粘り強い交渉が功奏し堺市から薬剤師への新型コロナ慰労金取得 堺市薬剤師連盟

尾島氏

 政令指定都市の堺市は3日、市内の薬局の医療従事者への新型コロナに対応する慰労金として、クオカード2万円分を支給した。同慰労金の取得は、尾島博司堺市薬剤師連盟会長(大阪府薬副会長・大阪府薬連盟会長)を中心とした市会議員や地元選出の府会議員、国会議員への粘り強い交渉が功を奏したもの。
 薬局従事者への新型コロナ慰労金は、国の2020年度第二次補正予算において、医師・看護師に支給されたものの薬剤師は外された。その後、「10兆円組んでいる第三次補正予算にはぜひ薬剤師も入れてほしい」と日本薬剤師会から国へ申し入れているものの芳しくない。
 そこで、各都道府県の支部単位の薬剤師会や連盟を中心に、地方自治体や議会に対して薬局の医療従事者への新型コロナに対する慰労金の供出を陳情する形式を取っているのが現状だ。
 堺市においては、昨年11月に、尾島堺市薬剤師連盟会長、鈴木利次堺市薬剤師会長、小田早苗同副会長が、中野時浩副市長に対して「新型コロナ禍における薬剤師への慰労金の供出」を要望。
 併せて、維新の会(堺市では与党)、自民党、公明党の市会議員団に対しても、「薬局・薬局薬剤師は、発熱している患者の処方箋の応需や、解熱剤の販売・受診勧奨など、厳しいコロナの最前線で戦っている」ことを訴求。
 さらに、「薬剤師には国の慰労金がないため、第3波、第4波が来た時(当時は第2波)に、このままではモチベーション低下が懸念される。額はお任せするので、薬剤師を慰労する対応を取ってほしい」と強く要望した。
 だが、なかなか回答が得られなかったため、尾島氏らは、本年1月に堺市の国会議員の岡下昌平氏(自民)、北側 一雄氏(公明)、馬場伸幸氏(日本維新の会)に、コロナ禍において薬局が置かれている状況を説明。 「永藤英機堺市長らに、薬剤師への慰労金を供出してもらえるよう助言してほしい」と重ねて要望した。
 これら行政と議会への働きかけが功を奏して、本年3月3日に堺市の薬局薬剤師に対して新型コロナに対応する慰労金として、クオカード(2万円分)が支給されるに至った。
 尾島氏は、「堺市の国会議員、府会議員、市会議員の党派を超えて薬剤師への慰労金をお願いした結果、堺市から慰労金を得ることができた」と振り返る。
 さらに、「薬局の薬剤師も新型コロナ禍で活動していることを認めて貰えれば、新型コロナワクチン接種におけるバイアル分注などの業務への協力や、今後の第4波に向けてのモチベーション保持に繋がる」と断言。
 その上で、「他の地域薬剤師会、薬剤師連盟の皆さんにも、粘り強く地元自治体と交渉して、是非、地方自治体からの薬剤師に対する慰労金の支給を実現してほしい」と呼びかける。
 実際、大阪府薬は、新型コロナワクチンの集団接種において、地方自治体の多くから「薬剤師に関与してほしい」との要望を受けている。
 また、大阪府薬では、3月1~31日まで、保険薬局内の感染防止のための「患者の状況や連絡先を記載した」処方箋の受付状況と感染拡大防止対応調査を実施している。
 この調査目的について尾島氏は、「街の薬局に来ているコロナの疑いのある患者の実態を明らかにすることができる」と説明し、「OTCの販売も含めて、街の薬局の薬剤師もコロナ禍で活躍していることを市民の皆さんに訴求したい」と断言。
 さらに、「大阪府薬剤師連盟からも府や地方自治体に薬局・薬剤師への慰労金を要望しているが、そのエビデンスになると考えている」と強調する。
 なお、都道府県における薬局への主な慰労金等支給状況は次の通り(カッコ内は、対象者と一人当たりの金額)。
 ◆東大阪市(薬局の薬剤師、5万円)◆秋田県(調剤薬局の薬剤師、5万円)、◆熊本県(保険薬局に勤務し患者と接する従業者、5万円)、◆佐賀県(薬局従業員、5万円)、◆神奈川県(薬局の薬剤師、3万円)、◆高知県(薬局従業員、5万円)、◆福岡市(薬局、1薬局当たり5万円)、◆北九州市(薬局、1薬局当たり5万円)、◆大阪府大東市(薬局、1薬局当たり30万円)、◆大阪市四条畷市(薬局従業員、5万円)

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