イミフィンジと化学療法の併用療法 P3試験で胃がん等の病理学的完全奏効率を有意に改善 アストラゼネカ

 アストラゼネカは13日、イミフィンジと化学療法の併用療法について、P3相MATTERHORN試験において、胃がん・食道胃接合部がんにおける病理学的完全奏効率を有意に改善したと発表した。
 MATTERHORN試験の事前に計画された中間解析の良好な結果概要を公表したもの。この解析では、切除可能な早期の局所進行性(II、III、IVA 期)である胃がん/食道胃接合部がんの患者を対象として、NCCN ガイドラインの標準治療である FLOT(フルオロウラシル、ロイコボリン、オキサリプラチン、ドセタキセル)による術前化学療法に追加してイミフィンジ(一般名:デュルバルマブ[遺伝子組換え])を投与した場合と、術前補助化学療法を単独で行った場合を比較した。
 その結果、主要な副次評価項目である病理学的完全奏効(pCR)率に、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善が示された。
 同試験は予定通り継続し、治験チーム、治験担当医師、治験参加者に対する盲検性は維持しつつ、無イベント生存期間(EFS)と全生存期間(OS)を評価していく。
 FLOTによる術前化学療法に追加してイミフィンジを投与した場合の安全性および忍容性は、この併用療法の既知のプロファイルと一致しており、化学療法を単独で行った場合と比較しても、手術可能な患者数が減少することはなかった。
胃がんは、世界的にがんによる死因の第4位となっており、胃がんと診断される人は毎年100 万人を超えている。米国、EU、日本では、2030年までに約7 万人の患者が II~III 期の胃がんまたは食道胃接合部がんと新たに診断されると推測されている。
 根治を目的に手術を受けても約4分の1の胃がん患者が 1 年以内に再発するため、高いアンメットニーズがあると伺える。
 今回のデータは、各国の規制当局にも共有され、近く開催される医学学会で発表される予定である。なお、イミフィンジの胃がん・食道胃接合部がんへの適応は、本邦未承認である。

◆MATTERHORN試験国際治験調整医師のJosep Tabernero氏(Vall d’Hebron University Hospital腫瘍内科部長)のコメント
 切除可能な胃がん・食道胃接合部がんの患者さんは、現在、根治目的で手術を受けても4分の1の患者さんは1年以内に病勢進行してしまうため、より良い治療選択肢を緊急に必要としている。
 今回の結果から、術前の FLOTによる化学療法にイミフィンジを追加投与することで、pCR 率の改善が示された。複数の疾患において、pCR 率は、EFS と OS の両方に相関しているため、本試験の対象である患者さんにとっても、このレジメンが長期的な臨床上のベネフィットをもたらす可能性があり、今後に期待の持てる結果となった。

◆Susan Galbraithアストラゼネカオンコロジー研究開発エグゼクティブバイスプレジデントのコメント
 今回発表された MATTERHORN試験の結果は、早期の胃がん・食道胃接合部がん患者さんにおける転帰の改善を目的とした新たな治療アプローチとして、化学療法や手術とともに免疫療法が活用できることを裏付けている。
 これらの所見は、消化器がんの患者さんに対する治療方針の再構築につながる可能性のあるイミフィンジをベースとした新たな治療を提供するという我々の重点目標にさらに説得力を与えるものである。

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