4月より日本ユニシスとスマートホスピタル実現に向けた包括共同研究を開始 鳥取大学病院

病気を治す場所からWell-Being実現手助けの場所目指して

 鳥取大学医学部附属病院鳥大病院と日本ユニシスは30日、鳥大病院のスマートホスピタル実現に向けた包括共同研究を4月から開始すると発表した。
 同共同研究では、鳥大病院および鳥大病院を取り巻く地域社会を対象としたエスノグラフィ調査と未来洞察により「スマートホスピタル」のこれまでにない病院像を創造し、最先端技術の活用によって創出される新たな価値や可能性を探索する2030年度までのロードマップを策定・実行する。
 新たな医療のあり方「病気を治す場所からWell-Being(ウェルビーイング:幸福で健康な状態)実現の手助けをする場所へ」をテーマに、新技術活用による研究開発と社会適用をワンストップで進めるとともに、自治体や地場産業とも連携し地域全体の活性化を目指す。
鳥大病院は、「地域と歩む高度医療の実践」を病院理念とし、地域に開かれた病院を目指し運営を行っている。ロボット手術などの先進的な技術を全国に先駆けて導入し、組織横断的な診療体制で、様々な高度医療の提供に取り組んでいる。
 また、診療だけでなく文化的情報発信や地域・患者の声を基にした院内外の環境整備など、様々な取り組みを進めてきた。
 一方、病棟建設から30年が経ち、建屋の老朽化やスペース不足が深刻化する中、2020年、新病院開発に向けた準備を開始し、新たな医療のあり方を実現する次世代型病院(スマートホスピタル)を目指した検討を始めている。
 日本ユニシスは、未来洞察によるビジョン構築実績を基にしたこれまでにない病院像の創造と、病院像実現に向けた最先端技術の実証、新技術テーマ発掘・研究開発・適用の計画推進を鳥大病院に提案し、今回、包括共同研究の開始に至った。
 鳥大病院と日本ユニシスは、鳥大病院が目指す「スマートホスピタル」の実現に向け、地域住民および医療従事者のWell-Being実現の礎となる新たな病院像を創造し、病院像実現に必要となる技術開発や地元企業との共創によるビジネス創出に取り組む。
 すでに取り組んでいる院内の環境整備に加え、潜在課題の抽出と解決につながる院内外の設備および動線の確保により、より良い医療を提供する新たな環境を整える。
 また、建屋の整備と同時に、AIやIoTをはじめとした最先端技術を取り入れ、新たな医療のあり方「病気を治す場所からWell-Being実現の手助けをする場所へ」を実現していく。
 2022年度は、これまでにない病院像を見出すにあたり、エスノグラフィ調査を用いた病院内の潜在課題の抽出と、未来洞察を活用した未来の病院像のアイデアの具現化を行う。
 抽出した課題および病院像のアイデアを基に新たな病院像のビジョン・コンセプトを明確化し、実現に向けたロードマップを策定する。
 鳥大病院および日本ユニシスの役割、今後の取り組みは、次の通り。

【鳥大病院】
・エスノグラフィ調査フィールドの提供。

・顕在課題解決を目的とした最先端技術の実証フィールドのを提供。

・米子市、地域医療機関、地元企業等との連携を通じて新しい医療に求められるあり方を収集し、ビジョン・コンセプトの立案に活用する。

【日本ユニシス】

・院内(主に外来スペース)でのエスノグラフィ調査により患者視点からの病院・地域社会の潜在課題を抽出し、課題の深化に必要な仮説立案を行う。

・未来洞察のグループワークを実施し、新たな病院像のビジョン・コンセプトのアイデアを具現化する。

・顕在課題解決を目的とした最先端技術を活用したソリューションを提案・実証する。

【今後の取り組み】

 ロードマップの短期目標に対し、最先端技術の実証導入、既存の取り組みである鳥大病院と地元企業との医工連携を生かした製品開発を行うとともに、2022年度のエスノグラフィ調査により抽出した課題の追加調査を実施する。
 また、中長期目標の達成を目指し、新しい医療の展開、働き方改革や生活における利便性の向上など、地域住民のWell-Being実現に役立つ新技術の共同研究開発を行うとともに、開発したナレッジを基に地域社会に根差したビジネス創出などに取り組み、2030年度に完成予定の新病院の設備や運営に反映させていく。

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