ペマジール 骨髄性・リンパ性腫瘍で適応追加承認取得 インサイト・ジャパン

 インサイト・ジャパンは27日、選択的線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)阻害剤「ペマジール」について、FGFR1 融合遺伝子陽性の骨髄性又はリンパ性腫瘍の治療薬として適応追加承認を取得したと発表した。
 FGFR1 融合遺伝子陽性の骨髄性又はリンパ性腫瘍は、骨髄細胞(骨組織)が過剰に増殖し、急速に急性骨髄白血病に進行することもある。
 今回の承認はFGFR1融合遺伝子陽性の骨髄性又はリンパ性腫瘍患者41名を対象とし、ペマジールの安全性と有効性を評価する国際共同、非盲検、単群、P2相FIGHT-203 試験のデータに基づくもの。
 同試験の被験者は、連日投与または間欠投与でペマジール13.5 mg を1日1回経口投与された。主要評価項目とした治験担当医師の判定に基づく完全奏効率は62.5%(95%信頼区間:45.8-77.3)で、連日投与集団の完全奏効率は 66.7%(95%信頼区間:46.0-83.5)であった。
 ペマジールを投与された患者の中で最も多く見られた副作用は、高リン血症(70.7%)、脱毛症(56.1%)、下痢(43.9%)、口内炎(43.9%)であった。
 ペマジールは、厚生労働省より希少疾病用医薬品の指定を受けている。厚生労働省は、国内患者数が 5万人未満で、メディカルニーズが高い希少疾患の治療薬として開発中の化合物に対し、希少疾病用医薬品の指定を付与している。希少疾病用医薬品に指定された医薬品は、製造販売承認の優先審査の対象となり、医療現場へのより迅速な提供が図られる。
 FGFR1 融合遺伝子陽性の骨髄性又はリンパ性腫瘍は、きわめてまれな血液がんの 1 つで染色体の FGFR1 遺伝子が存在する領域(8 番染色体短腕 11-12 領域:8p11-12 領域)が切断され、別の染色体の断片(遺伝子)と融合した染色体異常(転座)によって引き起こされる。
 さまざまなパートナー遺伝子が FGFR1 チロシンキナーゼの活性化を誘導し、その結果、がん細胞の増殖と生存に影響を及ぼす。
 これらのがんは、その臨床症状により二つの段階に大別され、骨髄増殖性疾患または骨髄異形成症候群と診断された場合は慢性期、急性白血病と診断された場合は急性期に分類される。
 予後は不良で、治癒あるいは長期寛解が期待できる治療選択肢は、現在、造血幹細胞移植のみとされているが、標準治療は確立されていない。
ペマジールは、再発性あるいは難治性の FGFR1 再構成を伴う成人骨髄性又はリンパ性腫瘍に対し、米国において初めて承認を取得した標的治療で、日本では、がん化学療法後に増悪した FGFR2 融合遺伝子陽性の治癒切除不能な胆道がん、
および FGFR1 融合遺伝子陽性の骨髄性又はリンパ性腫瘍の治療薬として承認を取得している。

◆ローター・フィンケ インサイトのバイス・プレジデント、インサイト・ジャパンジェネラルマネージャーのコメント
 ペマジールは、日本で初めて承認された FGFR1 融合遺伝子陽性の骨髄性又はリンパ性腫瘍の治療薬である。今回の厚労省の承認は、この希少疾患に苦しむ日本の患者さんに治療薬をお届けする重要な一歩となる。
 FGFR1 融合遺伝子陽性の骨髄性又はリンパ性腫瘍は、これまで世界でも患者の報告が100名に満たない大変希少な疾患であるが、当社はこうした活動を通じて重大なアンメット・メディカル・ニーズの解決策を導き出すことにコミットしていく。

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