イミフィンジとトレメリムマブ 化学療法との併用で非小細胞肺がん治療薬として米国での承認取得 アストラゼネカ

 アストラゼネカは18日、イミフィンジおよびトレメリムマブについて、白金製剤ベースの化学療法との併用療法で転移性非小細胞肺がんの治療薬として米国での承認を取得したと発表した。
 対象は、ステージIV(転移性)の成人非小細胞肺がん(NSCLC)患者。今回のFDAによる承認は、P3相POSEIDON試験の結果に基づくもの。
 同試験において、イミフィンジと4サイクルの白金製剤ベースの化学療法に抗CTLA‐4抗体薬であるトレメリムマブを5サイクルという定められた回数追加投与した併用療法群は、様々な化学療法で治療された投与群(化学療法単独群)と比較して死亡リスクが23%減少した(ハザード比0.77、95%信頼区間 0.65-0.92、p=0.00304)。
 また、化学療法単独群の2年生存率が22%であったのに対し、併用療法群での推定値は33%であった。この併用療法群は、化学療法単独群と比較して、病勢進行または死亡リスクを28%減少しました(ハザード比0.72、95%信頼区間 0.60-0.86、p=0.00031)。
 2022年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で発表された約4年間の追跡結果となるP3相POSEIDON試験の最新結果では、併用療法群は化学療法単独群と比較して、死亡リスクを25%減少した(ハザード比0.75、95%信頼区間 0.63-0.88)。
 また、3年生存率は、化学療法単独群では13.6%であったのに対し、併用療法群では25%であった。イミフィンジおよび化学療法にトレメリムマブを追加した併用療法の安全性プロファイルは、それぞれの医薬品の既知のプロファイルと一貫しており、新たな安全性上の懸念は確認されいない。
 米国では、肺がんは2番目に多く診断されているがんで、2022年には23万6000人を超える患者が肺がんと診断されると推計されている。特に、転移性非小細胞肺がん(NSCLC)患者の予後は不良で、診断後5年を超えての生存率はわずか8%程度である。
 POSEIDON試験の結果に基づき、現在、欧州、日本およびその他の多くの国において、同適応での薬事申請が審査中である。
 イミフィンジは、第Ⅲ相PACIFIC試験に基づき、化学放射線療法後に進行が認められていない患者を対象として、切除不能な局所進行(ステージIII)の非小細胞肺がん(NSCLC)における根治目的の治療薬として唯一承認されたがん免疫治療薬で、世界的な標準治療となっている。
 さらに、P3相CASPIAN試験に基づき、進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)の治療薬として、米国、欧州、日本、中国およびその他の世界中の多くの国々で承認されている。
 加えて、P3相TOPAZ-1試験に基づき、化学療法との併用療法で局所進行または転移性胆道がんの患者の治療薬として米国および他のいくつかの国々で承認され、P3相HIMALAYA試験に基づき、トレメリムマブとの併用療法で切除不能な肝細胞がんの患者の治療薬として米国で承認されている。

◆P3相POSEIDON試験の治験責任医師のMelissa Johnson氏(Sarah Cannon Research Institute肺がん研究プログラムディレクター)のコメント
 転移性非小細胞肺がんには、免疫チェックポイント阻害剤を含む標準治療が十分に奏効しない患者さんが多くいることから、治療上の大きな課題が存在している。
 今回承認された免疫治療薬2剤のレジメンと化学療法の併用療法により、深刻な疾患を抱えるこれらの患者さんに対して、忍容性が概ね良好な新たな治療選択肢が追加されるとともに、CTLA-4阻害剤で確認されている長期の生存期間の延長というベネフィットを享受するチャンスを提供することができる。

 ◆Dave Fredricksonアストラゼネカエグゼクティブバイスプレジデント兼オンコロジービジネスユニット責任者のコメント
 転移性非小細胞肺がんは、多くの患者が依然として予後不良に直面している治療困難な疾患であり、今回の承認は、その生存期間を延ばす新たな併用療法を提供することの重要性を強く示している。
 また、イミフィンジにトレメリムマブを追加する免疫治療薬の併用療法に対して、切除不能の肝細胞がんに次ぐ2つ目の適応として承認されたものであり、トレメリムマブという新たな治療薬のベネフィットと、アンメットニーズが高いがん領域における患者さんの転帰改善に対する我われのコミットメントをより強固なものにすると言えるだろう。

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