労働

 薬局の仕事を改めて考えますと、日常の業務は清掃、レセコンはじめ機器の準備、郵便物のチェック、国内外のニュースの視聴で始まります。全員が揃うと、薬局のスタッフと業務連絡、日課の確認をし情報の共有をします。
 患者さんが来られると処方箋を受け取り、レセコンの入力をします。処方箋のチェックをし、調剤に取り掛かります。ピッキングし、監査、薬歴を確認し服薬指導をいたします。新たに薬歴を追記して完了です。疑義紹介がある場合は電話やファックスで問い合わせをし、必要が有ればヒヤリハットの報告をします。
 また、この一連の中で患者さんのお話をうかがったり、質問に答えたりすることも多く、それらから症状の変化や病状を観察することとなります。薬の説明をするより患者さんのお話を聞くことがメインのことと考えています。お一人おひとりに対応することで、一つずつ仕事が成立し、また次の患者さんをお迎えすることができます。
 空き時間を利用して、在庫切れを防ぐために使用予測表を活用して在庫チェックを行なったり、手間のかかる調剤の前準備をしたり、トレーシングレポートを作成したりします。
 空き時間は、他に薬を滞在先やお家にお届けすることが多く、軽い荷物は自転車で重い荷物は車などを使って配達します。慌てて飛び出して、積み忘れたり、監査し忘れたりして、2度伺うこともあります。出ている間にまた別の配達の依頼があり、同じ道を2度運ぶこともあります。
 患者さんからクレームがあり、対応するために業務をぬって出かけることもあります。とても辛い思いをすることもありますが、こちらにも反省すべきところがあって、次には同じことをしないように解決策を練ります。「ペシャンコにされてもへこたれない」スタイルです。
 一般に言う薬局の仕事からは想像しにくいですが、エンシュア(液体タイプの経腸栄養剤)や注射用水などは重く嵩張りますので、重労働です。腕相撲大会優勝経験もあり、腕っ節はいいのですが、エンシュア4箱はきついです。玄関を開けていただいて、お顔を見るまでは眉間にシワが入りきつーってなっています。でも、お顔を見ると感謝の気持ちが伝わって、私も思わず微笑んで「お大事に、ありがとうございます」と自然に出てきます。心もあったかくなります。
 人生これまで多くの人に出会い、優しく親切にしていただいたり、美味しいものや美しいものに出会い、感動を与えていただいたりしました。労働の中に自分には、きつく感じたり理不尽と思うことも数々ありました。
 でも、それらを、これまでの身に余る幸せをいただいたお返しと思い、労働の労に「いたわる」という意味があることを知ると、なんでもできるような気がします。今日も一日頑張りましょう。
薬剤師 宮奥善恵

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