事故予防で豆類による子どもの気道閉塞シミュレーションとイメージ動画制作 明治と武蔵野赤十字病院

 明治と武蔵野赤十字病院は、4次元嚥下シミュレータ「Swallow Vision」(スワロービジョン)を活用して、窒息や誤嚥の事故を予防するための行政の取り組みに参画した。消費者庁消費者安全課からの「嚥下シミュレータを使用した子どもの気道閉塞シミュレーションおよびイメージ動画の制作業務」を共同受託したもの。
 Swallow Visionを使ったシミュレーションにより、乳幼児が豆類を飲み込むことで発生する窒息や誤嚥の様子を可視化し、明らかにしたメカニズムをもとにリアリティのある動画と画像が制作された。 制作された注意喚起の映像は、本年1月20日に消費者庁消費者安全課より発表されている。
 Swallow Visionは、明治と武蔵野赤十字病院が共同開発した世界初の4次元嚥下コンピュータシミュレーションシステムだ。通常見ることができない飲み込む時の身体の動きと食品の流れを、コンピュータ上でリアリティのある画像として見れ、仮想の実験(コンピュータシミュレーション)ができる。
 事故予防のためには、どうして起きるのか(事故のメカニズム)を理解することが重要である。だが、現実には、食品がどのように気道を閉塞するのかを見ることができない。まず見える化(可視化)し、メカニズムを検討したうえで、予防策を考えることが必要となる。
 こうした状況のなか、窒息や誤嚥の事故を予防するためには、リアリティのある動画や画像により保護者や教育・保育従事者にわかりやすく伝えることが重要という消費者庁消費者安全課の判断のもと、明治と武蔵野赤十字病院は、「嚥下シミュレータを使用した子どもの気道閉塞シミュレーションおよびイメージ動画の制作業務」を共同受託。
 Swallow Visionを使ったシミュレーションにより、リアリティのある動画と画像を制作した。
 シミュレーションは、4歳児の口腔から気管支までの形状と運動をコンピュータ上で再現した「生体モデル」と、節分豆および煮豆の形状と物性をコンピュータ上で再現した「食品モデル」を組み合わせることで実施した。乳幼児の姿勢や活動状況ならびに豆類のサイズや状態を、リスク因子(パラメータ)とし、パラメータの組み合わせを変更してさまざまな条件でシミュレーションを行った。結果の概要は次の通り。

◆豆類のサイズや豆類の破断が窒息や誤嚥のリスクに与える影響
1:豆類が小さい場合(豆の半分や破片の場合を含む)
2:喉頭口や声門が大きい人
3:気道が広がっている時(呼吸している最中など)(図1)
 これらの場合は、豆類が喉頭や気管まで入った。

図1.豆一粒を誤嚥したシミュレーション結果例(右主気管支異物)

◆嚥下時の体位と動作の変更が窒息や誤嚥のリスクに与える影響
 リクライニングした状態や、寝転がる、走るといった姿勢・活動によって気道閉塞の発生リスクが高まった。

◆動画と画像の制作
 シミュレーションの結果をもとに動画と画像を制作した。

図2.シミュレーションをもとに作成した啓発用画像例

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