群でほぼ同じであり、FLOTによる術前補助化学療法単独での発現割合は 68%であったのに対し、イミフィンジを追加したレジメンで治療した患者の発現割合は69%であった。 
 周術期治療(術前術後)としてFLOTによる化学療法にイミフィンジを追加した併用療法を評価する同試験は、主要評価項目である無イベント生存期間(EFS)および重要な副次評価項目である全生存期間(OS)を評価するため、二重盲検下で継続する。

◆MATTERHORN試験治験責任医師のYelena Janjigian 氏(Sloan Kettering 記念がんセンターの消化器腫瘍内科主任医師)のコメント
 切除可能な胃がん/食道胃接合部がん患者さんにおいて、治癒目的に手術を行ったとしても多くが再発する。今回のMATTERHORN 試験の中間解析結果で示された病理学的完全奏効率は、FLOT療法にイミフィンジを追加することが、周術期に必要とされている新たな治療法となり得るという希望につながる。

◆Susan Galbraithアストラゼネカオンコロジー研究開発エグゼクティブバイスプレジデントのコメント
今回発表されたMATTERHORN試験結果は、胃がん/食道胃接合部がん患者さんに対する早期治療としての免疫治療薬と化学療法の併用療法の可能性を裏付けるものである。これらの知見は、アンメットニーズが高く治療選択肢が限られている消化器がんの転帰を改善するという我々の取り組みを強化するものである。

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