タグリッソとsavolitinib 併用療法 肺がんのP2試験で好結果 アストラゼネカ

 アストラゼネカは18日、は、タグリッソとsavolitinib の併用療法について、P2相試験(SAVANNAH 試験)において、良好な暫定結果を得たと発表した。高レベルの MET過剰発現および/またはMET増幅を有する肺がん患者でORR49%客観的奏効率(ORR)を示したもの。
 SAVANNAH試験の本試験において、タグリッソと savolitinibの併用療法は、タグリッソによる治療で病勢進行したMET過剰発現および/または増幅が高値(IHC90+および/または FISH10+と定義)の上皮成長因子受容体遺伝子変異(EGFRm)陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、49%の客観的奏効率(ORR)を示した(95%信頼区間[CI]、39-59%)。
 最もORR が高かったのは、化学療法歴のないMET 高値の患者であった(52%[95% CI:41-63%])。MET高値を示さなかった患者の ORR は 9%(95% CI:4~18%)であった。
 これらの結果は、オーストリアのウィーンで8月6~9日に開催された2022 年の世界肺癌学会(IASLC)で発表された。なお、savolitinib は本邦未承認である。
 Savolitinibは、Orpathysのブランド名で中国で販売されており、アストラゼネカと HUTCHMED社が共同で開発・販売している経口で強力かつ高選択性MET受容体チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)。
 EGFRを標的とする治療で、EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん患者は持続的な延命効果を得られるが、ほとんどの患者が最終的には耐性を獲得し、MET はその際に最も頻繁に現れる耐性バイオマーカーである。
 SAVANNAH試験参加のためにスクリーニングされた患者のうち、全員がタグリッソ治療後に病勢進行し、62%がMETの過剰発現および/または増幅を伴う腫瘍を有し、1/3以上(34%)が定義された MET高値のカットオフ値を満たしていた。

◆SAVANNAH試験の治験責任医師のMyung-Ju Ahn氏のコメント(成均館大学医学部附属サムスンメディカルセンター血液腫瘍学教授)のコメント
 標的治療に対する耐性獲得と病勢進行は、EGFR遺伝子変異陽性 NSCLC患者さんのほとんどが直面する困難な問題である。
 今回発表された SAVANNAH 試験の結果は、savolitinib のようなMETを標的とした治療法による治療効果が最も得られるようなMET過剰発現および/または増幅を有する患者さんを同定する新たなアプローチの裏付けとなる可能性がある。
 また、適切なバイオマーカー検査戦略により、耐性を獲得してしまった患者さんにとって、METはこれまでの理解よりも有力な標的となり、オシメルチニブと savolitinib併用療法レジメンのさらなる探求につながる。

◆Cristian Massacesiアストラゼネカチーフメディカルオフィサー兼オンコロジーチーフデベロップメントオフィサーのコメント
 標的治療で増悪した EGFR遺伝子変異陽性の肺がん患者さんに対する現在の標準治療は化学療法である。SAVANNAH 試験の結果は、病勢進行時にタグリッソに savolitinibを追加した併用療法が、バイオマーカーで選択された患者さんにとって、毒性が低くより効果的な治療選択肢となる可能性を示唆している。
 本試験およびSAFFRON 試験によって、タグリッソとsavolitinibの併用療法レジメンの可能性をより深く理解していきたいと考えている。

◆Weiguo Su HUTCHMED最高経営責任者および最高科学責任者のコメント
 savolitinibとタグリッソの併用療法が、これまでの認識よりも多くの患者さんに恩恵をもたらす可能性があることが裏付けされた患者選択戦略をもって、国際共同P3試験(SAFFRON 試験)に進んだことは心強い。
 また、SAVANNAH 試験の結果から、EGFR標的治療で病勢進行したNSCLC 患者さんに対して、その後の治療を開始する前の分子検査が果たす役割も確認された。我々は、選択的かつ患者さん中心のアプローチを追求し、この設定での savolitinib の開発を進めていく。
 

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