カボテグラビルとリルピビリンの2剤レジメン FDAよりHIV-1感染症維持療法で承認取得  塩野義製薬

 塩野義製薬は22日、グラクソスミスクライン(GSK)およびファイザーとともに資本参加しているヴィーブ社が、月1回投与の長期作用型注射2剤レジメンであるCabenuva(カボテグラビル[ヴィーブ社]およびリルピビリン[ヤンセン社]について、成人HIV-1感染症における維持療法の適応でFDAより承認を取得したと発表した。
 また、ヴィーブ社は、Cabenuvaによる治療開始時の短期的な導入治療を目的としたカボテグラビル経口剤も同時にFDAより承認取得したことも併せて発表している。
Cabenuvaの承認申請には、主要なP3相臨床試験であるATLAS試験とFLAIR試験の良好な結果が主なデータとして提出された。ATLAS試験は、既存の1日1回の3剤経口レジメンによりウイルス抑制が達成されているHIV感染患者を、FLAIR試験は治療歴のないHIV感染患者をそれぞれ対象とした試験である。
 いずれの試験においても、カボテグラビルとリルピビリンの月1回投与の2剤レジメンは、48週時点において、既存の1日1回の3剤経口レジメンと同様のウイルス抑制効果を示した。
 また、10人中9人の患者が毎日の経口治療法より月1回投与の注射レジメンを好んでいる。さらに、Cabenuvaを臨床現場に適応させるアプローチを特定し、評価するために実施したCUSTOMIZE試験の中間結果では、医療従事者における受容度も高く、従前想定されていた実施における障壁も大幅に減少した。
 Cabenuvaの投与方法においては、カボテグラビル経口剤およびリルピビリン経口剤を約1か月間(最低28日間)経口投与し、両剤に対する忍容性を確認した後、医療従事者により臀部に2回個別に筋肉内注射として投与される。
 Cabenuvaは、本年2月にカボテグラビルとリルピビリンの2剤のパックとして米国で出荷を開始する。また、カボテグラビルのHIV感染予防につきましては、2021年半ばに申請を予定しており、FDAよりブレイクスルーセラピーの指定を受け、承認までの期間短縮のための開発・申請計画の相談や、審査資料の段階的な提出・審査などが可能となっている。
 なお、カボテグラビルおよびリルピビリンの長期作用型注射2剤レジメンは、欧州およびカナダで既に承認を取得している。
 HIV感染症は、今なお国際社会における大きな課題である。2019年末時点で推定3800万人がHIVに感染しており、年間170万人新たな感染者が出現している。塩野義製薬、ヴィーブ社の株主として、世界中により良いHIV感染症の治療および予防の選択肢の提供を期待するとともに、今後もヴィーブ社の経営に参画することで、HIV感染症治療や予防におけるドルテグラビルおよびカボテグラビルの価値最大化に貢献していく。

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