日本初の糖尿病管理スマホアプリの提供開始  アボットジャパン合同会社

 アボットジャパン合同会社は10日、スマートフォンでスキャンして糖尿病患者の日常の糖尿病管理ができる日本初のスマートフォンアプリ「FreeStyle リブレLink」の提供を開始したと発表した。
 FreeStyleリブレLink アプリは、無料でダウンロード可能である。ユーザーは、上腕に貼った最長14日間使用可能なFreeStyleリブレセンサーをスマートフォンでスキャンすれば、現在のグルコース値や直近8時間の血糖変動(血糖トレンド)がスマートフォンに表示される。
 また、FreeStyleリブレLinkは、血糖変動をトレンドやパターンとして見える化することで、糖尿病患者自身が自分で糖尿病の管理状況を把握できる。
 なお、FreeStyleリブレは、1型・2型等の病型を問わず「入院中の患者以外であって、強化インスリン療法を行っているものまたは強化インスリンを行った後に混合型インスリン製剤を1日2回以上使用しているもの」を対象に血糖自己測定器加算「C150 7」が適用されている。
 また、その他のインスリン療法を施行中の患者がFreeStyleリブレ使用する際には、月当たりの血糖自己測定(SMBG)回数を基に、血糖自己測定器加算「c150 1-6」が適用される。
 日本では、血糖自己測定(SMBG)が広く使われているが、指先穿刺を伴い、測定時の血糖値をピンポイントでしか把握できないという課題がある。
 また、SMBGはいくつかの器材と採血による血液が必要となるため、測定に数分の時間が必要となる。2020年にアボットが実施した調査によると、インスリン治療を行う糖尿病患者の8割以上が外出先での血糖自己測定を負担に感じており、約8割が測定時に人目を気にしていることが明らかになった。
 新しいFreeStyleリブレLinkは、専用のリーダーを使わず、互換性のあるスマートフォンによるたった1秒のスキャンで血糖測定が可能である。これにより、血糖測定の頻度が高まり、生活の質向上への貢献が期待される。
 FreeStyleリブレLink アプリは、さまざまな血糖データを、血糖トレンドや変動パターンといった形で見える化し提供する。現在のグルコース値、血糖の変動傾向を示す矢印、最長8時間の血糖トレンド、最大90日分のデータによる血糖変動の傾向をグラフ化したAGP(Ambulatory Glucose Profile)、目標グルコース値の範囲内時間などの豊富なデータにより、患者は自身の血糖管理状況を把握できる。ユーザーは、アプリ上で最長90日間分のデータをいつでも閲覧可能である。
 なお、FreeStyleリブレのユーザーは、血糖管理を改善し、目標グルコース値の範囲内時間を増加させ、高血糖および低血糖時間を短縮し、HbA1c を改善させていることが、リアルワールドデータにて示されている。
 FreeStyleリブレLinkに保存される最長90日間のデータは、クラウドベースの糖尿病管理システムであるリブレViewと連携した場合、自動的にアップロードされ、医師との共有が可能である。
 指先穿刺によって得られる測定時のピンポイントでの値と比べ、詳細な血糖データや過去の履歴、傾向など豊富な情報が得られ、オンライン診療においても役立てられる。
 福井道明京都府立医科大学 大学院医学研究科 内分泌・代謝内科学教授は、「より良い糖尿病管理において、糖尿病患者が自身の血糖状況を把握し、管理することは非常に重要である。特に、現在の新型コロナウイルス感染症流行下においては、自身の血糖状況に応じた自己管理が大切になる」と強調する。
 さらに、「FreeStyleリブレLinkによって、患者はより手軽に、少ない負担でグルコースデータを読み取れるようになり、より頻繁なグルコース値の確認や自身の血糖トレンドの深い理解につながることが期待される」と指摘。その上で、「患者の意識および行動変容は、より良い糖尿病管理だけでなく、新型コロナウイルス感染症の重症化リスク軽減においても非常に重要である」と訴えかける。

タイトルとURLをコピーしました