リサンキズマブ 潰瘍性大腸炎治療薬で国内適応追加承認申請 アッヴィ

 アッヴィは14日、リサンキズマブについて、中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎に対する治療薬として日本における適応追加承認を申請したと発表した。
 対象は、既存治療で効果不十分な中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎の成人患者。静脈内(IV)投与による寛解導入療法および皮下投与による維持療法の治療薬として適応追加承認を申請たもの。
 日本においてリサンキズマブは、2019年3月に既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、関節症性乾癬(乾癬性関節炎)、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、2022年9月に中等症から重症のクローン病、2023年5月に中等症から重症の掌蹠膿疱症に対する治療薬として製造販売承認を取得している。
 潰瘍性大腸炎は、原因不明の炎症により、大腸の粘膜が傷つき、びらん(ただれ)や潰瘍ができる指定難病である。慢性的な下痢・血便、腹痛に加え、発熱や貧血などの症状が現れ、症状が良くなったり(寛解)悪くなったり(再燃)を繰り返す。
 潰瘍性大腸炎の原因はまだ完全には分かっていないが、細菌や異物などから身体を守る「免疫」の異常が関係していると言われている。30歳以下の患者で多く発症するが、小児や50歳以上の年齢層にもみられ、日本国内における患者数は約 22 万人と年々増加している。
 潰瘍性大腸炎の治療では薬物治療による寛解を目指し、できるだけ長く再燃のない状態を維持することが重要だ。だが、重症患者の30%で最終的に結腸全摘除術が必要となる場合もある。
 また、従来の生物学的製剤では有効性の発現が遅い患者の一部存在や、継続投与によって起こり得る効果の減弱、過敏症反応などを引き起こす可能性もある。そのため、安全で持続性があり、有効な新たな治療選択肢に対するアンメットメディカルニーズが存在する。
 こうした状況を背景に、アッヴィはリサンキズマブの潰瘍性大腸炎に対する開発に着手し、このたび適応追加承認を申請した。
 今回の申請は、日本人も参加している複数のPIIb/III相国際共同試験のデータから得られた結果に基づいている。
 0 週、4 週および 8 週時に リサンキズマブ1200 mg のIV投与を行う寛解導入療法試験のINSPIRE試験では12週時において、その後8週間ごとに180mgまたは360mgを皮下投与する維持療法試験のCOMMAND試験では52週時において、対照群と比較してリサンキズマブ群で有意に多くの患者が、主要評価項目である臨床的寛解(Adapted Mayo スコアに基づき判定)および主な副次評価項目を達成した。
 これらの試験におけるリサンキズマブの安全性プロファイルは、これまでに確認されているリサンキズマブの安全性プロファイルとおおむね一致しており、安全性に関する新たなリスクは認められなかった。
 同申請の根拠となった複数の国際共同試験は、中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎の患者を対象とした多施設共同、二重盲検、無作為化比較対照試験である。4週ごとに1200 mgをIV投与する導入療法試験であるINSPIRE試験と、寛解導入後8週ごとに180 mgまたは360 mgを皮下投与する維持療法試験であるCOMMAND試験において、リサンキズマブの有効性および安全性を評価している。
 INSPIRE試験は、既存治療や先進治療(生物学的製剤、JAK 阻害薬および/またはS1P受容体モジュレーター)で不耐容または効果不十分であった中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎を有する患者を対象としていた。
 その後、INSPIRE試験で臨床的改善を達成した患者を対象としたCOMMAND試験では、約75%の患者がこれまでに潰瘍性大腸炎に対する1種類以上の先進治療(生物学的製剤、JAK 阻害薬および/または S1P 受容体 モジュレーター)で不耐容または効果不十分であった患者であった。
 INSPIRE試験、およびCOMMAND試験で得られた主要な結果は、それぞれ2023年3月および2023年6月に発表している。詳細はwww.clinicaltrials.gov(NCT03398148、NCT03398135)で閲覧できる。

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