共同研究契約に基づき生薬原料の薬用植物栽培開始  シミックHD

 シミックホールディングスは8日、本年3月の京都大学および北海道磯谷郡蘭越町との共同研究契約締結に基づき、漢方・生薬の原料として市場ニーズの高い高麗人参、セネガ、シソなどの薬用植物栽培を開始したと発表した。京都大学および蘭越町との産官学連携により、薬用植物栽培を基に活力ある地域づくりを強力に支援し、相互の更なる発展を目指す。
 現在、日本国内で流通している漢方・生薬製剤は、原料生薬の約8割が中国からの輸入であり、品質確保と安定供給の観点からも国内産生薬の生産拡大が望まれている。シミックグループでは、国内産生薬の安定供給体制構築を目指し、「山梨県森林総合研究所 シミック八ヶ岳薬用植物園(所在地:山梨県小淵沢)」への協賛を通じて、薬用植物栽培のノウハウ獲得や業務提携を行う農場にて栽培研究を推進してきた。これまで培った栽培技術や経験をもとに、蘭越町での新たな取り組みを支援する。
 また、少子高齢化が進む日本において、農業従事者の高齢化や後継者不足等により人材確保が難しく、蘭越町においても課題となっている。本共同研究では、現在「研修農場」(総面積:34,641.3㎡ )として活用中の農場で、高麗人参、セネガ、シソなどの薬用植物を中心に栽培を進めている。研修農場地は、北海道南最大の河川「尻別川」流域に広がる肥沃な平坦地に位置し、同地で栽培されている「らんこし米」に続き、良質な薬用植物の生産が期待される。
 なお、同研究では、エッチワン(本社:京都府)と連携し、天候に左右されにくい高床式砂栽培農業を導入。将来的には身体障がい者や高齢者の雇用創出への貢献も目指す。
 共同研究における主な役割については、京都大学では、研究の総括・薬用植物の栽培指導・有効活用の提案等、高床式砂栽培農業の指導及び提案等を行う。
 蘭越町は、種苗育成や栽培に使用する圃場・育苗施設・設備等を提供。シミックホールディングスは、栽培指導、種苗等の販売先開拓、生薬メーカーへのソリューション提供等を行うビジネスモデルを構築する。
 研究実施予定期間は、令和2年3月5日から令和3年3月5日。
 同共同研究関係各位のコメントは次の通り。
◆伊藤美千穂京都大学大学院薬学研究科薬品資源学分野准教授
 植物性天然素材は、生薬として漢方薬や家庭薬に配合されるものが多いが、機能性を持った食品素材として利用されるものもあり、それらは特別な知識やライセンスが無くても普段の健康管理、健康維持・増進に安心して使える素材として期待されている。その国内生産は、多くの場面で重要な意味を持ち、より魅力的な素材提供を可能にするものである。本プロジェクトは、そんな素材生産から提供までを消費者にもまた生産者にも嬉しいものにしたいと思っている。
 ◆金秀行北海道磯谷郡蘭越町町長
 蘭越町は、良食味“らんこし米”をはじめとする農作物を産出する農業を基幹産業とする町である。今日、薬用作物栽培の必要性が高まっている中、産学官連携による本共同研究により、地域の可能性を最大限に発揮できるよう努め、本町農業の一層の振興と地域づくりを推進するとともに、国際的リゾートとして発展するニセコ地域において、蘭越町ならではの魅力発信につながることを期待している。
 ◆中村和男シミックホールディングス代表取締役CEO
 シミックグループは、医薬品開発に関する包括的なサービスの提供に加え、人々がより健康で“IKIGAI(生きがい)”を感じられる健康寿命延伸に向けた様々な取り組みを行っている。2013年以降は、国内産生薬の生産者支援や健康増進を目指した付加価値の高い薬用植物栽培を支援している。本産官学連携により、新たな創造型農業支援を通して地域活性化に貢献していく。

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