ツムラは、10代〜40代女性を対象に、PMS(月経前症候群)に関する調査を行った。その結果、PMSの症状があり心身が疲れ果てた女性が約6割おり、そのうち仕事や家事、学校を「休むことはできない」と我慢し、婦人科を受診しない女性が約9割であることが判明した。
同調査は、7月29日~ 8月2日までの間、インターネットで、全国の10代〜40代の男女5000人(調査1)、生理前に不調がある10代〜40代の女性800人(調査2、年代別に200人ずつ)を対象に実施された。
主な調査結果は以下の通り。
10代〜40代の女性の2人に1人は、「生理前」に不調を感じている
・女性が不調を感じるシーンを聞くと、「寝不足」「ストレス」に加え「生理前」48.3%や「天候変化」40.7%も不調の原因に。
・女性の約半数は生理前に不調を自覚。症状は「焦燥感・イライラ感」「眠気」「不機嫌」「腹痛」「便秘・下痢」「倦怠(けんたい)感」「肌荒れ・にきび」など、カラダにもココロにも、全身に不調症状が表れる。10代・20代は「肌荒れ」、30代・40代は「焦燥感・イライラ感」が多い。
PMSは、台風などの天候変化で悪化する天気痛も台風シーズンは「最悪」に
・生理前に不調を感じる女性800人のうち、3人に1人は台風の低気圧などの「天候変化」(35.1%)で症状がひどくなると回答。PMSが重い女性では44.5%と高く、「天候変化」で症状が悪化しやすい。
・さらに、PMSが重い女性では台風などの低気圧は「PMSに影響がある」69.5%、天候や気圧の変化とPMSが重なると「最悪な状態」77.9%。
心身ともに疲れ果ててしまうPMS、なのに休みたくても「休めない」、職場の「理解もない」
・PMS時の体調は、「心身ともに疲れ果てた状態」(64.3%)である。
・PMSで仕事や学校を「休んだ」経験のある人はわずか17.6%、半数が「本当は休みたかった」(52.1%)のに休めていない。
・7割が「PMSでも休むことはできない」(69.6%)、8割が「PMSについて学校や職場の理解がない」(77.9%)と感じている。
PMS症状で婦人科受診は1割以下。しかし受診した女性からは「定期的」な受診意向あり。
・PMSのある女性の63.9%が「PMSの対処法を知らない」。PMSの際は「寝る」「家で静かに」「ひたすら我慢」といった対処が上位に。
・PMSで婦人科を受診した女性は1割以下(9.6%)。受診しない理由は「病院へ行くほどではない」「我慢できる」が多数。
・一方、受診したことのある人は「症状が楽になる」「悩みが軽くなった」と回答しており、62.3%が「定期的に受診」したい、 88.3%が「今後も受診したい」という結果になった。
10代〜40代の男女5,000人を対象に、どんなときに体の不調を感じるかと聞くと、女性は「寝不足の時」(60.4%)、「ストレスやプレッシャーを感じる時」(52.9%)、「生理前」(48.3%)、「天候が変化する時」(40.7%)など、日常生活のさまざまなシーンで不調を感じている。
一方、男性は、「寝不足の時」(47.7%)や「ストレスやプレッシャーを感じる時」(45.0%)に不調を感じるものの、4人に1人は「日常生活で不調を感じることはない」(23.6%)と答えている[図1]。女性は男性に比べて、日常的に不調を感じやすいことがわかります。
また、女性の半数(48.3%)が「生理前」に不調を感じ、4割(40.7%)は台風などによる低気圧、雨、梅雨時期、季節の変わり目などの「天候が変化」する際にも不調を感じている。「天候の変化」による不調は、男性(21.2%)に比べ女性は20ポイントもスコアが高く、特に女性に多い不調シーンという傾向が明らかになった。
PMSと天候変化 台風が来ると症状が悪化する?
PMSの症状がある女性の3人に1人は、「天候の変化」で症状が悪化(35.1%)
症状が重い女性では4割(44.5%)にも
生理前の眠気や頭痛、イライラ感や不安感などの症状は「月経前症候群」(PMS:pre-menstrual syndrome)と呼ばれ、生理前の1~7日頃に現れる。生理前に不調が生じる10代〜40代の女性800人を対象に、PMSについて聞いた。
まず自身のPMSの程度について聞くと、50.9%と2人に1人が「PMSが重い」と答えた[図3]。
症状がひどくなるシーンを聞くと、「寝不足の時」 (51.1%)や「ストレスやプレッシャーを感じる時」(51.0%)が多く、前述図1の不調を感じるシーンと同じである。
次いで多いのが、台風などによる低気圧、雨、梅雨時期、季節の変わり目などの「天候が変化する時」(35.1%)が挙げられた。
生理前に不調が生じる女性の3人に1人は気圧の変化で症状がひどくなると自覚しており、特にPMSが重い女性は半数近く(44.5%)が、天候が変化すると症状がひどくなると回答している[図4]。
天候の変化が大きく影響するPMS。秋の台風シーズンは症状がよりつらくなる女性が増えそう
PMSの症状が重い女性の8割は、天候の変化とPMSが重なると「最悪」(77.9%)と感じている
天候の変化とPMS症状には深い関係があるようです。台風などの低気圧がPMSに影響があると思うかと聞くと、54.8%が「関係がある」と答え、PMSの症状が重い女性では7割(69.5%)、天候や気圧の変化とPMSが重なると「最悪だ」と感じる女性は62.1%、症状が重い女性では8割(77.9%)に増えている[図5-1] 。
また、天候に関係なくPMSの症状がある期間は、6割以上が「心身ともに疲れ果てている」(64.3%)状態で、特にPMSの症状が重い女性では約9割(86.7%)が心身ともに疲れ果てた状態になることが判った。[図5-2]。
秋の台風シーズンは、天候の変化が多くなるため、生理前に不調を生じやすい女性にとって何らかの対処を必要とする。
PMSと仕事や学校 休みたくても休めないのが職場・学校のリアル
心身ともに疲れ果てた状態となるPMS。
8割が「休んだことがない」(82.4%)、7割が「休めない」(69.6%)
8割が「学校や職場の理解がない」(77.9%)
PMSでは多くの女性が心身ともに疲れ果てた状態となることが判明したが、PMSで学校や仕事を休んだ経験を聞くと、「休んだことがある」のは17.6%と少数派で、8割(82.4%)がPMSで休んだことはなく、半数が「休んだことはないが、本当は休みたかった」(52.1%)と無理をしている[図6]。
また、7割が「PMSでも会社や学校を休むことはできない」(69.6%)と、休むことに強い抵抗を感じています[図7]。その背景には職場の環境が関係しているようで、8割が「PMSについて学校や職場での理解がない」(77.9%)と感じている[図8]。
PMSに関して学校や職場など社会の理解がないために、休みたいのに休めない…PMSで悩む女性は、そんなツライ状況にあるのが現状だといえる。
PMSと対処法
PMSの症状があっても、9割は「婦人科を受診していない」
理由は「病院に行くほどではない」「受診するほどではない」「我慢できる」という自己判断から
PMSに伴う症状での婦人科の受診経験を聞くと、9割が「受診したことはない」(90.4%)と答えました[図12]。
受診しない理由を聞くと、約半数が「PMSは病院へ行くほどの症状ではないと思う」(47.9%)、3割強が「症状が治まると受診するほどのことではないと思う」(31.8%)と答え、PMSは病院に行くほどの病気ではないという意識が強いようだ。また、「一時的なことだと思えば我慢できる」(30.2%)と我慢してしまう女性も少なくない[図13]。