オプジーボと化学療法 術前補助療法 非小細胞肺がん患者への3年間の追跡調査でベネフィット確認 小野薬品

 小野薬品は19日、オプジーボについて、同剤と化学療法の併用療法による術前補助療法がCheckMate -816試験の3年間の追跡調査でPD-L1発現レベルにかかわらず、切除可能な非小細胞肺がん患者において無イベント生存期間(EFS)の維持および良好な全生存期間(OS)の改善傾向を示したと発表した。提携するブリストル マイヤーズ スクイブ(BMS)が17日に公表したもの。
 オプジーボと化学療法の併用療法による術前補助療法は、化学療法単独と比較して、PD-L1発現レベルが1%以上および1%未満の患者集団において、病理学的完全奏効(pCR)およびMajor Pathological Response(MPR)の改善も示した。
 オプジーボを含むレジメンの安全性プロファイルは、PD-L1サブグループ全体で一貫していた。これらの結果は、2023年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)年次総会で、23日に最新口頭プレゼンテーションで発表される(抄録番号#LBA57)。
 CheckMate -816試験の中央値41.4カ月の追跡調査における探索的解析の結果は次の通り。

◆OS:本追跡調査時点のOSデータはまだ未成熟ではあるものの、PD-L1発現レベルが1%以上および1%未満の患者集団の両方で、OSの良好な改善傾向が認められた。PD-L1発現レベルが1%以上の患者では、オプジーボと化学療法の併用療法が死亡のリスクを63%低減した(ハザード比 [HR] 0.37;95% 信頼区間 [CI]:0.20 – 0.71)。
 3年生存率は、化学療法単独と比較して、オプジーボと化学療法の併用療法で良好であった(併用療法群85% vs 化学療法単独群66%)。
 PD-L1発現レベルが1%未満の患者では、オプジーボと化学療法の併用療法が死亡のリスクを19%低減し(HR 0.81;95% CI:0.48 – 1.36)、3年生存率は、併用療法群で71%、化学療法単独群で60%であった。

◆EFS:PD-L1発現レベルが1%以上の患者における3年EFS率は、オプジーボと化学療法の併用療法で72%、化学療法単独で47%でした(HR 0.46;95% CI:0.28 – 0.77)。PD-L1発現レベルが1%未満の患者における3年EFS率は、オプジーボと化学療法の併用療法で42%、化学療法単独で39%であった(HR 0.87;95% CI:0.57 – 1.35)。

◆pCR:PD-L1発現レベルが1%以上の患者におけるpCR率は、オプジーボと化学療法の併用療法で32.6%、化学療法単独で2.2%であった。PD-L1発現レベルが1%未満の患者におけるpCR率は、オプジーボと化学療法の併用療法で16.7%、化学療法単独で2.6%であった。

◆MPR:PD-L1発現レベルが1%以上の患者におけるMPR率は、オプジーボと化学療法の併用療法で44.9%、化学療法単独で5.6%であった。PD-L1発現レベルが1%未満の患者におけるMPR率は、オプジーボと化学療法の併用療法で29.5%、化学療法単独で14.3%であった。

◆根治手術:PD-L1発現レベルが1%以上の患者における根治手術率は、オプジーボと化学療法の併用療法で84%、化学療法単独で74%、PD-L1発現レベルが1%未満の患者では、オプジーボと化学療法の併用療法で81%、化学療法単独で77%であった。
 そのうち、PD-L1発現レベルが1%以上の患者における根治切除達成率は、オプジーボと化学療法の併用療法で91%、化学療法単独で82%、PD-L1発現レベルが1%未満の患者の根治切除達成率は、オプジーボと化学療法の併用療法で79%、化学療法単独で76%であった。
 オプジーボ単剤療法とオプジーボを含む併用療法は、肺がん、膀胱がん、食道/胃食道接合部がんおよび悪性黒色腫の4つの早期がんの術前補助療法、術後補助療法または周術期療法においてさらに有効性を示している。

◆プエルタ・デ・イエロ大学病院腫瘍内科部門のMariano Provencio Pulla氏(M.D., Ph.D.)のコメント
 オプジーボと化学療法の併用療法による術前補助療法の3年間のデータは、切除可能な非小細胞肺がんの治療において、引き続き統計学的に有意かつ臨床的に意義のある結果を示しており、長期ベネフィットの可能性という希望を患者さんにもたらす。
 免疫療法薬を含む併用療法によるこの術前補助療法が、有効性の評価全体で改善を示していることに勇気づけられている。この改善は、高いアンメットニーズに直面し、本試験の患者集団の約40%を占めるPD-L1非発現のサブグループを含め、PD-L1発現レベルにかかわらず認められた。
 CheckMate-816試験のデータは、このレジメンが化学療法単独と比較して、患者さんにより良いアウトカムをもたらす可能性をはっきりと示している。

◆Abderrahim Oukessou BMSバイスプレジデント兼胸部がん領域グローバル開発担当(M.D.)のコメント
 今年のESMOで、当社は切除可能ながんに対する2件の試験を含め、非小細胞肺がんのさまざまな病期および治療段階における複数試験のデータを発表する。
 これは、腫瘍が最も治療に反応しやすく、患者さんの免疫系が最も活発な早期段階にがんを治療する重要な機会であるため、我々が極めて重視し、取組んでいる研究領域である。
 CheckMate -816試験において、PD-L1発現レベルにかかわらず、オプジーボと化学療法の併用療法による術前補助療法のレジメンで一貫した結果が得られたことを大変うれしく思う。本試験は、この併用療法が世界中で複数の承認を取得する根拠となったベネフィットを裏付けるものである。

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