「女性も更年期以降高血圧に成り易い」を知らない人は3人に1人 オムロン ヘルスケアが意識調査

40歳から家庭での血圧測定の習慣をもつことの重要性を訴求

オムロン ヘルスケアが昨年9月と11月に行った全国の高血圧患者を対象としたインターネットによる意識調査結果から、女性は40歳から家庭での血圧測定の習慣をもつことの重要性が浮き彫りになった。
 8日の国際女性デーに因んで、これら調査結果を踏まえた「更年期世代の女性の高血圧」における血圧管理の重要性や健康管理について、産婦人科医師および循環器内科医師が解説した。
 昨年の9月24日~28日まで実施された「血圧管理に関する意識調査」は、全国の高血圧患者 50代~60代の男女1036人を対象としたもの(調査1)。
 一方、「家庭血圧計に関する意識調査」は、昨年11月1日~4日まで、全国の高血圧患者40代~70代の男女1072人を対象に実施された(調査2)。両調査のまとめは、次の通り。

・女性も更年期以降高血圧になりやすいことを知らない人は3人に1人

・男性は30代後半から、女性は40歳以降から高血圧と診断される人が多い

・30代から血圧測定をしている女性は13.2%。高血圧の可能性があると言われてから測り始める40代は35.4%で約2.7倍と大幅に急増

1. 女性も更年期以降、高血圧になりやすいことを知らない人は3人に1人

 若いころから血圧が低めで、「自分は低血圧」と思っている女性は少なくない。50~60代の高血圧と診断されている女性518名に調査したところ33.4%の人が「更年期に血圧が上昇する場合がある」ことを知らない実態が判明した。(調査1)
 女性は、更年期を境に高血圧になるリスクが高まると言われている。若いころは低血圧であったから大丈夫だと思わずに、健康診断の活用とともに家庭での血圧測定おこなうなど、高血圧の予防を心がけよう。

2.男性は30代後半から、女性は40歳以降から高血圧と診断される人が多い

 高血圧の診断基準は、診察室で測定した最高血圧が140mmHg以上、または最低血圧が90mmHg以上、またはその両方の場合が「高血圧」と設定されている。
 血圧値は、加齢とともに上がると言われており、男性は30代後半から、女性は40歳以降から高血圧を指摘されることが多いことが判った(調査1)。

3.30代から血圧測定をしている女性は13.2%。高血圧の可能性があると言われてから測り始める40代は35.4%で約2.7倍と大幅に急増

 30代から家庭で血圧を測り始めた女性は13.2%と低く、高血圧の可能性があると言われ始めた40歳以降から測定をしている人は35.4%で約2.7倍と大幅に増加。きっかけは「健康診断で高血圧と診断された(25.4%)」、「医師から勧められた(24.0%)」、「高血圧の治療で必要だとおもった(21.2%)」という結果であった。(調査2)
 高血圧は、症状が無い場合が多く気づきにくいが、脳卒中や心不全などリスクの高い疾病を引き起こすとも言われており、早期発見・早期治療が重要である。
 40代から高血圧を指摘される割合が高くなることを考えると、30代のうちから家庭で血圧を測定する習慣をもつことが重要といわれている。

 なぜ更年期に高血圧になりやすいのか?

 一般に高血圧は、血液量が増加したり、動脈硬化などで血管壁が固くなるなど、血流への抵抗性が高まることで起こる。高血圧はサイレントキラーといわれるように、自覚症状がないままに進行し、日本人の死亡原因の2位、3位を占める心疾患や脳血管疾患の引き金となる。
 更年期の女性が高血圧に成り易くなるのは、女性ホルモンのエストロゲンの分泌量が大きく関わっている。若いころ低血圧だったという人でも高血圧になる可能性が増えますので注意が必要だ。
 男女ともに50歳を超えると半数以上が高血圧になるといわれている。男性は、30歳から女性は40歳から家庭での血圧計測を開始することを強くお勧めしたい。
 更年期には、カラダやココロにさまざまな変化が起こる。目で見える形にしておけば、ちょっとした変化にも気づきやすく、安心だ。血圧測定と測定データの管理に役立つアプリも活用して習慣にしよう。
 オムロン式美人(URL:https://www.healthcare.omron.co.jp/bijin/)では、更年期世代の基礎知識やQ&Aコンテンツを掲載している。

◆対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座・新宿伊勢丹 理事長(産婦人科医師/医学博士)のコメント

更年期は、閉経を挟んだ前後10年間を指す。閉経が50歳の場合、45〜55歳です。この時期は、女性ホルモンの分泌が急激に減少することで、ホルモンバランスが乱れ、体調の変化や不調を感じる人も多くみられる。
 女性の性ホルモンであるエストロゲンは、血管を拡張させる働きがあり、若い女性の血圧は男性よりも低い場合が多い。
 だが、閉経を迎える更年期になるとエストロゲンの分泌量が減り、血液中のコレステロールや血糖が増加し、血管の老化(動脈硬化)が始まる。
 更年期は、自律神経も乱れやすく、血圧も乱高下する。若いうちからの血圧測定の習慣化により、更年期以降の健康の維持も可能になる。ぜひ日頃から血圧に注目して頂きたい。
 高血圧は男性のものと思われがちだが、女性ももちろん高血圧になる。更年期で血圧が不安定なとき、放置すると慢性化することもあるので、一時的なものと甘くみず、早期受診による対策が重要である。

◆島本和明日本高血圧協会 理事長のコメント


 更年期世代の女性が特に注意して欲しいのが「高血圧」である。 WHO(世界保健機関)が公表する世界の死因ランキングでは、第1位は虚血性心疾患、第2位は脳卒中となっており、いずれも高血圧が発症要因の一つとも言われている。
 高血圧は、症状が無いため見過ごしやすいのが課題である。早めの高血圧対策により、心疾患や脳卒中などの発症リスクを抑えることが重要である。女性は、若いうちは血圧が低めの人が多いが、女性ホルモンの変動(低下)により更年期に血圧が高くなる傾向がある。

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