イミフィンジと化学療法の併用療法 米国FDAが進行胆道がんで承認 アストラゼネカ

 アストラゼネカは12日、イミフィンジと化学療法の併用療法について、成人の局所進行または転移性胆道がん(BTC)の治療薬として、米国で承認されたと発表した。
 FDAによる今回の承認は、P3相 TOPAZ-1試験の結果に基づくもの。TOPAZ-1 試験の中間解析では、イミフィンジと化学療法の併用により、化学療法単独と比べて死亡リスクが 20%低下することが示された(ハザード比[HR]0.80、95%信頼区間[CI]0.66-0.97、p=0.021)。
 治療開始から 2年後の時点での患者生存率は、イミフィンジと化学療法の併用療法で 25%(4 人に 1 人)、化学療法単独で 10%(10 人に 1 人)と推定された。結果は、PD-L1の発現状況や腫瘍の原発部位にかかわらず、事前に規定されたすべてのサブグループで一致していた。
 BTCは、胆管や胆嚢にできる希少で悪性度の高いがんで、米国では毎年約 2万3000人が BTCと診断されている。BTC患者の予後は不良で、5年生存率は約5~15%である。
 一方、イミフィンジと化学療法の併用療法の忍容性については、概ね良好であり、化学療法単独と比較して、有害事象を原因とする投与中止率の上昇は認められなかった。
 これらのP3相TOPAZ-1試験の結果は、米国臨床腫瘍学会の2022年度消化器がん(ASCO GI)シンポジウムで発表され、New England Journal of Medicine Evidence 誌にも掲載された。
 2022年7月、イミフィンジと化学療法の併用療法は、TOPAZ-1 試験から得られたデータに基づき、局所進行または転移性BTCの一次治療薬においてカテゴリー1 の推奨レジメンとしてNCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン(NCCN ガイドライン)に追加された。
 米国FDAに提出した TOPAZ-1 試験の結果は、複数の国の規制当局が抗がん剤の承認申請を同時審査する枠組みである「Project Orbis」のもとで審査された。
 「Project Orbis」の一環として、イミフィンジと化学療法の併用療法は、同一の適応症についてオーストラリア医薬品行政局、ブラジル国家衛生監督庁(ANVISA)、カナダ保健省、イスラエル保健省医薬品
局、シンガポール健康科学庁、スイス医薬品局および英国の医薬品・医療製品規制庁などの規制当局でも審査が実施されている。
 今回の米国における承認取得は、イミフィンジの本適応について優先審査指定および希少疾病用医薬品の指定取得に続くものだ。現在、TOPAZ-1 試験の結果に基づいた販売承認申請は、欧州、日本やその他の国々においても、規制当局による審査が進行中である。
 なお、進行胆道がんの一次治療としてのイミフィンジの化学療法との併用療法は、本邦未承認である。

◆P3相TOPAZ-1試験の治験責任医師であるAiwu Ruth He氏 (メドスタージョージタウン大学病院・ジョージタウンロンバルディ総合がんセンターの消化器がんプログラムのリーダー)のコメント
 進行胆道がんの治療は 、10年以上もの間大きな進展がなかった。今回の承認は、忍容性が良好で、より効果的な新規の治療選択肢を早急に必要としている進行胆道がんの患者さんにとって、大きな一歩となるものである。
 イミフィンジと化学療法の併用療法は、化学療法単独と比べて生存期間の延長を示しており、予後不良という問題に長年直面してきた進行胆道がんにおいて新たな標準治療となるべきものである。

◆Dave Fredricksonアストラゼネカオンコロジービジネスユニットエグゼクティブバイスプレジデントのコメント
 今回の承認により、米国の進行胆道がん患者さんは、生存期間を延長でき、忍容性が良好な免疫治療に基づく治療選択肢を初めて手にすることができた。
 イミフィンジと化学療法の併用療法が承認されたことは、進行胆道がん治療への期待に挑戦し、アンメットニーズの高い消化器がん患者さんの治療を変革するという当社が掲げる高い目標の達成に一歩近づくものである。

◆Stacie Lindsey米国胆管がん財団CEOのコメント
 胆道がんの患者さんは、一次治療における新たな選択肢を長年待ちわびていた。当財団は、全米の患者さんやそのご家族に大きな恩恵をもたらすアストラゼネカの希少がん研究への取り組みを称賛する。
 加えて、多くの希少がんの患者さんがこの治療薬の恩恵を受けられるのは、治験に参加いただいた患者さんたちのおかげですので、協力いただいた患者さんには特に感謝を申し上げたい。

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