リムパーザ 前立腺がんP3試験で副次評価項目である全生存期間を有意に延長 アストラゼネカ

アストラゼネカは、リムパーザについて、転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者を対象としたP3試験(PROpel試験)において、主要な副次評価項目である全生存期間を有意に延長したと発表した。
 事前に規定された全生存期間(OS)の最終解析の結果、OS中央値はプラセボおよびアビラテロンとの併用群で 34.7カ月であったのに対し、アストラゼネカとMSDが共同開発したリムパーザとアビラテロンおよび prednisone/プレドニゾロンとの併用療法で 42.1カ月を達成した。
 同結果において、OS 中央値の差は標準治療に対して 7.4 カ月であった(イベント発現割合47.9%時点での解析、ハザード比[HR]0.81、95%信頼区間[CI]0.67-1.00、p = 0.0544)。
 OS中央値の延長において、統計学的に有意な差は認められなかったが、この臨床効果は、現在の標準治療であるアビラテロン単剤で治療を受けた患者で達成された意義のある生存期間の延長に基づいている。
 同試験結果は、2023 年の米国臨床腫瘍学会泌尿生殖器がんシンポジウム(ASCO GU)で発表された。
 2022年ASCO GUで発表され、New England Journal of Medicine (NEJM) Evidence 誌に掲載されたPROpel試験の主要解析において、リムパーザとアビラテロンの併用療法は、アビラテロン単剤と比較して病勢進行または死亡のリスクを34%有意に低下させ(HR 0.66、95%CI 0.54-0.81、p<0.0001)、主要評価項目である画像診断に基づく無増悪生存期間(rPFS)を達成した。

◆PROpel 試験の上級治験担当医師のNoel Clarke氏(Christie/Salford Royal Hospitalsおよびマンチェスター大学の泌尿器外科医、泌尿器腫瘍学教授)のコメント
 昨年 ASCO GUで発表された画像診断に基づく無増悪生存期間の主要解析の結果から、本日発表された全生存期間の最新データまで、データは試験の試験対象集団全体およびすべてのサブグループで、転移性去勢抵抗性前立腺がん患者さんに対してリムパーザとアビラテロンおよび prednisone の併用療法の治療ポテンシャルを裏付けるものである。
 PROpel試験の結果は、転移性去勢抵抗性前立腺がんにおいて有望かつ臨床的ニーズのある新たな治療選択肢としてこの併用療法を支持するものであり、患者さんと同様にがん領域に携わる方々にとっても重要なものである。

◆Susan Galbraithアストラゼネカのエグゼクティブバイスプレジデント兼オンコロジーR&D責任者のコメント
 前立腺がんにおけるDNA 修復には、リムパーザの標的である PARPとアンドロゲン受容体の両方が重要である。PROpel試験の全体集団から得られた結果は、リムパーザおよびアビラテロンの併用療法が、PARPによるDNA修復でアンドロゲン受容体の役割に対する依存性を利用することで、アビラテロン単剤よりも優れた抗がん活性を達成することを示している。
 データ全体に基づき、この併用療法が転移性去勢抵抗性前立腺がんでお困りの幅広い患者さんに意義のあるベネフィットをもたらしたことは注目に値すべきことであり、このことは欧州連合(EU)において最近転移性去勢抵抗性前立腺がんでの承認が得られたことでも明確に示されている。

◆Eliav Barr MSD研究開発本部シニアバイスプレジデント、グローバルクリニカルディベロップメント責任者兼チーフメディカルオフィサーのコメント
 前立腺がんは、男性で2番目に多いがんであり、死亡率は今後20年でほぼ倍増すると推定されている。これらの患者さんは治療選択肢が限られており、病勢進行を遅らせることのできる治療薬の重要なニーズがあることを私たちはよく認識している。
 アストラゼネカとの協力により、規制当局での審査を前進させ、前立腺がんの患者さんに新たな治療選択肢を提供できることを誇りに思っている。

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