5つの新グローバルCSRパートナーシップに3000万ドル以上拠出 武田薬品

92カ国における健康増進支援

 武田薬品は14日、グローバルCSRプログラムに5つの新たなパートナーシップを追加し、3000万ドル以上を拠出し、92カ国における健康増進を支援すると発表した。
 グローバルCSRプログラムでは、途上国や新興国の人々のための保健システムの強化に向けた取り組みを行っている。新規パートナーシップが加わったことで、29の長期的なパートナーシップにより、総額242億円(約1億6750万ドル)を拠出する。
 同社は、パートナーシップ選出の意思決定プロセスに、従業員が関わることに重要な意味を持たせており、本年度は2万4500人以上の従業員が投票に参加する形で5つの新規パートナーシップを選出した。
 新規パートナーシップが加わることで同プログラムは2028年までに全世界92カ国の2520万人のよりよい健康に直接的な恩恵をもたらす支援を目指す。2023年度に新たに追加されたパートナーへの支援内容は次のとおり。

◆Society for Family Health Rwandaに8億3400万円 (約580万ドル)を拠出し、官民連携モデルのもと20箇所に第二世代の保健センターを設立し、ルワンダの農村部や孤立した地域における質の高い保健医療へのアクセスを拡大する。
 同プログラムでは、新しいインフラを導入し、長期的に地域のリーダーシップを強化し、総合的な保健の提供を強化し、保健医療従事者を育成していく。また、データを利用した意思決定を向上すべく技術を活用し、全国的な保健医療効果の改善を推進する。

◆Relief Internationalに11億4600万円 (約790万ドル)を拠出し、アフガニスタン、イエメン、ミャンマー、シリアにおいて、紛争、気候変動、災害を受けた地域における必須医薬品や保健医療用品へのアクセスを改善する。
 同プログラムは、現地の必須医薬品供給者の水準を高め、品質水準を満たす必須医薬品の供給網を確立し、地域コミュニティー及び人道的団体の信頼できる必須医薬品へのアクセスに貢献し、拡張可能な解決法を提示する。

◆Mercy Corpsに10億4800万円 (約730万米ドル)を拠出し、ジャマイカ、米領ヴァージン諸島、セントクリストファー・ネービス、セントルシアに回復力センターを増設。これにより、気候変動に対して脆弱な300万人以上のコミュニティを支援し、救命活動や健康増進活動を行い、気候変動による被害からの回復力を強化する。
 自然災害が頻繁に発生し、その破壊力も高まる中、同プログラムでは、救命情報、飲料水、エネルギー及び保健・社会サービスへの迅速なアクセス確保により、地域社会が最悪の事態に備えて準備できるよう支援する。これにより、他の地域に拡張可能な回復力モデルを構築する。

◆Partners In Healthに6億7100万円 (約460万ドル)を拠出し、ハイチ、メキシコ、ペルー、レソト、リベリア、マラウイ、ルワンダ、シエラレオネで看護師及び助産師を3000名増員し、保健管理及び保健政策の分野のリーダーとして認められるよう働きかける。
 このプログラムは、性別、社会経済、人種の枠を超えてより多様で公平なリーダーシップを促進することにより、第一線の保健医従事者の採用と定着を高め、より良い健康を人々にもたらし、持続可能な保健システム構築の強化を実現する。

◆University of Nairobi (ナイロビ大学)に7億9,300万円 (約550万米ドル)を拠出し、公衆保健衛生に焦点を当てた先駆的な機械学習とデータサイエンス研修プログラムを創設。女性リーダーの育成と影響力を強化して、地域の保健改善に貢献する。
 同プログラムではケニアの6つの地域で、800人の恵まれない環境にいる少女や若い女性を訓練し育成する。多様な背景を持つデータサイエンティストの育成により、公衆衛生データや人工知能におけるバイアスや男女差の減少に貢献し、アフリカ大陸全体に拡張可能なモデルを作ることにつなげる。

◆新しいパートナーからの声
・Society for Family Health Rwanda事務局長 Manassah Gihana Wandera氏
 タケダとのパートナーシップは、質の高い保健医療へのアクセス拡大と、ルワンダ人の健康増進という共通のコミットメントを意味する。我々は共に、脆弱な立場にある人たちに、より健康で明るい未来を築くことで、大きな影響力を発揮する

