二酸化塩素ガス溶存液の新型コロナウイルスに対する強力な不活性化効果を公表  大幸薬品

新型コロナ感染症制御への活用が期待

 大幸薬品は、二酸化塩素ガス溶存液による10秒間の処理で新型コロナウイルスを1万分の1以下に低減し、1.0% FBS(Fetal Bovine Serum/牛胎仔血清)存在下では二酸化塩素ガス溶存液は、次亜塩素酸ナトリウム溶液よりも200倍以上強力に残存ウイルス量を抑えて新型コロナウイルスを不活性化させる研究結果を公表した。同社と大阪府立大学生命環境科学研究科(山﨑伸二教授)との共同研究で明らかにしたもの。
 同研究成果は、特許長期濃度保持型二酸化塩素ガス溶存液が、有機物存在下でも次亜塩素酸ナトリウム溶液と比べ新型コロナウイルスをより効果的に不活化することを示しており、今後、新型コロナ感染症制御への活用が期待される。これらの二酸化塩素の新型コロナウイルスに対する不活性化効果に関する研究成果は、Journal of Hospital Infection に掲載された。
 同実験は、特許長期濃度保持型二酸化塩素ガス溶存液及び次亜塩素酸ナトリウム溶液の各所定濃度に、有機物としてFBS(Fetal Bovine Serum/牛胎仔血清)の有無下(0%, 0.5%, 1.0%)でSARS-CoV-2液を加え、各時間経過後 (10秒, 30秒, 1分, 3分)に中和し、その溶液を新型コロナウイルスに感受性のある培養細胞(TMPRSS2発現VeroE6細胞)へ接種し、その感染ウイルス量を定量する手法(TCID50法)で、抗ウイルス活性を評価したもの。
 実験の結果、低濃度(24 ppm)の二酸化塩素ガス溶存液で10秒間処理することで、新型コロナウイルスを1万分の1以下に低減し、0.5%FBS(唾液相当のタンパク質濃度を含むウイルス液1に対して4倍量の30 ppm二酸化塩素ガス溶存液を添加)存在下でも同様の低減効果を発揮できることが明らかになった(下グラフ)。


 また1.0% FBS存在下では二酸化塩素ガス溶存液は、次亜塩素酸ナトリウム溶液よりも200倍以上強力に残存ウイルス量を抑え、新型コロナウイルスを不活性化していることを示している。
 新型コロナウイルスは、エアロゾル、飛沫、媒介物を通じて伝播するため、感染者の飛沫に晒された環境、有機物存在下でのウイルスの不活性化が重要となる。
 同研究成果は、特許長期濃度保持型二酸化塩素ガス溶存液が、有機物存在下でも次亜塩素酸ナトリウム溶液と比べ新型コロナウイルスをより効果的に不活化することを示している。
 除菌・消毒に広く使用されている次亜塩素酸ナトリウム溶液は、唾液や血液など有機物存在時には、その抗ウイルス活性が急激に低下し、有機物と反応後に発がん性物質のトリハロメタンを生じることが知られている。
 また、次亜塩素酸ナトリウム溶液が、有機物存在下でA型インフルエンザウイルスを99.999%以上不活性化するには、同条件の二酸化塩素ガス溶存液の10倍程度の濃度が必要とされている。
 さらに、院内感染を起こす主な病原体(MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌), MDRP(多剤耐性緑膿菌), MDRA(多剤耐性アシネトバクター))においては、二酸化塩素ガス溶存液は同濃度の次亜塩素酸ナトリウム溶液よりも、強い除菌作用を示すことが報告されている。
 二酸化塩素については、新型コロナウイルスの感染を阻止するメカニズムも解明され、二酸化塩素が、新型コロナウイルスのSタンパク質と宿主細胞表面に存在するACE2受容体との結合を阻害することが明らかにされている。
 加えて、二酸化塩素はタンパク質のチロシン残基とトリプトファン残基を特異的に酸化することで不活性化することが報告されていることから、Sタンパク質のACE2レセプター結合ドメインの453番目のチロシン残基を酸化することでACE2との結合阻害が起こる可能性が示唆されている。
 大幸薬品では、更なる研究により、安全性・有効性に関するエビデンスを集積し、様々な新興感染症に対する衛生対策での低濃度二酸化塩素の活用を提言していく。

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