術前オプジーボと化学療法、術後オプジーボの周術期療法 尿路上皮がんP3試験で好結果 小野薬品

 小野薬品は19日、オプジーボについて、同剤とシスプラチンを含む化学療法の併用療法および、それに続くオプジーボ単剤療法が、P3相CheckMate-901試験において、シスプラチンに適格な切除不能または転移性尿路上皮がん患者に対して有意な生存ベネフィットを示したと発表した。提携するブリストル マイヤーズ スクイブ(BMS)が17日に公表したもの。
 同試験では、シスプラチンに適格な切除不能または転移性尿路上皮がん患者のファーストライン治療薬として、オプジーボとシスプラチンを含む化学療法の併用療法と、それに続くオプジーボ単剤療法が、標準治療であるシスプラチンを含む化学療法と比較して、主要有効性評価項目である全生存期間(OS)および盲検下独立中央評価委員会(BICR)の評価による無増悪生存期間(PFS)で統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示した。
 中央値約33カ月の追跡調査において、オプジーボとシスプラチンを含む化学療法の併用療法は、死亡リスクを22%低減し、OSの中央値は、同併用療法群で21.7カ月、化学療法単独群で18.9カ月であった(ハザード比 [HR] 0.78;95% 信頼区間 [CI]:0.63 – 0.96;p=0.0171)。ランドマーク 解析において、オプジーボと化学療法の併用療法を受けた患者の生存率は、12カ月時点で70.2%、24カ月時点で46.9%で、化学療法単独ではそれぞれ62.7%と40.7%であった。
 オプジーボを含む併用療法は、死亡または病勢進行のリスクが28%低減し、PFSの中央値は、オプジーボを含む併用療法で7.9カ月、化学療法単独で7.6カ月でした(HR 0.72;95% CI:0.59 – 0.88;p=0.0012)。
 ランドマーク解析において、オプジーボを含む併用療法のPFS率は、12カ月時点で34.2%、24カ月時点で23.5%、化学療法単独ではそれぞれ21.8%と9.6%でした。オプジーボとシスプラチンを含む化学療法の併用療法は忍容性が良好で、これまでに報告されているレジメンでの安全性プロファイルと一貫していた。新たな安全性シグナルは認められなかった。
 また、探索的解析において、オプジーボとシスプラチンを含む化学療法の併用療法は、化学療法単独と比較して、約15%高い奏効率(ORR)を示し(オプジーボ併用療法群57.6% vs 化学療法単独群43.1%)、2倍近い患者が完全奏効(CR)を達成した(オプジーボ併用療法群21.7% vs 化学療法単独群11.8%)。
 オプジーボとシスプラチンを含む化学療法の併用療法は、化学療法よりも長期にわたる奏効期間と関連しており、3倍近い完全奏効期間の中央値を示した(オプジーボ併用療法群37.1カ月 vs 化学療法単独群13.2カ月)。
 これらのデータは、2023年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)年次総会のプレジデンシャルシンポジウムで22日に初めて発表される(抄録番号#LBA7)。
 なお、オプジーボ単剤療法およびオプジーボによる併用療法は、これまでに転移性尿路上皮がん、進行腎細胞がん、非小細胞肺がん、悪性胸膜中皮腫、転移性悪性黒色腫、および食道扁平上皮がんを含む複数のがん腫に対するP3試験においてOSで有意な改善を示している。

◆オランダがん研究所腫瘍内科部門Michiel S. van der Hejiden氏(M.D.、Ph.D.)のコメント
 転移性尿路上皮がん患者さんの場合、化学療法単独によるファーストライン治療では奏効期間の持続性が良好でない例が多く、この治療困難な疾患を抱える患者さんの治療における長年の大きな課題となっている。
 オプジーボとシスプラチンを含む化学療法の併用療法が示した生存ベネフィットは、極めて重要な成果であり、標準治療であるシスプラチンを含む化学療法と比較して、これほどの改善を示した初めての同時化学免疫併用療法として、尿路上皮がん患者さんの希望となり得るものである。
 これらのデータは、臨床診療を変え、シスプラチンに適格な患者さんの治療法に変革を起こす可能性を秘めている。

◆Dana Walker BMSバイスプレジデント兼泌尿生殖器がん領域グローバル開発プログラム責任者(M.D.、M.S.C.E.)のコメント
 従来、シスプラチンに適格な切除不能または転移性尿路上皮がん患者さんのファーストライン治療に対しては、免疫療法薬に基づく有効な選択肢がなかった。オプジーボとシスプラチンを含む化学療法の併用療法が患者さんの希望となり、免疫療法薬のアプローチによって生存ベネフィットをもたらす可能性を示す結果が得られたことを誇りに思う。
 CheckMate-901試験の結果は、泌尿生殖器がんを含む複数のがん腫において、オプジーボを含む治療法が全生存期間の改善を示してきた当社のこれまでの研究成果を強化するものである。
 今後、数カ月間内にこれらのデータについて世界の規制当局と協議していく予定であり、待望の新しい治療レジメンを患者さんにお届けできる可能性に大いに期待している。
 

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