・Relief International CEO Craig Redmond氏
 Relief Internationalのタケダとの新たなパートナーシップにより、アフガニスタン、イエメン、ミャンマー、シリアで、必須医薬品や高品質の保健医療用品を遅延なく確実に供給できるようになるだろう。私たちは、世界で最も困難な状況にある4つの地域での救命に貢献し、人道援助供給活動の温室効果ガス排出量も削減していく。

・Mercy Corps CEO Tjada D’Oyen氏
 今こそ、気候危機の深刻化、異常気象の頻度と強度の増大に直面する地域社会が適応できるよう、大胆な行動を取る時期である。タケダとのパートナーシップにより、Mercy Corpsはその回復力センターのモデルを活用し、カリブ海地域全体の自然災害に備え、生き残り、より回復力のある未来を構築していきたいと考えている。

・Partners In Health CEO Sheila Davis氏
 Partner In Healthとタケダのパートナーシップでは、世界の保健医療を支える労働人口として大きな割合を占める看護師や助産師の声を取り入れることで階層性に変化をもたらし、看護師と助産婦の意見を意思決定に反映させる。
 リーダーシップにおける性別や職種間の公平性の向上、第一線のスタッフの確保、臨床に基づく彼らの専門的洞察は、より強力な保健医療と、より良く、より公平な人々の健康の成果もたらすだろう。」

・ナイロビ大学副総長 Stephen Kiama教授
 ナイロビ大学は、タケダとの提携を歓迎しています。社会的・経済的に恵まれない女性たちを育成し訓練し、多様でジェンダーバランスの取れたデータ科学者を養成する。これを通じて公衆衛生データ及び機械学習におけるバイアスに対処し、保健医療効果の改善を目指す

◆大薮貴子武田薬品チーフ グローバル コーポレート アフェアーズ&サステナビリティ オフィサーのコメント
 当社の242年の歴史が私たちに教えてくれたことは、持続可能なインパクトをもたらすには時間がかかり、そして常に未来を見据えながら臨機応変に適応していくことの大切さである。
 複雑で多元的、かつ様々な背景を持つグローバルヘルスにおける課題は、即座に解決できるものではない。選出したパートナーシップはそれぞれが独自で革新的な方法で保健システムの強化に取り組んでいるが、各プログラムに2つの共通点がある。
 社会から取り残された人々に焦点を当てていく公平性の視点と、短期的な成果よりも持続的な結果を優先する体系的なアプローチである。これらのパートナーシップが明確に対象としているのは、紛争や気候変動、自然災害や社会的・経済的理由などの様々な原因で、質の高い保健医療サービスや必須医薬品へのアクセスがない、取り残された脆弱な立場にある人々である。
 武田薬品は、長期的な視点を持ち、現地のノウハウと課題に対する責任感を持つパートナーと協力し、気候変動にも対応できる柔軟で公平な保健システムを構築するよう体系的な取り組みを支援していく。

 タケダのグローバルCSRプログラムは、2016年の発足以来、WHOの保健システム強化のための構成要素に従い、以下を含む保健システムの強化に貢献してきた。

◆保健サービスの提供と必須医薬品へのアクセス:アクセス可能性、ならびに健康診断、紹介制度、経過観察などの保健サービスの提供範囲や質を改善することで、1120万人以上の人々に直接的な恩恵をもたらし、460万人を超える子どもたちに麻疹などの予防可能な疾患の予防接種を行い、230万人以上の人々に栄養、水と公衆衛生、性と生殖の健康など、的を絞った健康教育を行ってきた。

◆保健従事者:保健医療サービスの構築及び提供を担う有資格の保健医療従事者や地域の保健従事者、ならびに、サービスを直接提供せずとも保健システムの実践に欠かせない人材である保健医療供給網の管理職や保健情報システム管理者、合計6万8000名を訓練し、知識、スキル、モチベーション、動員を向上させてきた。

◆保健情報システム:データに基づいた保健計画及び保健上の意思決定を支援する49のデジタルソリューション、プラットフォーム、又はツールを開発、強化、導入してきた。

◆リーダーシップとガバナンス:国内及び現地のニーズと優先事項を踏まえた285の戦略計画と方針を策定又は強化し、現地でのオーナーシップを確保しつつ、革新的な解決策が維持され拡張される可能性を高めてきた。

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