生活習慣病ネット重症化予防プログラム高度化で実証実験実施  KDDIなど3社

実証実験イメージ

 KDDI、KDDI総合研究所、PREVENTは20日、スマートフォンのデータを活用した生活習慣病の重症化予防事業の実証実験を、本年4~9月までの間実施していることを明らかにした。同実証実験は、オンライン重症化予防プログラム「Mystar」高度化を目的としたもの。PREVENTの「Mystar」は、患者本人が生活習慣を改善できるように、医療専門職による生活指導を完全オンラインで提供する重症化予防支援プログラム。
 同実証実験では、KDDIグループで生活習慣病の通院治療を行っている社員とその家族を対象に、KDDIのスマートフォンで蓄積したデータ(Webアクセスログ、測位ログ、決済ログ、サービス利用ログなど)を活用した生活指導の高度化を検証する。
 高血圧や糖尿病などの生活習慣病は、脳梗塞や心筋梗塞などの血管病の発症の原因となっており、生活習慣病が一つ増えるごとに血管病の発症リスクは倍増する。昨今、高血圧や糖尿病などの生活習慣病は、日本人の死因の半数以上、かつ医療費の3分の1以上を占めており、発症や重症化の予防への取り組みが重要視されている。生活習慣病の改善には、月に1回程度の医師による治療・処方に加え、患者本人による「食事・運動・睡眠」といった日常生活の変革が重要である。
 一方、医師の診察時以外は、患者本人に対応が委ねられているため、行動変革やモチベーションの維持が継続できているかを定期的にサポートする生活習慣指導が必要となる。さらに、新型コロナウイルス感染症の影響による在宅勤務・外出自粛などで、対面指導の機会減少なども想定され、オンラインによるサポート体制の充実も必要である。
 こうした中、開始された同実証実験は、具体的には、KDDIが参加者本人の許諾に基づいてKDDI総合研究所に提供するスマートフォンのデータを基に、「Mystar」プログラムでは把握できないプログラム開始以前の生活習慣の特徴の分析、生活指導の介入効果の予測などを行う。
 また、プログラム期間中に「Mystar」で取得するデータ(歩数/心拍数、血圧、食事内容、尿塩分濃度、対話/指導ログなど)に、スマートフォンのデータを加えて分析し、オンラインでの生活指導の高度化・効率化を検証する。
 KDDI、KDDI総合研究所、PREVENTは、同実証実験で得られた知見をもとに、「オンライン重症化予防」の発展や、本年秋以降に生活習慣病にかかわる医療機関や研究機関、生活習慣病重症化予防や医療費適正化といった課題を抱える自治体や企業健保とパートナリングを推進。様々なパートナーとの提携による最新のデジタル技術を用いたヘルスケアサービスの開発・拡充を図り、顧客が一番身近に感じるヘルスケアサービスの提供、および、健康寿命延伸への貢献を目指す。
 同実証実験の詳細は、次の通り。
(1)実施期間:本年4月~9月までの約6カ月間
(2)対象者:KDDIグループ社員およびその家族のうち、以下の条件を満たす約100名。対象条件は、①高血圧もしくは糖尿病に対する薬を服薬治療中の人②健康診断などで、血圧ならびに糖尿病の数値が管理基準を超えている人(血圧の管理基準値:140/90mmHg、糖尿病の管理基準:HbA1c:7.0%以上)③auスマートフォンの契約があり、通信ログの収集・解析に同意された人
(3)検証内容:オンライン重症化予防プログラム「Mystar」高度化に向け、auスマートフォンのデータ(Webアクセスログ、測位ログ、決済ログ、サービス利用ログなど)を活用。①「Mystar」プログラム参加以前の生活習慣の特徴の分析②生活指導の介入効果の予測(本人の生活習慣を基に、程度改善が可能か分析)③生活指導の個別最適化、患者の改善/悪化の早期検知、プログラム効率化などの支援の3項目を実証する。

「Mystar」サービスイメージ

 「Mystar」プログラムでは、専属の医療専門職が、血圧や血糖値の管理データを確認し、生活習慣などを聞き取った上で、最適な健康づくりプランを提案し、生活習慣改善を6カ月間サポートする。
 プログラムの参加者は、日々の運動量や塩分摂取量をバンド型のウェアラブル機器などで記録され、スマートフォンアプリを通じて、生活習慣がモニタリングされる。モニタリング結果は、専属の医療専門職に共有され、2週間に一度の電話面談で生活習慣の改善をサポートする。
 さらに、2カ月に一度、活動レベルや血圧などの生活習慣因子の推移や、実施された指導内容のポイントなどが記載された経過レポートが発行される。このレポートを参加者の主治医が確認することで、主治医と連携したサポートが可能となる。

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