フロンティア事業として2027年200~300億円、2032年1000億円の売上目指す  大日本住友製薬

野村社長

 大日本住友製薬は8日、Webによる「フロンティア事業説明会−FBO Showcase−」を開催し、認知症周辺症状用機器、社交不安障害用VRコンテンツ、手指麻痺用ニューロリハビリ機器などの製品開発状況を報告し、フロンティア事業として2027年200~300億円、2032年1000億円の売上高を目指す計画を明らかにした。
 野村博社長は、2019年4月に立ち上げたフロンティア事業推進室のこれまでの進捗状況を振り返り、「着実に進んでいる」と明言。その上で、「米国でこの領域は大変進んでいるので、ビジネスモデルとしての心配はない。一方、日本は、保険管掌の受け入れ事例が少ないなどの難しい面もあるが、事業計画は着々と進行している」との手応えを示した。
 大日本住友製薬では、医薬品以外のヘルスケア領域において、社会課題の解決のための新たなソリューションの提供を目指し、2022中期経営計画(2018~2022)の一環として2018年よりフロンティ事業への本格的な取り組みを開始した。同取り組みは、予防医療・デジタル技術等の普及への対応など今後予想される環境変化を見据えたもの。
 2019年4月には、フロンティア事業推進室を開設し、中長期的に、医薬事業に次ぐ成長エンジンとしての確立を目標に、予防・未病、キュアとケアの連携などのソリューション事業をパイロット的に複数開始・展開している。
 フロンティ事業のターゲット領域は、大日本住友製薬の医薬事業とシナジーが見込める「精神神経、「運動機能障害」、「生活習慣病」、「がん」を中心とする。
 モニタリングと身体補強・拡張に関わる技術・ソリューションを活用し、メンタル(精神疾患)、エイジング(高齢者の健康問題)を主に、健康の維持回復〜強化のアンメットニーズを解消する事業を推進。
 核となる技術(情報系、⼯学系等)やネットワーク(アライアンス、ベンチャー投資等)などの事業基盤を構築し、「日本、米国、中国を中心に事業化機会を探索していく」(野村氏)。
 今回の説明会で紹介されたのは、認知症周辺症状用機器(パートナー会社:Aikomi)、社交不安障害用VRコンテンツ(SAV-985、同:BehaVR社)、手指麻痺用ニューロリハビリ機器(同:メルティンMMI)の3製品。
 認知症の社会的コストの将来推計は、2030年に21兆円を上回ると予測される。現在のコロナ禍が、認知症に悪影響を与えているという報告もある。
 また、認知症の周辺症状ケアで推奨される非薬物療法はエビデンスや体系化が不十分で、さらには認知症介護領域は専門的で属人的な領域であるため、イノベーションにより改善する余地のある事業領域として注目されている。
 こうした中、同社では、認知症周辺症状用機器として、「人と人とのつながりを生み出すツール」の開発を進めており、2022年に非医療器、2027年には医療器での国内上市を目指している。
 社交不安障害用VRコンテンツ(SAV-985)は、VRの特性を活かして認識ルートとPre-認識ルートの両方をアクティブにすることで、骨格筋や自律神経、神経内分泌への信号伝達効果を上昇させる可能性を追求。ジェネラル ウェルネス品モデルとして2022年中に米国で製品化し、将来は医療機器(DTx)としての製品化を目標にしている。
 米国では、社交不安障害の12カ月有病率7.1%、社交不安障害経験者12.1%とデバイス開発の社会的意義は大きい。
 治療 (急性〜回復・維持)、介護期に相当する手指麻痺用ニューロリハビリ機器は、生体信号を高次元な身体の動きに変換する高速・高精度なアルゴリズムを保有保するもので、ロボット技術と生体信号との組み合わせによる無限の可能性を秘めている。
 具体的には、表面筋電から患者の運動意図を読み取り、意図と連動して手指に装着したロボットを動作させる。脳の運動野の活動と手指の運動感覚の学習により、一連の運動メカニズムの再構築を支援する機能が発揮され、装置を外しても「使える手指」を取り戻す。今後、エビデンス収集を行い2022年度内に医療機器としての国内承認を目指す。
 ちなみに、運動麻痺の原因疾患は、脳血管障害が圧倒的に多く、国内の脳血管障害患者数は約120万人、米国720万人、中国1300万人に上る。
 その他、フロンティア事業の主な品目では、ウェアラブル脳波計、2型糖尿病管理指導用アプリ、自動採血・保存デバイス、難聴者用スマートグラス、ウェアラブル脳波計、バイオレットライト(うつ)、バイオレットライト(認知症)などがある。

野村武彦フロンティア事業推進室長


 野村武彦フロンティア事業推進室長は、フロンティア事業の今後の売上目標として、「2027年に200~300億円、2032年に1000億円」を標榜し、「医薬事業を下支できる事業への成長を目標にしている」と抱負を述べた。
 2027年の売上目標は、社交不安障害用+その他疾患用VRコンテンツでのGeneral Wellness事業とメンタルレジリエンス事業を中心に、2033年は 社交不安障害用+その他疾患でのVRコンテンツ、DTx事業への拡大、プラットフォーム事業、国内製品の北米展開などによって達成する見込である。

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