コロナ禍の夏に対処する風呂タイムの充実法       花王

 今年は、コロナ禍で出かける機会が例年に比べて少ないため、暑さに身体が慣れにくく、気温が上がるにつれ疲れを感じたり、体調管理に不安を感じている人が多い。こうした中、花王では、夏の風呂時間を充実させ、疲れを取ったり、体温調節に大切な汗をかきやすい身体づくりにつなげるための風呂タイムのあり方を提案している。

図1、 2019年7月 (n=642)、2020年1月(n=641) ともに12~69歳 女性対象


 花王が湯船入浴頻度について調査(図1)を行なったところ、夏に毎日入浴する人は36%で、冬に比べて約半分と少なくなっている。夏場は湯船入浴をせず、シャワーで済ませる人も多い傾向にあるが、疲労感が抜けないと感じたり、クーラーで身体が冷えたりするときには、湯船入浴が推奨される。入浴の習慣化は、身体の発汗機能を向上させ、体温調節のしやすさにつながる。
 入浴には次の3つの作用がある。
 ①温熱作用:お湯の熱が体に伝わり、体温が上がると、皮膚の毛細血管が広がり、血行がよくなる。
 ②水圧作用:適度な水圧で手足にたまった血液が押し戻されて心臓の動きが活発になり、血液やリンパの流れを促進する。
 ③浮力作用:プールや海に入ると身体が浮くように、湯船でも浮力が働き、体重が約10分の1に。ふだん体重を支えている筋肉や関節を休ませることができる。

図2(森本ら、2020、日本温泉気候物理医学会雑誌(早期公開)doi: 10.11390/onki.2314より作図)

 体温を調節する発汗機能がきちんと働くには、汗をかくことに身体が慣れておくことが重要だ。湯船入浴を行ない、汗をかくことを意識する必要がある。花王パーソナルヘルス研究所では、ややぬるいと感じる40℃のお湯に胸までつかって入浴したときに出る汗の量の推移を調べた。
 その結果、入浴して数分後から汗が出はじめ、その後時間とともに汗の量が増えていく様子が確認できた。(図2)
 湯船入浴で汗をかく習慣をつければ、身体の体温調節機能を働きやすくすることにつながるので、できるだけ毎日、無理をしない範囲で始めたい。
 汗をかきやすくなる入浴法のポイントは、①入浴前にしっかり水分補給を②お湯の温度は40℃前後を目安とする③10~20分くらいかけてゆっくり胸のあたりまでつかって入浴する④湯船の中でストレッチなどをとりいれる⑤入浴後の水分補給も忘れずにーなど。
 一方、在宅勤務などでの同じ姿勢や、通勤などで疲れを感じることがある。足のむくみや、疲れをすっきりさせたい時は、たっぷりのお湯にしっかりつかるのが肝要だ。お風呂のお湯の水圧原理を利用し、足にたまった血液やリンパ液を押し戻す。湯船に40℃前後(ややぬるいと感じる程度)のお湯をたっぷりはって、深く、長く、10分程度つかる。ただし、お腹にも圧力がかかるので、妊娠中は避ける。お湯につかりながら、つま先から足の付け根に向かってやさしくマッサージをするのもおすすめ。
 また、お風呂の温浴効果を高める薬用入浴剤は、血行を促進し、冷え性、疲れ、肩こりを効果的に回復させる効果がある。
 お湯の温度の好みは色々あるが、気分をリラックスさせたい時は、38~40℃のぬるめのお湯に10~20分くらい、全身つかるのがお薦め。ぬるいお湯は、リラックスに関与する副交感神経を優位に働かせることができる。また入浴剤を入れて楽しむのも良い。ラベンダー系や、カモミール系の香りは、リラックス気分を味わえる。気に入った香りで、ゆったりつかるのが入浴でのリラックスのコツになる。
 暑いときにも湯船入浴を上手に取り入れてほしい。湯上りの暑さが気になるときには、身体に風をあてて涼をとったり、湯上りがスーッと感じるクールタイプの入浴剤も推奨される。

タイトルとURLをコピーしました