進行期パーキンソン病治療薬「ヴィアレブ」日本で発売 アッヴィ

 アッヴィは26日、進行期パーキンソン病治療薬「ヴィアレブ」を、同日、日本で発売したと発表した。適応は、レボドパ含有製剤を含む既存の薬物療法で十分な効果が得られないパーキンソン病症状の日内変動改善。
 ヴィアレブは、レボドパ/カルビドパ(LD/CD)の分子構造を改良し、アッヴィが開発したホスレボドパ/ホスカルビドパ水和物から成る製剤だ。進行期パーキンソン病患者の治療薬としては、外科的手術を必要としない日本で初めてかつ唯一の24時間持続投与が可能な皮下注射剤である。日本は、進行期パーキンソン病患者にヴィアレブを提供する世界で初めての国となった。
 現在、パーキンソン病の薬物治療ではLD/CDの併用が標準治療とされているが、疾患の進行に伴い経口LD/CD 薬の頻回な服用が必要となる。一部の患者では1日平均10-11錠の経口投与により、患者および介護者の双方の負担が大きくなる。
 また、疾患がさらに進行すれば、経口薬、貼付薬、皮下注射剤といった治療では適切な症状のコントロールが困難になる場合がある。こうした症状のコントロールが困難な進行期パーキンソン病患者に対する治療選択肢として、これまで利用可能な治療方法は手術を必要とするデバイス補助治療が主であった。
 ヴィアレブは、外科的手術を必要としないため、入院や術後の管理など患者さんへの負担が少ない治療法だ。そのため、これまでの進行期パーキンソン病治療におけるアンメットメディカルニーズの解決につながるものと期待される。
 日本国内においてパーキンソン病は指定難病であり、パーキンソン病患者さんは約16万人と年々増加傾向にある。脳におけるドパミン産生細胞の消失によって引き起こされる進行性かつ慢性の神経障害であり、根治療法は未だ見つかっていない。
 主な症状として、無動、振戦(ふるえ)、および筋強剛などがある。パーキンソン病が進行すれば、運動機能および非運動機能の日内変動やジスキネジア等の運動合併症が発現する。
 患者には「オン」状態(症状が概ねよく制御されている)から「オフ」状態へのスイッチが起こることが報告されており、「オフ」状態の間、振戦やこわばりが再び出現し、動作がさらに困難になる。
 また、日常活動を著しく妨げるジスキネジア(不随意運動)が現れる場合もある。運動合併症の発現は、神経細胞変性と血漿中レボドパ濃度の変動に起因しており、診断から2~5年後に50%、10年後には約80~100%の患者で運動合併症の出現が報告されている。
 ヴィアレブは、日本では2022年3月に厚労省に製造販売承認申請を行い、2022年12月、レボドパ含有製剤を含む既存の薬物療法で十分な効果が得られないパーキンソン病の症状の日内変動(wearing-off現象)の改善を適応症として承認された。
 同承認は、進行期パーキンソン病患者を対象とした日本も参画する国際共同P3試験(M15-741)および海外のP3試験(M15-736)の有効性データおよび安全性データに基づいている。

ヴィアフューザー(R)皮下投与システム

 ヴィアレブは、専用のポンプ「ヴィアフューザー」をはじめとした医療機器である「ヴィアフューザー皮下投与システム」を用いて投与される。「ヴィアフューザー皮下投与システム」は、アルフレッサファーマが2022年11月に製造販売承認を取得している。

◆ジェームス・フェリシアーノアッヴィ合同会社社長のコメント
 本日、進行期パーキンソン病治療の新たな選択肢となるヴィアレブを世界で初めて日本で発売できることを大変嬉しく思う。ヴィアレブは治療薬を24時間持続的に投与することで『オン』の時間増加が期待でき、症状を従来よりも制御し得る新たな治療法となる。
 今後も、アッヴィはパーキンソン病患者さんやご家族、治療に関わる方々の笑顔に貢献できるようまい進していく。
 
◆服部信孝順天堂大学 医学部 脳神経内科教授のコメント
 パーキンソン病患者さんと医療従事者の共通の目標は、日常生活に支障となるジスキネジア(不随意運動)を伴わず症状がよく制御されている『オン』の時間を増やすことである。これまで、さまざまな治療薬が発売されたが、パーキンソン病は進行性の疾患であるため、治療を進めていく間に薬の種類や服用する回数が増えたり、飲み方をどんなに工夫しても症状を十分にコントロールできなくなる場合がある。
 ヴィアレブは、LD/CDの24時間持続投与を可能とすることで『オン』の時間を増やし、進行期パーキンソン病患者さんの『あきらめない治療』を実現する可能性を秘めている。

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