CRMベストプラクティス賞を受賞 ブリストル・マイヤーズ スクイブ

 ブリストル・マイヤーズ スクイブは25日、カスタマー・リレーションシップ・マネジメント(CRM)の啓発と普及に取り組むCRM協議会から、2022年CRMベストプラクティス賞を受賞したと発表した。
 同賞は、顧客中心主義経営の実現を目指して、戦略、オペレーション、組織の観点から顧客との関係を構築し、その成果をあげている日本国内の企業や団体に与えられる。
 今回の同社の受賞は、難治性の血液がんに対して承認を受けた新しい治療法「CAR T細胞療法(キメラ抗原受容体遺伝子改変自家T細胞療法)」を、日本国内で安全かつ確実に提供するためにデジタルトランスフォーメーションを推進して構築したプロセスが評価されたことによるもの。
 CAR T細胞療法は、一般的な医療用医薬品とは異なり、患者個人の細胞を採取加工し、再度投与する新たな療法だ。認証を受けた国内の医療機関で患者から採取した白血球を海外の製造施設に輸送して遺伝子を加工培養し、再び国内の医療機関に低温輸送し患者に投与するという複雑なサプライチェーンが必要とされるほか、患者情報の一元管理や治療プロセスの可視化を可能とするITプラットフォーム、患者の個人情報へのアクセス人員を必要最小限に制限しつつ、適切なトレーニングを施す等、個人情報保護の観点から行うべき対策の整備など、細胞療法特有の必須要件が多くある。
 これに対応すべく、同社は、CAR T事業部門およびIT部門が中心となって、製造施設や医療機関など国内外の関係者と連携し、サプライチェーンの構築や医療従事者向けの「CT(Cell Therapy)360ホットライン」(専用ポータルサイトと24時間体制の問い合わせ窓口)の開設を進めた。
 CAR T細胞療法は、患者ごとに製造スケジュールが異なるため、医療従事者が患者それぞれの情報のタイムリーな確認が重要となるが、CT360ホットラインによってリアルタイムでの患者情報の把握と急な予定変更への対応を実現した。
 同社が推進するデジタルトランスフォーメーションを駆使した高い利便性を誇る情報共有プラットフォームの構築で、発売直後からCAR T細胞療法を確実に患者に提供する体制整備に成功した。
 主催者のCRM協議会は、同社のプロセスを「命を繋ぐ医療連携モデル」と評し、受賞理由を次の通り説明している。
 CAR T療法は、患者の細胞を加工するため、患者ごとの対応と医療機関との連携、プライバシー管理、高い安全性、質の高いオペレーションが求められる中で、個々の患者に寄り添った対応を実現している。
 CT360ホットラインでは、医療機関、関係各社と必要な情報を共有し、治療スケジュールの調整、細胞採取、製造の進捗管理、完成品の配送手配、投与プロセスを一元管理することで、真の顧客である患者の長期生存と不安軽減に貢献している。製薬会社と医療従事者が、製造販売元と顧客という立場を超えて、患者の治療を第一の目的に協働して、顧客中心主義の理念を実践した。

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