来るであろうコロナ第8波+インフルエンザ同時流行に備えて 新宿区さこむら内科医院 迫村泰成

 秋の風とともに、東京都では、新型コロナ感染者数がどんどん低下しています。最近の政府からのメッセージは、あたかも、このままコロナが収まり、ただの風邪になっていくかのような印象を国民に与えているのではと危惧します。
 多くの子供たちはコロナに対する免疫を持たず、持っている大人たちの免疫も数か月で落ちていくという事実は頭に置いておかないといけません。

【外来受診された、母と10才娘の事例】
9/30父 コロナ陽性→10/2よりホテル隔離中。
10才娘様は、10/5まで濃厚接触者として隔離、無症状。
10/6 登校 帰宅時発熱なし
10/7 朝より発熱37.3℃ 夕方38~39℃
10/8 午前4時 38.8℃カロナール内服。
10/8 お母様付き添いにて当院受診。
【新型コロナ抗原迅速検査】陽性。
コロナワクチンは未接種。
ちなみにお母様も10/4に軽度の咽頭痛あり、発熱なし。検査をお勧めし、本日当院で迅速検査陽性、びっくりされていました。
 当院の近隣の小学校であり、10月になっても陽性者が出ていることは私も把握しています。お母様からは「学校からは感染症に関する情報提供はまったくありません」と不満げな表情で話されました。
 9月後半から、待期期間の短縮や厳格な外出制限の緩和が開始となっている。それに伴い、学校現場では濃厚接触者は追わないという方向になっているようにも聞いています。陽性者の個人情報は不要ですが、せめて「学年でインフルエンザやコロナが出ているかどうか」は保護者には伝えた方が、自己防衛できるのではないかと考えます。国レベルで、厚労省と文科省の縦割りが問題なんだろうと推測しますが、地域の教育委員会の判断はどうなのでしょうか。
 今回のような事例を目の当たりにしますと、ワクチン未接種の多い学校現場の感染は収まらないだろうなと思います。幸い、小児は重症化はしにくいです。
 一方、新宿区でも、65才以上のワクチン接種者は89%に達しましたが、残り11%は受けていません。大多数が軽症に終わるオミクロンとはいえ、感染者数の増加は半端なく、第7波では高齢者の死亡はこれまでの最高を記録しました。
 今後、ワクチン未接種のハイリスク者への感染が心配です。これから冬にかけてインフルエンザ、コロナ同時流行により、発熱者の数が急増したときにどう診療していくか。
 発熱外来を開設する医療機関としては悩みます。来るべき第8波が、せめて第7波のような急峻な増加にならぬよう、なだらかなピークを目指す政策をお願いします。

タイトルとURLをコピーしました