新型コロナ禍における天然アロマの心理的効果を実証 アットアロマと関西学院大

 アットアロマは、関西学院大学感性価値創造インスティテュートと共同で「新型コロナウイルス流行下におけるストレス要因とアロマオイルによる心理的効果」の実証実験を実施し、「オイル使用によりストレス状態から緩和される」などの実験結果を発表した。
 同結果は、10日に東京で開かれた日本感性工学会で発表された。アットアロマは、心地よさと機能性のあるアロマ空間デザインや、香りによるブランディング・CIを手掛ける事業を展開している。
世界中に甚大な影響をもたらしている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行下で、我々はこれまでの生活様式からの変更を余儀なくされている。とりわけ「Stay Home」の呼びかけにより、出勤、登校、登園を始めとした外出の自粛を求められ、テレワークや、休校・休園中の子どもの対応などを理由に、自宅で家族と過ごす時間が増加した。この外出自粛による在宅時間増加に伴うストレスの増大が大きな問題となっており、一刻も早い対応策が求められている。
 こうした中、在宅で生活に取り入れられるストレス緩和の方法としてアロマセラピーが注目されている。植物由来の天然アロマには、抗ウイルス・抗菌作用が期待できる香りや、ストレスを緩和して気持ちの切り替えを促してくれるパワーを兼ね備えるものがある。そこで、アットアロマでは、関西学院大学と共同で、「ストレス環境下におけるアロマの心理的効果の実証実験」を実施した。


 調査は、緊急事態宣言下の5月17日~5月24日に実施。30~40代の男女30名に、@aroma社製「サプリメントエアー」シリーズ4種のアロマオイルを自宅で使用してもらい、アンケート回収を行った。
 実験期間中は、ディフューザーを身近に設置し、困ったことがあったときやストレスを感じたとき、解決したいことがあるときにアロマオイルを使用してもらった。
 使用するアロマオイルの種類は、その都度参加者が自由に4種から選択した(アロマオイルの商品名はシールで隠し、A・B・C・Dの4種として区別)。
 毎日9時・12時・15時・18時・21時の5回、Google Formsの質問のリンクを含むメールを送付して最も近い時間で使用したアロマオイルの種類・その時刻・その時の状況や気分・期待した効果など(自由記述)、アロマオイルの使用前・使用後の気分(二次元気分尺度)の回答を得た。
 実証実験結果の詳細は次の通り。


 ①アロマオイルを「ストレス解消のために使用した人は62%」
 毎日21時の最後の調査の際に、当日実施したストレス解消法をリスト(アメリカ心理学会でのストレス解消項目)から選択(複数回答可)。もっとも多い回答がアロマオイルであった。

 ②4種のアロマオイルはいずれも、「気分をポジティブにし、ストレスを緩和する」
 アロマオイルそれぞれの使用前後での気分の変化(二次元気分尺度)を調査したところ、いずれも気分をポジティブに変化し、ストレス緩和に効果があったことが示された。また、男性よりも女性において大きな効果を発揮した。

「女性と男性の間に統計的に意味のある差が認められた(* p < .05, ** p < .01)」


 ③最もアロマが効果的に働いたのは、「在宅で育児・仕事を行うマルチタスクの女性群」
 アロマ使用時の状況の分析からA~Dの4グループに分類して結果を解析した。
 A 仕事専心グループ / 男性6名:仕事のみにストレスを抱えたグループ
 B 葛藤(子ども)グループ / 女性5名: 在宅で育児と仕事のマルチタスクの葛藤によりストレスを抱えたグループ
 C 葛藤(家事)グループ / 男性2名・女性5名:Bに比べて、子どものストレスは感じていないが、マルチタスクの葛藤を抱えたグループ
 D 活動後グループ / 男性7名・女性4名:仕事後、食事後など活動の区切りがついた際に使用したグループ


 二次元気分尺度より算出される、「安定度」「活性度」をグラフにすると、いずれも高いグラフの右上が快適な状態を示す。4つのグループいずれも、使用前に比べて使用後に右上にシフトする、すなわち快適な状態に変化することが確認された。
 その中でも、B:葛藤(子ども)グループの変化が一番顕著であった。これにより、仕事と子育てとマルチタスクをこなす女性に対して、アロマがより大きな効果を発揮したことが判った。


 なお、実証実験の詳細データは、大学研究室サイト(https://ist.ksc.kwansei.ac.jp/~nagata/data/2020_JSKE_2C05-09-01.pdf)より参照できる。

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