低中所得国向けのセフィデロコル製造でインドOrchid社とサブライセンス契約締結 塩野義製薬

 塩野義製薬と、GARDP(本部:スイス、ジュネーブ)およびCHAI(本部:米国マサチューセッツ州)は12日、セフィデロコルに関するライセンス契約1に基づき、GARDPが低中所得国向けのセフィデロコル製造に関するサブライセンス契約をOrchid社(本社:インド)と締結したと発表した。
 ARDP(本社:インド)およびOrchid社とセフィデロコルに関するライセンス契約1に基づき、GARDPが低中所得国向けのセフィデロコル製造に関するサブライセンス契約をOrchid社と締結したもの。
 塩野義製薬、GARDP、CHAIは、セフィデロコルに関するライセンス契約および提携契約を締結し、3者共同ですべての低所得国および多くの低中所得国、高中所得国を含む世界135ヵ国における抗菌薬へのアクセス拡大に向けた取り組みを推進している。
 特に、低中所得国では、カルバペネム耐性菌感染症の患者数増加など、薬剤耐性(AMR)の深刻な脅威に直面している一方で、薬剤耐性菌に対する有効な抗菌薬へのアクセスは、法規制や経済的な理由など多くの障壁から先進国と比較して大きく遅れている。
 今回、GARDPとOrchid社の間で締結されたサブライセンス契約には、アクセスや環境に関する事項や適正使用に関する重要な条項が含まれており、医療リソースが限られた環境下でも、各国の医療制度に基づき、患者が支払い可能な価格でのセフィデロコルの提供を実現するために、製造スケールに応じたコスト削減が価格設定に反映できる規定が盛り込まれている。
 また、同契約では、Orchid社がセフィデロコルをWHOの医薬品事前認証(Prequalification、PQ)プログラムに申請することも規定している。WHOのPQリストに掲載された製品は、WHO加盟国における各国規制当局の薬事承認に要する時間を90日に短縮するWHOとの共同登録申請の対象となる。
 本年3月にWHOは、セフィデロコルの製造業者に関心表明を提出するよう募集しており、これは結核以外の細菌感染症治療薬にWHOがPQ提出の資格を与えた初めての例となる。
 今後は、塩野義製薬、GARDP、CHAIの3者によるセフィデロコルに関するライセンス契約および提携契約に基づき、CHAIが塩野義製薬とOrchid社との間のセフィデロコルに関する技術移転を支援する。
 塩野義製薬はセフィデロコルの製造に必要なすべての情報をOrchid社に提供し、Orchid社の生産能力の向上に貢献することで、セフィデロコルのグローバルでのアクセス拡大を目指す。

◆Manica Balasegaram ARDP Executive Directorのコメント
 抗菌薬へのアクセスは、AMRの脅威が世界中に広がる中で課題として取り上げられていない。これは製薬業界のみならず、公衆衛生の失敗といえる。低中所得国の抗菌薬の価格を適切化することで、それらの国々での抗菌薬へのアクセスを改善・促進し、高所得国との格差を是正する。これにより、AMRの脅威を効果的に低減することができる。
 我々はOrchid社と協力してセフィデロコルでこのことを実現できることを誇りに思っている。このプロジェクトが成功例となり、他の抗菌薬の模範となることを願っている。

◆Manish Dhanuka Orchid社Managing Directorのコメント
 我々は、塩野義製薬、GARDP、CHAIと協力し、必要な地域への重要な抗菌薬のアクセス拡大に向けたソリューションを提供できることを誇りに思う。我々は、数十年にわたって蓄積されたセファロスポリン系抗菌薬製造に関するノウハウを有する。品質が保証され、かつ手頃な価格で販売できるようセフィデロコルを生産することで、低中所得国の人々の満たされていないニーズに応えていく。

◆澤田拓子塩野義製薬取締役副会長のコメント
 私たちは、満たされていない重要なヘルスケアニーズに対処していく上で革新的な新薬の研究開発にとどまらず、GARDPおよびCHAIとのパートナリングなど、抗菌薬へのアクセスとその適正使用を含む重要な公衆衛生上の優先事項に焦点を当てた取り組みにも注力している。
 今回のGARDPとOrchid社との契約締結を歓迎するとともに、Orchid社が参加されることで低中所得国に住む人々の医薬品へのアクセス向上に向けた取り組みが今後も前進し続けることを確信している。

◆David Ripin CHAI Executive Vice President, Infectious Diseases and Chief Science Officerのコメント
 CHAIは、低中所得国に暮らす人々が細菌感染症に対して適切な診断と治療が受けられるように尽力している。AMRの市場が形成され、患者の生活を改善するための特徴的なプロジェクトを実現するパートナーに対するサポートができることにとても興奮している。

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