収益性の改善と組織力強化に注力 新中計(23-25年度)発表 参天製薬

 参天製薬は13日、新中期経営計画(2023~2025年度)説明会を開催し、伊藤毅代表取締役社長兼CEOが「収益性の改善と組織力強化に注力する」と強調した。同中期計画の最終年度となる2025年度には、次の業績目標を掲げている。
◆売上高2800億円
◆コア営業利益額560億円
◆コア営業利益率20%
◆海外 CFU 一人当たり売上高成長率(為替影響除く)7%以上の成長(2022年度予想~2025年度の年平均成長率)
◆コアROE13%
◆コアEPSの成長率10%以上(2022 年度予想~2025 年度の年平均成長率)
◆株主還元 現行32円/年を配当下限とし、増配を目指すことに加え、資本調整として機動的な自社株買いを実施

 参天製薬は、昨年9月に伊藤氏が代表取締役社長兼CEO に就任以来、「収益性の改善」、「成長の柱の構築」、「最適なオペレーション・組織体制の構築」の3つの観点から再成長に向けた施策に着手してきた。
 新中期経営計画では、「収益性改善に向けた取り組みの着実な推進」、「Rx事業における生活者・患者さんへの貢献価値最大化」、「中計遂行を担保する運用体制・仕組みの強化」を行い、同社の強みである医療用医薬品事業の最大化に注力。医療用医薬品事業における生活者・患者への貢献価値最大化に向けて、戦略・組織運営体制を抜本的に見直す。参天製薬では、既に各改革実行に着手しており、2023年度の実行徹底を通じて、合計で150億円規模の収益貢献を見込んでいる。
 伊藤氏は成長に向けた基本方針として、「2025年度までは構造改革とリージョン売上最大化の2軸で収益最大化」を挙げ、「これを2026年度以降に向けた新体制の礎とする。利益のモメンタムを維持しながらしっかりと足場を固めたい」と訴求した。
 現在、参天製薬は、売上収益は向上しているものの、コア営業利益率は停滞・悪化傾向にあり、日本の生産性は高いがリージョンでばらつきが存在する。
 具体的に同社を取り巻く現状としては、「本社機能人員の拡大&海外人材登用による人件費高騰」、「中国の売上鈍化」、「米州の赤字継続」、「大型製品のVEGF阻害剤‟アイリーア”の特許切れ」、「コストコントロール不十分によるSG&A増大」、「生産性改善の取り組みの地域差」、「患者さんの潜在ニーズを捉えた製品戦略&PDCAの地域差」がある。
 こうした中、参天製薬は、2025年度までは構造改革と地域事業の売上最大化の2 軸で収益最大化を図る。明確な地域戦略に基づく売上拡大を図り、かつ、グローバルにコマーシャルエクセレンスを強化する。また、各地域事業の売上拡大に資する事業開発および、医療用医薬品事業へのシナジーが得られる新規事業に取り組む。
 伊藤氏は、構造改革推進の具体的な施策として「米州の最大限合理化」、「IT等大型投資案件の精査による財務規律に基づく投資見直し」、「各費用の “ゼロベース” 精査によるコスト最適化」、「各組織機能の生産性をレビューによる生産性向上」を列挙。
 その中で、米州の最大合理化については、「まずは販売している製品のライセンスアウトや一部製品の売却を協議している」と明かし、「年間80億円規模の赤字を23年度中に1/3まで縮小し、24年度はゼロにする」計画を示した。
 米州の今後の取り組み方にも言及し、「大変大きなマーケットではあるが、製品そのものに相当の競争力がなければ太刀打ちできない」と断言。その上で、「当社のパイプラインの中には、米州市場で十分勝負できる製品がある。しっかり開発して、再度挑戦したい」と力説した。
 再挑戦時の米州での製品販売方法は、「必ずしも自社で販売するのではなく、製品の特性に応じて他社とプロモーション契約を結ぶ」
 地域事業売上の最大化については、①グローバルにコマーシャルエクセレンスを強化、②各地域事業の売上拡大に資する事業開発(他社上市品、リージョン品を含む)、③医療用医薬品事業の売上最大化に資する新規事業ーの3つの柱を通じて推進する。
 一方、これらの中期経営計画を確実に遂行していくために、戦略立案・実行を担うリーダーシップチームの強化に加え、オペレーションモデルとそれを支える経営管理・人材育成の仕組みを変革していく。
 また、新中期計画終了後の2026年度以降は、強化した組織力を梃子に、近視や眼瞼下垂など大型のパイプライン製品による生活者・患者への新しい価値貢献機会の創出を図り、さらなる成長局面へと発展させていく。同社の主なパイプラインは次の通り。

2023-2025年度 新中期経営計画説明会資料より引用
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