潰瘍性大腸炎患者と医師とのコミュニケーション実態調査結果を発表 ギリアド

患者の約半数が主治医と積極的に話をしていない結果に

 ギリアドは、潰瘍性大腸炎の患者を対象に、潰瘍性大腸炎における「患者さんと医師のコミュニケーションに関する実態調査」(ウェブアンケート調査)を実施した。潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に炎症を呈する慢性疾患である。近年、潰瘍性大腸炎の有病率は上昇傾向にあり、世界では200万人以上の人々のQOLに大きな影響を及ぼしている。

 治療を受けていても、便意切迫、便失禁、反復性の血性下痢、頻回な排便、腹痛、不眠、疲労を伴う例もよくみられる。日本では、潰瘍性大腸炎は厚生労働省の定める指定難病の1つとされ、2015年の全国調査によれば、国内の推定患者数は219,685人、年間有病率は人口10万人対172.9人(男性:192.3人、女性:154.5人)と報告されている。今回の調査概要および調査結果は次の通り。

【潰瘍性大腸炎による日常生活への影響】

・50%以上の潰瘍性大腸炎患者さんが、日常生活で困っていることは、「通院や治療の費用や時間」と回答。

「あなたが、潰瘍性大腸炎により、日常生活で困っていることをお知らせください」という質問に対して、回答率が50%以上だったのは「通院や治療による費用的な負担があること」(56.6%)と「通院や治療による時間的な負担があること」(52.8%)であった。

【患者さんと医師とのコミュニケーション】

・潰瘍性大腸炎の患者は、日常生活においてさまざまな悩みを抱えているにも関わらず、約半数の患者は日常生活で困っていることについて主治医と話をしていないことが明らかに。

前問で日常生活において何らかの悩みを抱えていると回答した患者(88名)に「あなたは、潰瘍性大腸炎について日常生活で困っていることについて、主治医と話をしていますか?」と聞いたところ、「あまり話をしていない」(33.0%)または「まったく話をしていない」(15.1%)と回答。約半数が主治医と積極的に話をしていないという結果になった(47.7%)。

・約60%以上の患者が「治療により達成したいこと」、約30%の患者さんが「治療方針」について、主治医と話していないという結果に。

潰瘍性大腸炎の患者(106名)に、治療により達成したいこと(治療目標)について主治医と話をしているかを聞いたところ、「まったく話をしていない」(33.0%)または「あまり話をしていない」(24.5%)と回答した患者さんの割合は、約60%という結果であった。
 また、「あなたは、治療方針について主治医と話をしていますか」と聞いたところ、話していないと回答した患者は約30%であった。(「あまり話をしていない」(20.8%)、「まったく話していない」(15.1%))

・現在の治療について「やや満足している」(43.4%)または「満足している」(34.9%)と回答した患者さんの割合は70%以上。

潰瘍性大腸炎の患者(106名)に「あなたは、現在の治療に満足していますか?」と聞いたところ約80%の患者が満足していると回答した。(「やや満足している」(43.4%)、「満足している」(34.9%))

・70%以上が「現在の治療に満足している」と回答した一方、約80%の患者が、より自分に合った治療法があったら治療を変えたいと思うという結果に。

患者(106名)に「あなたは、より自分にあった治療があれば、現在の治療を変えたいと思いますか?」と聞いたところ、48.1%が「ややそう思う」、30.2%が「そう思う」と回答。約80%の患者は、より自分に合った治療選択肢があったら治療を変えたいと思っているという結果になった。

◆同調査結果に対する日比紀文北里大学北里研究所病院炎症性腸疾患臨床研究講座特任教授のコメント
 潰瘍性大腸炎は、便意切迫、便失禁、反復性の血性下痢、頻回な排便、腹痛、不眠、疲労などの症状を伴う慢性の炎症性腸疾患である。
 これらの症状は目には見えず、周りにも言いづらい場合が多い中で、治療により炎症のない状態(寛解期)を維持することで、潰瘍性大腸炎による日常生活への影響の軽減につながる。
 患者さんに合った治療を考える上で、患者さんの日常生活への影響やアンメットニーズに関するコミュニケーションは大きな役割を果たす。
 今回の調査結果は、患者さんの治療の満足度を理解し、潰瘍性大腸炎による日常生活への影響を軽減するうえで、患者さんと医師とのコミュニケーションが重要であることを示した内容となった。
 医師が、患者さんの潰瘍性大腸炎による日常生活への影響に耳を傾け、患者さんは日常生活における影響について主治医に積極的に共有することで、より高い治療ゴールを達成することができるのではないか。

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