camizestrant 乳がんのP2試験でフェソロデックスと比べ病勢進行を有意遅延 アストラゼネカ

 アストラゼネカは19日、次世代経口選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)「camizestrant」について、乳がんのP2試験(SERENA-2試験)においてフェソロデックスとの比較でER陽性進行乳がんの病勢進行を有意に遅延し、PFS を3.5 カ月以上延長したと発表した。
 SERENA-2試験の対象は、内分泌療法による治療歴があり、エストロゲン受容体(ER)陽性の局所進行または転移性乳がんを有する閉経後の患者で、フェソロデックス(フルベストラント)500mg と比較して、75mg および 150mg の両用量で無増悪生存期間(PFS)において統計学的に有意かつ臨床的に意義のある延長を示した。この試験結果は、2022 年サンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS)で発表された。
 SERENA-2試験では、全体集団において、camizestrantは現在の標準治療であるフェソロデックスと比較して、75mg投与群では42%(ハザード比[HR]0.58、90%信頼区間[CI]0.41-0.81;p 値0.0124;PFS 中央値 7.2 カ月対 3.7 カ月)、150mg 投与群では 33%(HR 0.67、90% CI 0.48-0.92; p 値 0.0161;PFS 中央値 7.7 カ月対 3.7 カ月)の病勢進行または死亡リスクの有意な低下を示した。
 また、事前に規定されたサブグループであり全体集団の36.7%を占めるESR1 遺伝子変異陽性乳がん患者においても、camizestrantはフェソロデックスと比較して75mg 投与群では67%(HR 0.33、90% CI 0.18-0.58;PFS 中央値 6.3 カ月 vs 2.2 カ月)、150mg 投与群では45%(HR 0.55、90% CI 0.33-0.89;PFS 中央値 9.2 カ月 vs 2.2 カ月)の病勢進行または死亡リスクの低下を示した。
 なお、ESR1遺伝子変異が検出されなかった患者においても有効性が認められ、75mg 投与群では22%、150mg投与群では24%の病勢進行または死亡リスクの低下を示した(HR 0.78、90% CI 0.50-1.22 および HR 0.76、90% CI 0.48-1.20)。
 さらに、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6 阻害薬による治療歴のある患者、肺転移および/または肝転移を有する患者、ホルモン依存性乳がん(ER-driven disease)を有する患者など、事前に規定した他のサブグループでも臨床的に意義のあるPFSの延長が認められた。

◆SERENA-2試験治験責任医師のMafalda Oliveira氏(Vall d‘Hebron 病院および Vall d‘Hebron Institute of Oncology)のコメント
 今回発表されたデータは、ER 陽性の進行乳がん患者さんに対する新たな治療選択肢への重要な一歩を反映していると言える。SERENA-2 試験の結果から、camizestrantは75mgと150mgの両用量で忍容性が良好であり、現在の標準的な SERDによる治療との比較において、無増悪生存期間中央値を約 2 倍に延長し、患者さんの転帰を有意に改善することが示された。

◆Cristian Massacesiアストラゼネカのオンコロジー研究開発チーフ・メディカルオフィサー兼オンコロジー・チーフ・ディベロップメントオフィサーのコメント
 SERENA-2 試験において、アストラゼネカの次世代経口SERDであるcamizestrant はフルベストラントを上回る有意義なPFSの延長を示し、ESR1遺伝子変異の有無や CDK4/6 阻害剤による前治療の有無に関わらず、ER陽性の進行乳がん患者さんの転帰を最適化できる可能性を示した。  SERENA-4試験やSERENA-6 試験など、P3試験が進行中のcamizestrant を検証する開発プログラムからのさらなる知見を期待するとともに、引き続き、様々な乳がん患者さんに対して新薬を提供することに注力したい。

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