リムパーザ・ベバシズマブ併用療法 欧州で卵巣がんの維持療法で承認取得  アストラゼネカ

 アストラゼネカとメルク(北米およびカナダ以外ではMSD)は5日、欧州連合(EU)において、ベバシズマブとの併用療法におけるリムパーザが、相同組換え修復機能不全(HRD)陽性の進行卵巣がんに対する初回治療後の維持療法として承認されたと発表した。
 卵巣がんは、欧州において5番目に多いがんの死因で、患者は進行がん(ステージⅢまたはⅣ)になってから診断されるケースが多数みられ、5年生存率は約45%に留まる。
 欧州委員会による今回の承認は、P3相PAOLA-1試験のバイオマーカーによるサブグループ解析に基づいている。同試験では、HRD陽性の進行卵巣がん患者に対して、リムパーザとベバシズマブの併用療法による維持療法で、ベバシズマブ単剤療法と比較して無増悪生存期間(PFS)が大幅に延長された。今回の承認は、2020年9月の欧州医薬品庁(EMA)の医薬品評価委員会(CHMP)による承認勧告に続くもの。
 P3相PAOLA-1試験では、HRD陽性の進行卵巣がん患者において、リムパーザとベバシズマブの併用療法による維持療法によって、病勢進行または死亡のリスクが67%(ハザード比0.33、95%信頼区間0.25~0.45)減少することが示された。ベバシズマブ単剤療法でのPFS中央値が17.7カ月であったのに対し、リムパーザを追加することで、37.2カ月まで延長された。
 PAOLA-1試験のデータは、2019年にThe New England Journal of Medicine ( https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1911361 )誌に発表されている。2020年欧州臨床腫瘍学会のバーチャル会議で最近発表されたさらなる結果では、重要な副次評価項目である二次進行までの期間(PFS2)の統計学的に有意な延長が示された。
 リムパーザとベバシズマブの併用療法は、一次進行以降も有益であることが示され、ベバシズマブ単剤療法でのPFS2中央値が35.3カ月であったのに対し、リムパーザとベバシズマブの併用療法では50.3カ月まで延長した。
 EUでのリムパーザの正式な効能効果は、白金製剤ベースの化学療法とベバシズマブとの併用療法による初回治療により(完全または部分)奏効を示し、乳がん感受性遺伝子1/2(BRCA1/2)変異および/またはゲノム不安定性のいずれかにより定義されるHRD陽性の進行性(FIGO進行期分類III – IV期)高異型度上皮性卵巣がん、卵管がんまたは原発性腹膜がんを有する成人患者の維持療法としてのベバシズマブとの併用である。
 リムパーザとベバシズマブの併用療法は、HRD陽性の進行卵巣がんに対する初回治療後の維持療法として米国で承認されている他、数カ国でも承認されており、現在、その他の国においても規制当局による審査が進められている。なお、進行卵巣がんに対するリムパーザとベバシズマブの併用療法は本邦では未承認である。

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