PCRによるコロナ無症状陽性例の検出に疑問 杉並区 柿田医院院長 柿田豊 

 やってる立場で言うのもなんですが、以前からコロナ無症状陽性例の検出はどこまで意味があるのかなと思っています。
 感染拡大を抑え込むという名目で、政府主導でこれまで無症状濃厚接触者のPCR検査が推進されてきて、初期にはクラスター発生判定のためのツールとして多少有用だったかもしれませんが、結局コロナは収束するどころかかえって状況は悪化し、もはやクラスター潰しが有効なフェーズではありません。
 コロナのPCRには1回につき約2万円かかり、全額公費負担です。とりあえずの支払いがないので気にならないかもしれませんが、今後税金としてわれわれにツケがまわってきます。 
 また、保健所機能パンクの大きな原因は、無症状〜軽症の対応に追われているからで、そのために本当にケアが必要な重症者に手がまわらなくなっている現状は本末転倒です。 
 患者との濃厚接触者はPCR陰性でも結局は接触から2週間は隔離になるのですから、隔離基準に必須の検査でもありませんし、実際に無症状者では有症状者ほど陽性率は高くありません。
 つまり無症状者にかかる手間とコストはほぼ無駄な浪費と言っても過言ではありませんが、保健所で検査を受けるように指示されてくる方の申し出を断ることもできません。これは少なからず当院の診療体制にも影響し、他の病気の診療時間の確保に支障が出てきています。
 行政はコロナを指定感染症としたことにより自縄自縛の状態に陥っています。いずれは指定感染症は外れてインフルエンザと同じ5類感染症程度になるのでしょうが、やるなら早くするべきだと思います。決してコロナを軽く見ているからではなく、その方が重症者の対応に集中できるようになるはずだからです。

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