Tezspire 重症喘息治療薬として米国で承認 アストラゼネカ

 アストラゼネカは13日、Tezspire(テゼペルマブ)について、成人および 12 歳以上の青年期重症喘息の追加維持療法として米国で承認されたと発表した。
 Tezspireは、FDAによる優先審査後、PATHFINDER 臨床試験プログラムの結果に基づき承認された。承認申請には、Tezspireが標準治療への追加療法として、プラセボに対し、全ての主要および副次的評価項目にわたり優位性を示した重症喘息患者を対象とする主要なP3相NAGIVATOR試験の結果が含まれた。
 Tezspireは、上皮サイトカインである胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)を標的とすることで炎症カスケードの上流に対して作用する重症喘息治療を目的としたファースト・イン・クラスの生物学的製剤である。
 同剤は、血中好酸球数、アレルギーの状態および呼気中一酸化窒素濃度 (FeNO)を含む主なバイオマーカーに関わらず、広範な重症喘息患者集団を対象としたP2相およびP3相臨床試験全体において喘息の増悪を一貫して有意に抑制した最初かつ唯一の生物学的製剤である。
 その承認内容は、喘息のフェノタイプ(例えば、好酸球性またはアレルギー性)またはバイオマーカーにかかわらない重症喘息を適応としており、米国で唯一承認された生物製剤だ。
 臨床試験において、Tezepelumab投与群に最もよく見られた副作用は咽頭炎、関節痛および背部痛であった。NAVIGATOR 試験において、有害事象は Tezepelumab投与群とプラセボ群でそれぞれ 77.1%、80.8%に発現した。また、重篤な有害事象はそれぞれ 9.8%、13.7%に発現した。
 P3相NAVIGATOR 試験の結果は、2021年5月にThe New England Journal of Medicine に掲載されている。
 Tezspireの申請には、優先審査指定が付与された。この指定は、安全性もしくは有効性の改善を実証する、重篤な病状を予防する、あるいは患者のコンプライアンスを向上させることにより、既存の選択肢に対する有意な優越性を提供する医薬品の申請に与えられる。
 Tezspireは、EU、日本およびその他数カ国を含む世界中で現在薬事承認申請の審査中である。

◆英国ロンドンのロイヤルブロンプトン病院肺部門部長で NAVIGATOR 試験治験総括医師のAndrew Menzies-Gow氏のコメント 重症喘息の複雑性と不均一性により、近年の治療の進歩にもかかわらず、多くの患者さんは入院や大幅なQOL低下のリスクを増加させる頻回な増悪を継続的に経験している。
 Tezspire は、十分な治療を受けられない状態のままコントロール不良の重症喘息に苦しみ続けている多くの患者さんにとって、待望の新規治療薬となる。

◆アレルギー&喘息ネットワークプレジデント兼 CEOでGlobal Allergy and Airways Patient Platform (GAAPP)プレジデントのTonya Winders氏のコメント
 重症喘息は世界中で 3400万人の患者さんの多くに影響を与えている消耗性疾患で、患者さんの呼吸を悪化させ、その日常生活の様々な側面を制約している。
 Tezspireの承認は、喘息患者さんにとって待望の朗報である。多くの重症喘息患者さんが、炎症の原因に関わらず、治療を受ける機会を持つことが出来るようになる。

◆アストラゼネカバイオ医薬品研究開発部門担当エグゼクティブバイスプレジデントMene Pangalos氏のコメント

 FDA がフェノタイプやバイオマーカーにかかわらない生物学的製剤の喘息治療薬を承認したことは、今回の前向きな決定が初めてである。Tezspire の承認を受けて、医師は広範な重症喘息患者集団に対する治療を変革する可能性を持つ重要な新たな治療薬の提供が可能になる。

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